第28話 我儘
ソフィアが万全な状態になり、霊体型の『
いや、これは既に『探索』とは呼べないやも知れない。
オォォォォォォォ……
ヴァアァァァァァ……
オォォォォォォォ……
「ヒィィィィィィィ!!」
「は、放せっ!やめろおおおおおお!」
「GYAWOOOOOOOOO!?」
「GOBUUUUUUU!?」
「PYUGYIIIII!?」
死者の群れが魔物だろうが冒険者だろうが、目の前に立ち塞がる『生者』を構わず蹂躙していく。
襲いかかり、押し倒し、殴打し、噛みつき、ズタボロになり抵抗する気力すら失った半死半生の『生者』達が私達の前に捧げられ、『生命』を啜られ死者たちの仲間入りをしていくのだ。
私達の進む道に障害など無く、ただ死者たちが続く。
冒険者達の行く手を阻む『
『
『
「ここが第四階層、ですか」
「なるほど、これまでの石造りの通路から一転、今度は自然の洞窟の様相を呈すると。
……これはまた、随分と厄介な作りだ」
通路の幅は第三階層までとそこまで変わらない。
だが、天井は光が届かぬ程度には高く、また足元は石畳ではなくなり所々苔むした岩肌へと変わった。
ここまでの道程とは明らかに異なる環境に、かなり戸惑う事になるだろう__『生者』であれば。
「まぁ、私達は天井ははっきり見えるし、岩に擬態している生き物も『生命』の輝きが丸見えだから全く隠れている意味がないんだがね!
こう言うのをなんて言うのだったか……頭隠して尻隠さず、でしたかね」
「天井に見えるあの奇妙なものは何でしょう?」
「あぁ、恐らくはスライムという奴だね。
真下を生き物が通ると、上から落ちてきて溶解液で消化してしまうのだよ。
それにしても、この階層からは魔物の湧き方が違うのかな。
上の階層のように魔法陣から湧いてくるのかと……お?」
「あら、魔法陣が出ましたね?」
通路内に最初から魔物が居る事に驚き、ここからは湧き方も変わるのかと思ったのだけれど、どうも違うようだ。通路内に上の階とは異なる色の魔法陣が現れたかと思うと、中からおびただしい数の魔物が湧きだしてきたのだ。
……『
「プギイイイイイイイイイ!?」
「プギャアアアア!!」
「ピュギョピギャ!」
オォォォォォォォ……
ヴァアァァァァァ……
オォォォォォォォ……
「「あ~……」」
現れたのは10数匹の『
哀れ、一瞬で死者の群れに呑まれてボコボコにされ、私達の前に引き出される事になってしまった。
当然その『生命』は美味しくいただいたよ?そしてめでたく彼等も死者の仲間入りだ。
「何というか、少々哀れですねぇ」
「まぁ、運が無かったね、としか言えないさ。
私達が連中にやられてやるわけにもいかないしね」
「それもそうですねぇ」
「それよりも、ここの階層には何が出るのだろうね」
「上の階層も色々な魔物さんが出ましたし、こちらも沢山変わった魔物さんが出るのでしょうねぇ」
「そうだねぇ、出来れば食べ甲斐のある魔物だと助かるよ」
これまではソフィアの回復を優先していたから特に触れなかったが、『
『
・
・
・
・
・這い回る蔦
・緑鎖蛇
・大蛞蝓
・大蛙
・
・
……等など。
他にも湧いてくる魔物はいるが、概ねこの辺りがよく目にするもの達だろう。
何と言うか、『魂』の代わりに『魔力』を押し込んで動かしている、というのが良いのだろうか。
霊が憑りついているわけではないので、私達の呼びかけに反応しないのだよね。その為、連中には『
同じように
これらの魔物には『
『
となればもちろん、大蛙や大蛞蝓、蛇や這い回る蔦、先程の例には挙げていなかったが大蜘蛛や大蝗といった昆虫類なども対象に入る。
だが、私達はそれらを頑なに拒んだ。
喰らおうと思えば喰らえるのだけどね?
考えて欲しいのだよ。
愛する妹に、そんな物を喰わせるのか?
『
だが、その為にソフィアに、「蛞蝓の『生命』喰らいなさい」と私に言えと?
「そんな物はペッ!しなさい!」って言うに決まっているだろうっ!
代わりに私が喰らえばいいと思った奴は怒らないから出てきたまえ、干からびるまで啜ってやるから。
なら
そもそも『男』の『生命』を喰わせるのだって嫌だったんだぞ?それを妥協して回復を優先したんだから
だが、虫や変な生き物は駄目だ!
そんな物はソフィアに食べさせたくないっ!
過保護だとしても知らん、だって可愛い妹の事なんだもの……私がルールなのだ!(暴論
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