第4話

『ふむ…、内容によるかな?』


「いや、ある意味これも決定事項ですよ。願いを聞いてくれなければ、何をするのか知りませんが、何もしませんよ?」


『それで、何を願うのかね?』


「あの女の未来永劫の不幸。貴方が神だと仮定して、輪廻も有るでしょうからね。例え虫に生まれても不幸で長生きして欲しい。心から反省する迄は…」


『んー、それ位の干渉ならいっかー。はい。んじゃ、これでこの話は終わりねー』


 か、軽いな…。

 とりあえず不幸は確定したし、あの性格じゃ自分を省みるなんてしないだろうし、どんな不幸に見舞われるのか気になる所だけど…早く忘れよう、卑しい人間にこれ以上心を傷付けられないように。


「それで、何をすればいいんですか?ブラック企業みたいなのは勘弁して欲しいんですけど」


『んー、ブラックかもしれないけど、基本は好きにしていいよー、ホワイトだからねー』


 ジト目で睨むが、存在がぼんやりしたままなので、何を考えてるのかサッパリだ。

 声も男なのか女なのか曖昧だし、子供の様でありまた年寄の様でもある。ただ楽しそうな雰囲気だけは感じる。


『地球も実験場の一つなんだー、人種の繁栄と衰退。文明の発展。人間関係のドロドロとかねー。色々観察するの楽しいよー。ふふ、まずはコチラー』


 目の前に大きなモニターの様な物が現れ、地球みたいな星が映る。


『地球はねー、実験場としては中々に混沌とした世界になってね。地球用に創った魂以外も廻るようにしたんだよねー。多様性と言えば聞こえは良いけど。大抵はその地域で育てば馴染む物なんだけど、異常個体は悪い方に出がちみたいでねー、ふふ、困っちゃうよねー』


 全ての世界が遊び場か…、そこに住む者にとっては迷惑な話だな…。


『それで、この新しい実験場はキミに管理して貰うねー』


「は?」


『ふふ、楽しみだー、好きにやっていいからねー。あ、人種の繁栄と魂の昇格。これはこの実験場でのキミの成すべき事ね。後は好きにやってー、って言っても勝手が分からないだろうからね、高性能なアンドロイドを付けてあげるよ』


 モニターの横に現れたのは、服屋に置いてありそうな白いマネキンだった。

 物凄い滑らかな動きでお辞儀をしている。顔は造形のみだからか、現実味が無く、良く出来たCGを見ている様だ。


『人っぽさは敢えて消したよ、あくまでもサポート要員だからねー。管理者に成った時点で死なないし精神異常にもならないからねー。ふふ、元々おかしいって可能性もあるかーなんて』


「は?」


『何か質問あるかなー?』


「え?あ…な、何を聞けばいいのかすら解らないのですが…」


『んー、地球での概念を持ったままでも良いけど、人種の指が五本じゃないと駄目、とかでは無いよ、何でもかんでも好きに決めれば良いよー。ま、地形も植生も動物も好きに造ってよ!CG駆使しても良いし、粘土捏ねてもいいし、イメージだけでも創れるからねー。管理者としての権能なんかはアンドロイドに聞くといいよ。全てがボクの遊びだから、キミも楽しんでよ!』


 何だか最後は一方的に言うだけだったな…全て…ってブラックもいい所なのでは…説明も有って無いようなものだし…サービスってあのマネキンだけなんだろうか…ひっそりと溜め息を吐き出した…

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