第8話 癒し枠

※これは第7話と8話の間の時系列のお話です。



 ある朝、俺はいつものようにいぶちゃんの配信を見にいく。

 朝配信を見にいくのはもはや日常のルーティーン化していた。


『◯◯、おはにゃの〜』


 挨拶をしてくれる声に癒される。天使のような声だった。


「あ、夜配信と明日朝行けないこと伝えないと……」


 俺は今日の朝から出張で、県外に行くことが決まっていた。流石に夜と明日朝の配信は行けないだろう。


『あら、そうなんだぁ〜。大丈夫だよ、無理しないでね? 出張気をつけて行ってきてね〜!』


 配信行けないと伝えると、こちらの心配をしてくれる。やっぱり優しい。

 とりあえず俺は出張で出発するまでいぶちゃんの配信で楽しむのだった。





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「あ〜……。疲れた……」


 次の日の昼、出張から帰ってくると荷物を適当に置くと、スーツを脱ぎ捨てて布団に飛び込む。


 怒涛の出張だった。昼から会議、夜から飲み会で朝まで飲んだ上そのまま帰ってきた。寝不足にも程がある。


「あー、ちょっと寝るか……」


 俺は荷物を片付け終えると、少し寝ようと目を瞑った。




 ふと目を覚ますと、周りが暗い。何時だろうかと思い携帯を見て衝撃を受けた。


「6時半!?」


 流石に寝過ぎた。急いでご飯を作って食べると、配信通知が来る。


「お、いぶちゃん……?」


 配信タイトルを見ると、語尾変という文字が書いてあった。どういうことだろう?と思いつつ配信を開く。


『おはにゃの〜。朝語尾変終わらなくて続きになっちゃった〜』


 なるほど、終わらなかったのか。そんなふうに思いながらのんびりと配信を聴く。


『次の語尾は「ぞなもし」だね。……ぞなもしって何!?』


 思わぬ語尾に笑ってしまった。


『じゃあスタート! みんなありがとう……ぞなもし。いや本当に何これ!?ぞなもし』


 語尾変だろうが他愛もない雑談に癒される。


 俺はいぶちゃんの配信で出張の疲れを癒すのであった。


8話 完

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