第獸伍話 【朝焼けの祈り】

配役表一覧✝

●PC1 タイタス→男性

●PC2 マクベス&???②→男性

●PC3 ジュリエット→女性

●PC4 ラヴィニア→女性

●SV1 ヘレナ→女性

●NC(ナレーション)①&???①(作中兼役)→女性

●NC(ナレーション)②&???③(作中兼役)→男性


✝男女比率✝

男3・女性4(7人台本)


✝ジャンル✝

SF・ダークファンタジー【R-15G】

(※同性愛表現・残酷描写・鬱展開有)


✝所要時間✝

約40分




────────────────────────

NC①

─────【彼女】は【神様】に愛されていました。




【神様】に愛されていた【彼女】は【シアワセ】な少女でした。




そんな【彼女】に【神様】は【祝福】を与えられ、地上で最も美しい少女として、【贈物ギフト】を送られました。




【彼女】は【神様】を愛していました…………。




けれど【神様】は【彼女】を捨て、こう言いました。





───【美しいだけじゃ ツマラナイ】───と。





【神様】は【彼女】に見捨てられてしまいました。




美しかった【彼女】は【楽園】を追放され、【神様】の愛を失った【彼女】は、この世界で最も醜く卑しい【バケモノ】に成り果てました。




誰も【彼女】を愛さなくなりました。




果たして、本当に【神様】は【彼女】を裏切ったのてましょうか?




いいえ、いいえ。

【神様】は【彼女】を裏切っていないのです。





【神様】を裏切って【彼女】の愛を横取りしたのは




【お前達】なのだから…………────────





NC②

 永い後日談のネクロニカリプレイ風 声劇




『The Fake World of the End (ザ フェイクワールド オブ ジ エンド)』




『第弐章 Thistle(シィソー)~壊れた楽園の華~』

獸伍じゅうご話 【朝焼けの祈り】




NC①

4人はしばらく泣き続けていたがどの位時間が経っただろう、少しずつ4人の心は平静になっていく。


タイタスの身体は何処どこ彼処かしこも血塗れで、身体の彼方此方あちこちのパーツも欠損し、胴体には巨大な穴が貫通し、千切れてしまった はらわたの残骸が散乱して血溜まりが広がっている。

そんな脱力したタイタスは花畑に大の字になって静かに横になった。



まぁ、それも良いでしょう。



今までの戦闘の張り詰めていた緊張の糸が切れてしまったのだから。

今だけでも足を止めても許されるわ。



今の貴方には休息が必要だ。

盾として十分な役目も家族の一員としての決意も果たし、満身創痍な貴方。


だが、それでもなお、動かせる死体の身体。

痛みも苦痛も感じない死人。


自分も彼等と同じ【バケモノ】になったと実感が湧く。

けれど、貴方達には出来損ないの彼等とは違う。



貴方達にはまだ【心】がある。



貴方達が切り裂いて見捨てた手駒達とは違い、貴方達の【心】はまだ狂い、壊れていないのだから。




タイタス

(嗚呼……僕……こんなになっちゃってもまだ生きてるんだ……いや、死んでるんだっけ……

身体中ボロボロなのにまだ動けるんだなぁ……

思考も働くし、不思議だなぁ……)



ラヴィニア

「……タイタス……さま……タイタス母様……???」



タイタス

「っっっうわあああああああっ!!!!???

ラッ、ラヴィニアッ!!!!???

び、びっくりしたぁぁっぁ!?!?

ど、どうしたの???」



ラヴィニア

「すみません、ずっと声はかけていたんですが、タイタス母様の反応が無くて、もしかしたらタイタス母様も壊れてしまったんじゃないかって怖くなって……ふぇっ、うわあああああああんっ!!!!!

良かったですぅぅぅぅぅぅぅっ!!!!!!!

タイタス母様が生きててっ!!!!!」



タイタス

「ああっ!!!ごめんねラヴィニアッ!!!!

初めての戦闘だったし怖かったよね、よしよし。

ごめんね、ちょっと考え事してたんだ。

ごめん、ごめんねっっ!!!!!!!

お願いだから泣き止んでぇぇぇぇぇぇっ!!!!」



ジュリエット

「あーーーーーっっっ!!!!!!

タイタスがラヴィニアを泣かせてるぅぅぅっ!!!!

いーーーーーけないんだっ!!!

いっけないんだぁ―――!!!

