第66話 坂相勘九
§ § §
(ラッキーだな……多智花夫妻か……事を進めやすい……)
「ギャッッ!!! ガ、ガ、ガ……」
突然、多智花旦那が苦しみだし倒れて体中をかきむしるように体中をくねらせていた。
(ギフトの力は衰えていないようだな……フフフ……女神教の奴め、良い様だ!……なんてことを! やめるんだ! く……)
「なっ!! しまった……力……が……抜ける……」
完全に動けなくなった二人を見て余裕の表情を口元に浮かべる。
「……さて……あなた達……少々お願いがありましてね……」
「邪神の手先め! 言う事なんて聞くものですか!」
多智花妻が啖呵を切った瞬間に多智花旦那が叫び声をあげる。
「ギャッ!! ギ……ギ……ぜ、絶対に……いうことを……きくな……ギャッゥ!」
「あ、あなたっ!!」
「なるほど古傷にも有効の様ですね。そう言う仕組みだったのか……さすがは女神教の敬虔な信者……ですが……折角ですから痛みと拘束を入れ替えてみます?」
「なんですって?」
「グ、グ……?」
「はたして……痛覚の増加にあなたのお腹の子は耐えられるのでしょうか?」
「!?」
「?! ギ、グ……ぎざまっ……」
「何で知って……」
二人の表情は沈み込み、一気に絶望の淵に落とされてしまう。
「さて、交渉を開始しましょうか……出来るならお互い利益が出ると良いですなぁ……クックッ」
多智花旦那は
§ § §
多智花妻は海波父の書斎から封印された何かの中身を取り出して持ってくる。
「ああ、素晴らしい、お告げの通りだ……女神教の信徒ならたやすく封印の中に入れる……一人では無理でした。感謝します」
「これで……これでいいんでしょ?」
「上出来です。なるほど……これが鍵……時が止まっているな……」
「そんなものが入っていたのね……」
「ツゥ……魔獣の心臓……グッ……ギ……」
「なるほど……これを扉の奥に……承知しました。我が主よ……」
「交信……しているの?」
「邪神の気配……」
(くっ……知らせなければ……)
「ああ、そうそう、あなた達はしばらく眠ってもらいましょう……『万能なるマナよ。万物を構成するエーテルよ、混沌と時空を司る神ソベーレの名をもとに我が魔力を糧に、深き眠りに誘う風となれ』」
「ま……魔術師……」
「ああ、くそっ……」
「ゆっくり休め……起きるころにはすべてが終わっているでしょうな……ククッ」
§ § §
(さて……次は……
目の前で召喚術のテストをしている
その周りで注意深く観察している幹部たちを見て、現状では連れ出すのは無理だと悟る。
(良いタイミングで
「
「ああ、今日は休みを取った……」
「あれ? そんな簡単に取れるの? 元気そうじゃない?」
(……? どういう事だ? こんなことされた記憶は無いんじゃが……何かバレているのか?)
「なんだ? 不躾な……」
疑いの眼差しで
「うーん。「賢者」の予測が当たってるのかな……ねぇ、
「おいおい!
「誰にやられたの?」
「……すまないな……
「わかったわ」
「助かる……ありがとう」
「あなたがこんなにボロボロになるなんて……しかも殴り合い? 何をしたの?」
「ああ、過去の因縁……前世の因縁を果たしただけだ。後は……八つ当たりをされたようだ……」
「え? ヤツアタリ? なんの?」
「お、おいなにするんだ? どうした? 怒ってるのか?」
「……歯を食いしばれ……」
「なっ??」
「いや……腹に力を入れろ!」
「ちょ、ちょっとまて!!」
ドコン!!!ズサァアア! ドン!
十メートル以上離れた壁に
「ごふっ! て、てめぇ! 何しやがる!」
そのあと
「え!?」
(まだ言っちゃダメなのに……しょうがないな……神様はもっと正確に未来を見せてくれればいいのに……)
§ § §
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