時間と若さだけは戻ってこないからね
《時間と若さだけは戻ってこないからね》
同時期に二人の大人からそう言われたとき、それはきっと現実なんだと思った。心底から吐露されたような言葉に聞こえた。戒めとか教訓とかじゃなくて現実。いま自分は紛れもない現実を突きつけられている。
私は日々お金のことを最優先に考える。貯金はできているか?今週は少し食費がかかりすぎていないか?もう少し光熱費を抑えられないか?
少し前まで貯金は喜びを感じられる程度だったのに今や義務の手前まで来ている。先月よりもできるだけ出費を減らしたい。外食もしない、ショッピングもなるべく控える、美容だってぎり清潔くらいであれば問題ない。だって貯金額なんてみんな教えてくれないからいつ安心して良いのかわからないし将来年金が貰えるかもわからない。
そんな時にこの現実を突きつけられとにかくショックだった。今しかできないこと、今しか得られないものをきっとたくさん取りこぼしてきたのはとっくに気付いていたから。けっこう色んなことを自己完結してきた。自分以外の別の価値感に触れることで変わることがあったかもしれないのに。
経験にはお金がかかる。それで経済活動が回っているから仕方ないのだけれど。でも、やっぱりお金がかかる。
別に何もしてこなかったわけじゃない。したい事や食べたい物があればお金を費やした。でも何かしたいと思いついた時、まずはしなくてもいい理由を探すのが癖になって、理由が見つからないときは今やる必要があるかどうかを考えた。我慢をしたんじゃない、我慢なんて認めてたまるか。
そもそも28って若いのか?周りに言われる「いい年頃ね」が急にグサグサ刺さるようになった。
「いつ始めたって遅いなんてことはない!」ことに気づいたならそれは今から始めなければ遅いよ、と流れてきたCMにも喝を入れられる。
若いうちにしか出来ないもの、若いからこそ出来るもの。これは恐らく、歳をとったらできないんだから!のことだけではないだろう。若いからこその考えや感じれる思いがあるということ。同じ経験をしても歳を重ねることで捉え方は変わるものだから。
ジブリは小さい頃から何度も見ているからストーリーはもう充分理解しているのに金曜ロードショーで放送されていたら必ず観てしまう。もうもののけ姫なんて何度観たかしれない。それなのに毎回感じるものが違うし今でさえ新たな発見がある。子供の頃には感じなかった思い。子供の頃に感じた思いも正しい。
でも私は彼女たちに言われたこの言葉の本当の奥底まではまだ飲み込み切れていないような気がする。全部飲み込めるのはきっともっと歳を取ったときで、そのとき後悔や諦めが0とは言わなくてもなるべく少なければいいなと思う。
きっとこの先もお金のことを一番に考え続ける。貯金だって何だかんだ続けているのだからしたい事の一つなんだ。だけど“今”の気持ちをあんまり無視し続けるなよってなるべく思うようにしようと思う。
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