マクベス先生っ!!!タイタス君がラヴィニアさんを

泣かせてますぅぅぅぅう!!!!!!!!」



マクベス

「……幾らタイタスでもワタシの大切な可愛いラヴィニアを泣かすのはちょっと許せないなぁ……キツイお仕置きが必要かな????

そ・れ・にワタシ達が幾らやめてくれと言っても庇い続けた事……私はまだ許していないし、怒ってるんだよ……ねぇ、タ・イ・タ・ス???」



タイタス

「ひぃぃぃぃぃぃぃぃっっっ!!!!!!

怖いっっっ!!!!笑顔が怖いよっっっ!!!!!

戦闘の時のブチ切れより怖いんですけどっっっ!!!

顔は笑顔だけどが笑ってないよっっっ!!!!

ごめんなさいっっっ!!!!

ごめんなさいっっっ!!!!

反省してるし何でもするから許してぇぇっっ!!!」



ラヴィニア

「ひっく……ぐすっ……ふぇっ…っそうですよっ!!!

タイタス母様っっ!!!!!

ボクもちょっとおこなんですよっ!!!!!!!!

タイタス母様っっっ!!!!!

めんめっっっ!!!ですっっっ!!!!!」



ジュリエット

(めんめっっっ!!??何それぐうかわ!!!!!

ちょっとタイタスそこ変われっっっ!!!

あたしもラヴィニアにめんめって言われたい!!!)


「……ん???

そう言えばラヴィニア何持って……ひぃっ!!??」



タイタス

「ラ、ラヴィニアさん……あの、ソレ……ど、どうするの???」



ラヴィニア

「タイタス母様動いちゃ駄目ですよ、じっとしていて下さいっ!!! 直ぐに済みますからっっっ!!!」



マクベス

「ちょっ、ちょっとラヴィニア!!!

落ち着いてって……なっっっ!!!???」



ジュリエット

「う、嘘……傷が……癒えていく……!!??」



NC②

ラヴィニアの手の中にはポタポタと真っ赤に染まった

血塗れの雫をらしている肉塊の塊が握られ、真っ白い手のラヴィニアが持つソレはまるで鮮やかな花のようにも見えた。


ラヴィニアはそれをタイタスの重症である腹部の傷口に肉塊を押し当てると、ぐちゅりぐちゅりと音を立てながら、肉体と同化し、みるみるうちに傷口が自然と塞がって、あっと言う間に血だらけの腹部は完全に修復し、

完治していった。



変ですねぇぇぇぇぇぇぇ。



あの戦いの中で折角、あの子が教えてくれたじゃないですかぁ。



君達はもう普通の人間なんかじゃない。

君達はもう【バケモノ】なのですから。



ほらほら、君達の愛すべき【家族】の末っ子が不思議そうな顔で見ていますよ。




ラヴィニア

「あの、タイタス母様、お加減は如何いかがでしょうか???

タイタス母様を治す為に色々と綺麗なモノを集めて来たんですが、何か違和感とかありますか???」



タイタス

「えっ!!!???あー……うん、大丈夫だよ。

特に変な違和感とか動かしにくいとかは無いよ。

それにしても、どうして治ったのかな……???」



ラヴィニア

「あの戦いの中で大怪我を負ったタイタス母様を見ていたヘレナさんがくっつけたら良いって言っていたのを思い出したんです。

もしかしたら治るんじゃないかって思って……」



ジュリエット

「そ、そんな事ありえないっ!!!って言っても確かに治っちゃってるし……って事はアタシ達もさっきみたいに治す事が出来るって事?????」



マクベス

「嗚呼……どうやらそれは確かのようだ……

私ワタシの傷もラヴィニアがやったと同じ方法で腹部の傷を治療してみたんだが肉塊を傷口に当てるだけで完治したんだ。」


(どう言う事なんだ……????

死者であるワタシ達の身体に何かの細工がされている????

一体何の為に?????

まるで戦う事を求められているような……)



ジュリエット

「マジで!!!???じゃあアタシが怪我したらこんなきしょいやり方で治すのっっっ!!!???

でも……気持ち悪いけど仕方ないかぁぁ…手持ちの包帯にも限界はあったし……うぅ、でもでもなんかやっぱりキモイぃぃいぃぃぃいっ!!!!」



ラヴィニア

「大丈夫ですよ、ジュリエットお姉様。

もしジュリエットお姉様が怪我をしたらボクが治しますからっ!!!

