第23話 過ごしやすく自然なデートを その1
多目的トイレから出てすぐ、陽香さんから謝られてしまった。
「河井くん、ごめんなさい。今日はずっと嫌な女だったわ」
「嫌な女とは思いませんよ。でも作戦ミスでしたね」
「あなたを誘っておきながら、あの態度はなかったわよね」
「まあ、気負いすぎちゃっただけで、陽香さんには悪気はないってわかってますから、僕は気にしてませんよ」
「そう言ってくれると助かるわ」
「そんなことより、今日の目的は推し活ですよね! 推し活のやり直しをしましょう! ほら、そこのポップアップストアで気になるグッズがいっぱいあったんですよね? 僕ですらこんなに買っちゃったんですから、陽香さんならダンボール一箱分くらい買っちゃいますか?」
「大人だもの。そんなに買わないわ」
「陽香さん、また無理してませんか? 大人だからこそ、買いたい時に買えるだけ買うべきなんじゃないですかね」
「……そうね、あなたの言う通り。今日は大人買いをさせてもらうわ」
そう言って、陽香さんは微笑んだ。
よかった。推しを愛する陽香さんが戻ってきた。
やはり彼女は、渋面を作って難しそうな顔をしているより、こちらの方がずっと無理がなくて自然だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます