中年珍行

山田です。あなたを潰します。

第1話 脱糞戦士 

肌に北風が当たる。寒さに凍え、息が霞む。人々がイルミネーションやケーキを楽しむ日に俺は十二階建てビルの屋上で全裸だ。

大きく息を吸い景色を堪能する。

そして、ビルの真下に見える群衆に叫ぶ。

「脱糞戦士!!我は!!脱糞戦士だああぁぁ!!」

柵を乗り越え、美しくビルの真下に脱糞をする。

発射された物は見事に着地した。着地点から円状に人が離れていく。

「ああぁ…………いい!!良い…………」

さらに脱糞を続ける。発射されたものが積み上げられた場所はさながら着地用マットといっても過言ではない。

柵の中に入り呼吸を整える。

汗に濡れた顔を拭くと快感が背中を走り抜けた。

俺は自分の所業を見て興奮していたんだ。

きっと

「きたねぇもん見せやがって」

「ガチで死ねよ」

とかの軽蔑の視線が寄せられてるのだろう。

これが愉悦というものか…年齢65歳でやっと理解出来た。

ドンドンと金属製のドアが強くノックされる音がする。

「潮時か…」

俺はまた柵を乗り越えて、よくある刑事ドラマの最後のシーンのように柵に捕まりながら警官が来るのを待つ。

私はその瞬間を身構えた。

ドスンと鈍い音と共に警官三人が入ってきた。

「今すぐそこから離れて、こっちにきてください」

「まだあなたは人生長いんですから、落ち着いてこっちにきてください」

「そんなことはやめてください」

三人が俺を説得させる言葉を陳列させる。だが俺の心にはそんな言葉は入る隙が全くない。

「お前たちに何がわかるんだ!!!!!!俺には!!もう時間がないんだ!!!!!余命あと八ヶ月なんだぞ!!!!!!!家族にも捨てられて!!!!じゃあ逆に俺は何をして生きたらいいんだ!!!!!」

俺の渾身の一言が警官たちをよろけさせる。

次の瞬間。俺は飛び降りた。

飛び降りた瞬間、全ての時間が遅く感じられた。

下には他の警官はおらずあの警官達は応援要請はしていないようだ。するまでもないと慢心していたのだろう。

これでやっと俺は幸せになる。着地まで1秒前。

俺は着地用マット、基うんこに着地した。

うんこの落下による衝撃吸収率は異常だった。

そのまま俺は全裸のままクリスマスの街を走り抜ける。後ろでは警官達の声。それは俺を応援するような声にも感じられた。


そしてまた俺の死ぬまでにやりたいことリストにチェックがついた。


※この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません

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