痛い痛いの飛んで行けっ!!!ってしますからっ!!!」



ジュリエット

「それはそれで嬉しいけど何か複雑ぅぅぅぅう!!!!」



タイタス

「あはははっ、じゃあ皆で残りの傷も治しちゃおうか。

マクベスも此処ここに座ってよ、両手も傷だらけなんだからさ。」



マクベス

「ありがとう、タイタス。でも君の方が先だ。

ワタシより重症なのは君なんだから。」



ジュリエット

「じゃあアタシはマクベスとタイタスを治せる分のモノを集めて来るからアンタ達2人は其処そこにいなさいっ!!!!

ラヴィニアも手伝ってくれる???」



ラヴィニア

「はいっ!!!勿論ですっ!!!」



NC①

4人は辺りに散らばったパーツを拾い集めて傷を負っているタイタスとマクベスの身体を修復し、重症だったタイタスと軽症のマクベスの傷は完治して元の身体へと戻っていく。


つい先程まで赤の他人の、あるいは【バケモノ】の一部だった筈のモノが、今では自分達の一部となって動かせる。



何て簡単で便利で、何てあっけなくて、おぞしいのかしら。



ふと、タイタスの脳裏にジジジッと音を立てて、ある映像が流れ込んで来る。



タイタス

(何だっっっ!!!!????

何か見える……あれは……ヘレナ……!!??)




NC②

──────ヘレナの記憶のカケラ

【陵辱】のシーン──────




ヘレナ

「やめて……やめて……お願い…やめ、て……

ぃぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!!!

いだいいだいいだいっっっ!!!!!

やだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!

殺さないで殺さないで殺さないでぇぇぇぇっっっ!!!!」




NC①

──────また始まる【彼女へレナ】の地獄の日々。



腕を引き千切られ、足を切り取られ、目玉をえぐられ、皮膚をがされ、骨を砕かれる。



毎日、毎日、毎日、毎日。

血反吐を吐きながら生かされては殺される毎日。



悪意の籠った下卑げびた笑い声と彼女ヘレナなじる怒声。




ヘレナ

「いっ、嫌だ………やだやだやだっっっ!!!

やめてっっっ!!!溶かさないでっっっ!!!!!

やめてよぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ!!!

ぎゃぁぁあああああああぁっっっ!!!!

あついあついあついあついいいいいいっっっ!!!!

いぎゃああがががががっっっ!!!!!!」




???①(NC②兼役)

「ハハハハハハハハハッッッ!!!

おい見て見ろっ!!!

まるで毛虫じゃないかっっっ!!!!!!

熱いかぁぁぁぁ????んんんん????

アツアツの硫酸は気に入ったみたいじゃないか~

ほらほら、逃げろ逃げろっっっ!!!!!

逃げる両手も両足もないけどよぉっ!!!!」





ヘレナ

──────腕と足を切り取られるのは5点だからもう慣れた。




──────生爪と皮膚を剥がして焼かれるのは5点だからもう慣れた。




──────首を絞められて水底に沈められるのは5点だからもう慣れた。




──────お腹の中身と頭の中身を弄られて犯されるのは5点だからもう慣れた。



身体中切り刻まれて、殴られるのも、蹴り飛ばされるのも、薬を打ち込まれるのも、身体を溶かされるのも、腐らせるのも、沢山の蟲と獣と人間に犯されるのも、全部5点だからもう慣れた。





NC①

──────赤黒い血と生臭い体液の混ざって腐っ死体を彼女ヘレナは泣きながら毎日喰べる。



べる。べる。べる。



喰べては殺され続け、【陵辱りょうじょく】される日々の中で、身体の自由を拘束された血塗れの処置ベッド上で彼女ヘレナは祈り続けました。



祈ったのです、毎日、毎日、毎日、毎日。



朝も昼も夜も祈り続けました。



けれど祈りは届かない。

誰も助けてはくれない。

誰も救ってはくれない。




ヘレナ

(嗚呼……【カミサマ】……どうしてヘレナ《ワタシ》は死ねないの???

早く、早く。どうか、どうか、【カミサマ】。

ワタシ《ヘレナ》を死なせて下さい……)





マクベス

「……タイタス……タイタス????

どうかしたのかい???

顔色が真っ青だけど……」



タイタス

「……見たんだ……ヘレナの過去を……

ヘレナの過去が頭の中に流れ込んで来て……

ヘレナはずっと死を望んでいたんだ……

あんな……あんな酷い事をされてっっっ!!!!!

