第2話 レ○プさせてください
「私は本当にSNSで自分のことを脱糞戦士と称している中年男性の動画を見たんですよ。ただ…その動画が消去されてしまって…今はないだけなんですよ…」
カウンセラーが息を深く吐く。聞くまでもないことだろうが私は耳を傾ける。
「佐藤さん…いいですか…この話をするにあたって、まず誤解しないでほしいのは……貴方のことを精神疾患だと決めつけているわけではないということです。それを踏まえて、あなたはきっと幻覚を見ていたんだと思います。
記者というハードワークな仕事をこなそうとした結果だと個人的に私は思います」
私は軽く頷く。それを見たカウンセラーは頭を抱える。なぜだろうかと考えたのだが私がした行動は他人から見たらそれはとても不服そうにしていた行動なのだろう。
「そうですか…まぁ今日は一旦帰ります…ありがとうございました」
私はカウンセラーに挨拶をしカウンセリング室を足早に去る。
友人に脱糞戦士について話したのはいつ頃だろうか。信じてもらえずいくつもの精神科を勧められたのは大変プライドを傷つけられた感じがする。
そんなしょうもない過去の記憶を掘り返し自己嫌悪に陥りながらも、私は帰路に着く。
いつも通りなら帰路に着いたらあとはそのまま道に沿って帰るはずだった。
だが、曲がり道の奥の駅方面からヘッタクソなギターの音が聞こえる。路上ミュージシャンとはこんなに下手くそなものなのだろうかと興味にそそられ曲がり道を曲がった。
駅方面の方には1人鎮座し、ギターを弾く中年男性がいた。周りを取り囲む群衆は居らず運悪く彼と目が合ってしまった。
このまま何もせずに去るという行為は私の善意が許さなかった。
練習中なのか、それとも曲を弾いてるのかわからないヘッタクソな演奏を聴いているとその中年男性はおもむろに立ち上がり私の方向に向かってくる。
怖い。だが足がすくんで逃げれない。
恐怖感は男が近寄ってくるごとに比例して増していく。
私の目の前に男はもう来てしまっていた。
絶体絶命と言ったところか。
私は諦めをつけ、何をされるのか想像する域まで達していた。
「レイプさせてください」
男は私にそう言い放った。
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