死を望んで……死しか救いが無いなんてっ!!!!」



マクベス

「タイタス……」



タイタス

「あっ、ご、ごめん……取り乱しちゃって……

けど……どうしてヘレナはこんな辛くて苦しい思いをしなければならなかったのか……僕には分からないんだ……」



マクベス

「……じゃあ一緒にその答えを見つけよう、タイタス。

ワタシ達の過去とヘレナの過去に繋がりがあるならきっとその答えが見つかるだろう。

だから……もう泣くのはおやめ。」



タイタス

「マクベス……ありがとう……」



ジュリエット

「ちょっとちょっと!!!???

大丈夫、タイタスっっっ!!!???

もしかしてマクベスに泣かされたの????

アタシとラヴィニアが修復に使えそうなモノを

探している間にまさかっ!!!???

純潔がなくなったのっっっ!!!???」



ラヴィニア

「ジュンケツ???

じゅんけつってなんですか???」



タイタス

「ぶふぉあ!!!!????

そそそん事されてないよぉっっっ!!!!!

泣いてたのは……そのー……あのー……えっと……」



マクベス

「何だい???

もしかしてワタシ達のイチャイチャにヤキモチでも焼いてるのかい、ジュリエット???

仕方ないなぁ、素直に甘えてくればいいのにさ。」


(さっきの話はジュリエットとラヴィニアには

黙っててあげるか……)



ジュリエット

「誰が焼くかボケェェェェェッッッ!!!!

アタシにはこの可愛い可愛いラヴィニアがいるもーんっ!!!ねー、ラヴィニアっ!!!」



ラヴィニア

「は、はい???ボクは皆さんとずっと一緒ですっ!!!

あの、えっとタイタス母様とマクベス父様の修復が終わりましたっ!!!」



ジュリエット

「ありがと、ラヴィニアっ!!!

それにしてもタイタスってば戦闘の度にボロボロになるからこれからは気を付けてよねっ!!!

……アタシやラヴィニアが無傷で2人を治すパーツが足りない事も無かったから良かったけど……次はこうなるかわかんないんだから無理しないでね。」



タイタス

「うん、ありがとう、ジュリエット、今度からはちゃんと気を付けるよ。

あ、でもラヴィニアも凄かったよねっ!!!

不思議な力を使って、途中コントロールしながら倒していたけどあれは何だったの????」



ジュリエット

「そうそうっ!!!!

大勢の敵の集団が一撃で潰れちゃって、突然別人みたいに糸と槍で切り裂いてやっつけちゃうし、ラヴィニアがあんなに強いだなんて知らなかったわっ!!!」



マクベス

「もしかしてラヴィニアは過去に戦闘訓練を受けていたのかい???

それにあの時【自我次元じがじげん】や【Π.ρ.ο.μ.η.θ.ε.ύ.ς(プロメテウス)】

言っていたが……」



ラヴィニア

「え…………???

自我次元じがじげん】???

【Π.ρ.ο.μ.η.θ.ε.ύ.ς(プロメテウス)】????

あの……ごめんなさい……その、ボクにも分からないんです……」


(……分からない……ボクはどうして??????

あの時、殺されるって思った瞬間、ボクの中で【ナニカ】が壊れて……頭の中で【誰か】が力の使い方や戦い方を教えてくれて……)



ジュリエット

「ええええええっっっ!!!!!?????

もしかして覚えてないの??????

不思議な力を使った事も戦った事も???」



ラヴィニア

「いえ、その、何て言ったら良いか……

ボク自身にも何が起きたか分からないんです……

何時の間にか不思議な力と戦う術が頭の中に出て来て……

でも【自我次元じがじげん】や【Π.ρ.ο.μ.η.θ.ε.ύ.ς(プロメテウス)】が一体何なのかは分からないんです……ごめんなさい……」



マクベス

(……ラヴィニアが【ナニカ】を隠している様には見えないが【自我次元じがじげん】、Π.ρ.ο.μ.η.θ.ε.ύ.ς(プロメテウス)】……

それにラヴィニアが見た自身の記憶のカケラも意味深なモノだった……だが今は……)


「いずれこの先を進んで行けば何か分かるかもしれないんだからそんなに怯える必要は無いよ、ラヴィニア。」



ジュリエット

「そうよ、ラヴィニアに分からないんだったら

これ以上追及なんかしないわ、だから謝らないで。

ね、ラヴィニア。」



タイタス

「そうだね……あっ、ラヴィニアこっちにおいで。」



ラヴィニア

「え???あ、は、はい、何ですか???タイタス母様???」



タイタス

「初めての戦闘で怖かったよね……

でもラヴィニアのおかげで僕等は無事で済んだよ、

ありがとう、良く頑張ったね、ラヴィニア。」



NC②

タイタスはそう言うとそっと優しくラヴィニアの頭を撫でた。

幼子をあやすような温かなぬくもりの籠った手で、

ラヴィニアのサラサラで柔らかな髪に触れる。


するとラヴィニアの中で昔、誰かにこんな風に落ち込んでいた時に自分の頭を撫でてて貰ったような感覚に包まれた。

一体誰にして貰ったのだろう???

けれどそれはかすみが掛かったように思い出せない。



ラヴィニア

「あ、ありがとうございます、タイタス母様……

タイタス母様によしよしして貰えると何だかちょっぴり……その……恥ずかしいんですけど……でもでもでもっっっ!!!!

凄く凄く嬉しいです……ありがとうございますっ!!!」



タイタス

「えっ!!!???

あ、そ、そっかーその、あの、こ、こちらこそ……って、ぐぇぇぇぇぇっっっ!!!!???」



ジュリエット

「フフフ……タァァァイィィイタァァスゥゥゥ???

アタシの可愛い可愛いラヴィニアに手ぇ出してんじゃないわよぉぉぉっっっ!!!!!

アタシだってまだラヴィニアとぉぉぉぉぉイチャイチャしたいのにぃぃぃぃぃっ!!!!!!!!」



タイタス

「えええええっっっ!!!???

別にそんなつもりじゃって…あぎゃあぁぁっっっ!!

痛くないし呼吸もしなくて良いけどあれ??!!

何か苦しいぞっ!?!?ってちょっとギブギブギブー!!!!!

中身出ちゃうからぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!」



ジュリエット

「まだまだぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!!!

こんなもんじゃ終わらないわよっっっ!!!!!!!

おぅりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!!」



タイタス

「ぎゃぁぁあああああああああぁっっっ!!!」



マクベス

「ぅわぁぁ……」


(ジュリエットってプロレス技なんて使えるのか、怖ぁ……

アイアンクロウとチョークスリーパーからのジャーマンスープレックスって一体、何時いつの間に思い出したんだ???)



ラヴィニア

「うわあぁぁっっっ!!!!

ジュリエットお姉様カッコ良いですっっっ!!!!!

マクベス父様っ!!見て下さいっ!!

ジュリエットお姉様がご自身よりも大きいタイタス母様を放り投げましたよっっっ!!!!!!

これがジュリエットお姉様の華麗な体術なんですねっっっ!!!」



ジュリエット

「えっ!!!???カッコ良いっっっ!!!???

ヤダ嬉しいぃぃぃぃぃっっっ!!!!!!!

じゃあラヴィニアにも今度教えてあげるからねっっっ!!!!」



マクベス

「あーーー……ラヴィニアはその凶暴な技は教わらなくて良いからね。

えっと、体術にも色々あって、今ジュリエットが使ってるあれはプロレスって言う技なんだよ。」



ラヴィニア

「プロレス???何だか強そうな名前ですねっっっ!!!」



マクベス

「あと他にも夜の体術とかって…あだだっっっ!!!

オイコラァッッッ!!!ジュリエットッッッ!!!

頭を掴むなっっっ!!!!!

潰れたらどうしてくれるんだっっっ!!!!!!」



ジュリエット

「なぁぁぁにぃぃぃラヴィニアに教えとんのじゃ

こんのドスケベ変態マクベスッッッ!!!!!!!

アタシ達の可愛い天使のピュワピュワマイシスターに

吹き込んでんじゃないわよっっっ!!!!!」



ラヴィニア

「タイタス母様、夜の体術って何ですか???」



タイタス

「はぁっ、はぁっ、はぁっ……し、死ぬかと思った……いや、もう死んでるけどさ……って、ええええええ!!!!!????

よよよ夜の体術っっっ!!!!!????

えーーーーっと……あの、その、つ、つまり、も、もうちょっとラヴィニアが大人になったら分かるんじゃないかなぁ……あははは……た、たぶん……」



ラヴィニア

「そうなんですかっ!!!!???

分かりましたっ!!!!!

早くボクも大人になれる様に頑張りますっ!!!!

ふんすっ!!!!!!」



NC①

狂った【演壇ショー】から降りた【貴方達ドール】の心が落ち着きを取り戻した頃には【舞台ステージ】は大きく様変わりしている。


先程までの悪意も敵意も殺意も嘘のように、悪夢など最初から無かったかの様に花畑は静かな姿をしていた。




めでたし、めでたし。




……なんて都合良くいく筈も無い。




今が夜ならばどんな【真実】も夜の闇が隠してくれたでしょう。



けれど何時いつの間にか朝を迎えて、眩し過ぎる朝日は全てを公平に残酷にこの惨劇を君達の眼下に突き付ける。


枯れて腐り朽ちて逝く花畑を埋め尽くすのは、君達が殺めてしまったかつての彼等。


あるいは彼女達の撒き散らした血の色の様に赤黒い飛沫ひまつ



醜く染められた花畑を甘く、濃い花の香りと鉄錆と血潮の匂いが充満していた。


それは汚されなかった花畑にも、戦闘の激しさをうつす傷跡は色濃く残っている。


地面は醜くえぐ れ、花は踏み潰され、物言わぬ少年少女の姿をした【バケモノ】成れの果てが彼方此方あちらこちらに散らばっている。




嗚呼、なんて凄惨せいさん可哀想かわいそうな光景でしょう。




一体誰のせいでこうなったのかしら?????




勿論、そんな事。

貴方達が一番分かっているでしょうけど。




けれど、それでも無慈悲に朝はやって来る。

死者として目覚め、初めて訪れる夜明け。



こんなシチュエーションでなければ、感動出来たかもしれないけれど。




マクベス

「……何時いつの間に……もう朝なのか……」



タイタス

「無我夢中で戦ってたから時間の感覚が無かった……そっか……朝なんだね……」



ジュリエット

「……綺麗だね……」



ラヴィニア

「ジュリエットお姉様……???」



ジュリエット

「変だよね……こんな状況なのに……

自分でも変だって分かってる……

でも……死んでよみがえった死体のアタシ達だけどこんな分からない事だらけの世界でも、朝日は綺麗なんだって想えるの……

きっと生きていた頃も同じ様に朝日を綺麗だって想っていたのかもしれない……」



ラヴィニア

「……ジュリエットお姉様……

ボクもそう想います、きっと……」



マクベス

「…そうだね……ワタシ達が死んでも生きていても、変わらず朝は美しく変わらないのは少し嬉しいね……」



タイタス

「うん……そうだね……」



NC②

君達は朝日に照らされた周囲の花畑を見ると血と臓物で飾られたその中には君達がつい先程まで戦っていたヘレナの成れの果てがある。



頭も手足も胴体も切断せれた哀れな姿。



その瞳が再び何かを映す事も無く、当然、もう彼女は動かない。

君達への甘い誘いも懇願こんがんも歌う事も無い。



死体は死体らしく、死人に口無し。

元の在あるべき姿に戻っただけ。

そう悲しむ必要は無いですよ。



こうなる事しか、【結末シナリオ】は用意されていなかっただけですから。



ほらほら、元気を出して。

ちょっとした【オマケ】も用意しましたよ。




マクベス

「ん……???

ヘレナの遺体のそばで何か光っている……

これは……ドックタグが付いたネックレスだ。」



NC①

ヘレナの飛び散った臓物だらけの遺体の近くで唯一、形が留めていたのはチェーンが切れた銀の錆び付いた

ドックタグが付いている十字架のネックレスだった。



貴方達が持って行きたいならば御自由に。

かつての持ち主なんてお気になさらず。



敗者のアイテムを勝者が奪うなんてよくあるお話。



文句を言うモノはもういないのだから。




タイタス

「何か見つけたの???マクベス???

それはネックレス??????」



ジュリエット

「きっとそれはヘレナの【たからもの】だったのかも……きっとヘレナにとって、とても大切なモノだったんじゃないかしら。」



ラヴィニア

「……ヘレナお姉様の……あっ、あのっ!!!!!

タイタス母様、マクベス父様、ジュリエットお姉様、

お願いがあるんですっっっ!!!!」



マクベス

「お願い???何だい、言って御覧。」



ラヴィニア

「は、はい……その、あの……ヘレナお姉様をこのままにして良いのかなって、思ってしまったんです……

せめてボク達に出来る事があるんじゃないかって……」



タイタス

「ラヴィニア……」



ジュリエット

「……ラヴィニア……

それは……ヘレナを治したいって事???

でも……もし治せたとしても……もう、ヘレナは……」



ラヴィニア

「分かってます……でもっっっ!!!!

……ただ……どうしてもこのままにはしておきたく無いんです……」



NC②

君達3人は本能的に思う。

理性的に考えてもこの哀れな少女はもう決して治らない。


見た目だけ元通りにする程度なら勿論可能だろう。



けれど問題は肝心なのは【心】。



この哀れな少女の【心】はもう治せない。

一度壊れてしまえばもう二度と治す事は出来ない。



それは君達が一番分かっているだろう???



見栄えを良くしても使い終わった使い捨ての手駒は、もう決して戻らない。

喋る事も、歩く事も、何も出来ない御人形が出来るだけ。



はっきり言って時間の無駄。

御薦めはしないけれどどうするかは君達に任せますよ。



マクベス

「……じゃあ……埋めてあげよう……」



ラヴィニア

「埋める……????」



マクベス

「このままだったら他の花畑と同じ様に腐り枯れてしまうならせめて埋めて弔ってあげたら良いよ……

それがワタシ達が出来るせめてもの償いだ。

……どうかな????」



ジュリエット

「そうね……よっしっ!!!!

ならアタシも手伝うわよっ!!!!

まだ枯れてない花を探して花輪のかんむりを作ってあげるっ!!!」



タイタス

「僕もやるよっ!!!穴を掘るなら任せてっ!!!!

やっとこのスコップの出番だしっ!!!!」



マクベス

「じゃあワタシはヘレナと他の遺体を綺麗に出来るだけ元の姿に戻してみるよ、やり方は何となくコツが掴めたから。」



ラヴィニア

「ありがとうございます、皆さん……じゃあボク、ちょっと良い場所を探して来ますっ!!!!」



タイタス

「もう、そんなに走ったら転んじゃうよー!!!!

ちょっと待って、僕も一緒に探すよーーっ!!!!」



NC①

タイタスとラヴィニアは散らばったパーツを丁寧に拾い集めながら、埋めるのに何処どこか良い場所は無いかと彼方此方あちこちを探し始める。



外野からすれば勿論、これも意味も価値も無い、得るモノも無い無駄な時間。



けれどそんな事に一々口を挟むほど野暮じゃない。

邪魔者はいない、好きにすれば良いわ。



ジュリエット

「優しいわね……」



マクベス

「ラヴィニアの事かい、ジュリエット???」



ジュリエット

「ラヴィニアは何時いつだって優しいわよ。

……アタシやタイタスやラヴィニアならともかく、アンタからそんな提案が出るなんて思わなかったのよ。

……アタシだったら……ラヴィニアのお願いに、何て言えば良いか分からなかった……

優しいわね、マクベスはさ。」



マクベス

「……そんなんじゃないさ……

ワタシはただ、目に見えるだけでも

責任が取りたいならこれが一番かなって思っただけさ……死体なら本来はこうしてあげるのが正解かなって……」



ジュリエット

「それでも、それでもマクベスは優しいわよ……

その優しさが危うい時もあるけど、でもタイタスもラヴィニアもアタシもそんなアンタの事が大事で大切な【家族】って思ってるから。

だからヘレナの事……あんまり思い詰めないでね……」



マクベス

「嗚呼……ありがとう、ジュリエット……

……ほら、ジュリエット、ラヴィニアが君を呼んでるよ。

きっと枯れてない花を見つけたんじゃないかな???」



ジュリエット

「………うんっ!!!ちょっと行って来るっっ!!

ラヴィニアーーーーっ!!!!タイタスーーーーっ!!!!」



NC②

そう言ってジュリエットは2人の所に駆けて行った。


残されたマクベスはそっとヘレナの身体に触れる。

けれど触れられても死体がもう一度動く事は無い。


誰にも望まれない死体が動く事なんて、この世界でもありえないのだから……



マクベス

「3人が探している間に少しでも綺麗にしなくちゃな……」



NC①

マクベスがそっとヘレナの髪に触れたその時。

チクンっと何かがマクベスの手に触れた。



それはヘレナの髪飾りの桜の破片。



プツリとマクベスの指に小さく血がにじむ。

それを見ていたマクベスに不思議な感覚が宿る。



それは確かなる筈の無いにぶい【痛み】。



あれれ????おかしいわね????

死者に【痛み】なんてる筈無いのに。



貴方には【ソレ】がある。



マクベス、貴方は死者の【バケモノ】。

生きていた頃の様な、まるで【ニンゲン】らしい【痛み】がるなんて変よね……????



マクベス

「……これは……どう言う事なんだ………!!??」



NC②

突然の【痛み】に戸惑い、動揺したマクベスの脳裏に

ザーーーーーーッと音を立ててある映像が流れ込んで来る。



それはかつての誰かの記憶

思い出したく無かった誰かのいまわしい記憶。



その記憶は止めど無くマクベスの中に流れ込み、自我を蝕み始める。





NC①

──────ヘレナの記憶のカケラ

【昆虫兵器】のシーン──────





【新型異種混合合成超生物 ――Χ.ί.μ.α.ι.ρ.α.(キメラ)――】。




度重なる環境汚染によって死した自然界を人をもちいた戦争ではなく、新型の生物兵器によって生態系を再生させる目的の一つとして造られた試作品。



安価かつ大量生産が出来て環境適応能力も高い、大量投入出来る兵器。




そんな始まりの筈だったそれは、変わり果てた狂気の産物となった。




???②(マクベス兼役)

「【第4次新型異種混合合成超生物─Χ.ί.μ.α.ι.ρ.α.(キメラ)──開発実験計画 V.e.r.ð.a.n.d.i.(ヴェルザンディ)】の実験成功、心よりお祝いとお喜び申し上げます。」




???③(NC①兼役)

「ありがとう、これもアナタが日々サポートしてくれたから研究に専念出来たおかげよ。

この研究結果を【あの方】も大層お気に召して下さって今度の月例会議にて私を【A.g.r.a.v.a.i.n.(アグラヴェイン)】から 【G.a.w.a.i.n.(ガウェイン)】に引き上げると直々のお言葉を頂いたわ。」



???②(マクベス兼役)

「【G.a.w.a.i.n.(ガウェイン)】の地位に!!!??

……やっぱり君は凄いな、俺なんてまだまだだなぁ。」



???③(NC①兼役)

「あら???そんなアナタにも昇格の話が出てるわよ。

それも【P.a.r.c.i.v.a.l.(パーシヴァル)】から【G.a.l.a.h.a.d.(ギャラハッド)】の二階級特進なんてやるじゃない、私からも推薦状を書いてあげるわ。」



???②(マクベス兼役)

「あははは、ありがとう……これも君のおかげだよ。

自分だけだったらなんて【G.a.l.a.h.a.d.(ギャラハッド)】夢のまた夢だったから……

あ、そろそろ定例会議の時間じゃない???

行ってらっしゃい、気をつけて。」



???③(NC①兼役)

「ええ、そうね、行って来るわ……嗚呼、そうだ。

アナタに特別に完成体を見せてあげる。

隣の部屋にいるから御覧になると良いわ。

きっと気に入るでしょうから……フフフフ……」



ヘレナ

(……嗚呼………だぉれも【救ってくれない】のね……)





NC②

────【彼女】は誰よりも自然を愛する優しいヒトでした。



誰よりも自然に愛された、慈しみを持っていたヒトで、何時いつも優しい【歌】を歌ってくれていましたね。



なのに君の目の前にいる【彼女】は幾つものケーブルとチューブに繋がった手足も無い異形の【怪物】になり果てていた。



一体、誰のせいでこうなったのですか???




???②(マクベス兼役)

「……なぜ…だ……何故なぜ、この子が合成されているんだっ!!??

ち、違う……違う……俺はこんな事を望んでいたんじゃっ!!!!」




ヘレナ

(……いいんだよ、センセイ。

だって、【ヘレナ《ワタシ》】も【この子達】と変わらないのだから……)





NC①

彼女は血塗れの花畑の中で、身体中を数十体の獣に犯され、はらから数百のむしの群れを産みな続け、四肢から草木の根をわせながら。


赤い涙を零し、絶望に染まった瞳で【彼女ヘレナ】は君に微笑んだ。




ヘレナ

「ハジメマシテ、【御主人様マスター】。

ワタシは【ヘレナ】。

【オカアサマ】から造られた【作品怪物】です。」




NC②

嗚呼……【真実】と言うモノは何時いつも残酷なのですね……



ですが、まだまだコレ如きで根を上げていては【物語ストーリー】が続かない。



さぁ、もっと、もっと、読み解いて下さい。



その先にアナタが欲する【】があるのですから……



では、次回の【物語ストーリー】でお会いしましょう……




NC①

獸伍じゅうご話 【朝焼けの祈り】




~終演~




──to be continued(トゥ ビィ コンティニュード)…………───




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