第獸參話 【覡(げき)戦 蟲獣華(キメラ)の歌姫】

配役表一覧✝

●PC1 タイタス→男性

●PC2 マクベス→男性

●PC3 ジュリエット→女性

●PC4 ラヴィニア→女性

●SV1 ヘレナ→女性

●NC(ナレーション)①→女性

●NC(ナレーション)②→男性


✝男女比率✝

男3・女性4(7人台本)


✝ジャンル✝

SF・ダークファンタジー【R-15G】

(※同性愛表現・残酷描写・鬱展開有)


✝所要時間✝

約40分




────────────────────────



NC②

────────お待たせ致しましたっっっ!!!



ついにワタクシ達の愛憎いとしきドール達の前に恐ろしい第二の【試練】が訪れますっっっ!!!!!



嗚呼っっっ!!!!!

我等の愛憎いとしきドール達は無事に【試練】を乗り越えられる事は出来るのでしょうかっっっ!!!!!!!!



醜い【怪物】を倒し、【楽園】に平和を取り戻す事が 出来るのでしょうかっっっ!!!!!!!




……って、何です????待っていなかった????




ハハハハハハッ!!!それは残念っっっ!!!!!



ですが君達の意見なんてどうでも良いのですっっっ!!!

もう、幕は上がったのですからっっっ!!!!!

君達が進んで下さらないと、皆様がお困りになられるんですよっっっ!!!



さぁさっっっ!!!!!!!!!

哀れで穢れて幸福で滑稽こっけいワタクシ達の愛憎いとしきドール達よっっっ!!!



諦めてあらがって歩み続けなさいっっっ!!!!!!



丹精たんせいに造られた君達と出来損ないの奴等とは格が違うと教えておやりなさいっっっ!!!!!!



役者が違う事を証明するのですっっっ!!!!!!



証明出来ない???殺したくない???

戦いたくない???

酷い事はしたくない????

なら仕方ないですねぇぇぇぇっっっ!!!!!!



死体は死体に戻るだけですからぁぁぁ。

君達の後日談は幕を閉じました。




めでたし、めでたし。




なぁぁぁんて、 そんな【後日談】が許されるとでもお思いですかぁぁぁぁぁ????




君達にそんな権利は無いのですっっっ!!!!!!!



壊れたくないのならばっっっ!!!!!!

死にたくないのならばっっっ!!!!!!

終わりたくないのならばっっっ!!!!!!



さぁさっっっ!!!!!!!

答えは簡単っっっ!!!!!!!!!



壊れて無様な哀れな出来損ないを始末し、狂った舞台を進み続けるのですっっっ!!!!!!



さぁ、万雷ばんらい喝采かっさいをっ!!!!!!!!!



フフフ……アハハハハハハハハッッ!!!!!!




NC①

 永い後日談のネクロニカリプレイ風 声劇




『The Fake World of the End (ザ フェイクワールド オブ ジ エンド)』




『第弐章 Thistle(シィソー)~壊れた楽園の華~』




獸參じゅうさん話 【げき蟲獣華キメラの歌姫】




NC②

ゴゴゴゴゴっと地響きを立てて大地がひび割れて隆起りゅうきし、ヘレナの真の姿が顕現けんげんする。


手足の代わりに無数にうごめく何百本もの触手は長く太く、不気味に脈打ちながらうねり、身体の全身に毒々しい血の色のように赤黒い紫陽花アジサイが咲き乱れ、白い肌に無数に生えた青と黄色のまだら模様をしたキノコが生え、下腹部からうじゃうじゃとドロドロとした白い液体に混じって黒いムカデや蟻や蜘蛛の様な蟲の塊をボトボトと産み落とし続けるヘレナの瞳からは溢れんばかりの強い殺意と悪意と敵意が宿る。


狂気に満ちた笑みを浮かべるその姿を見た4人は、全身にビリビリとした恐怖が走り、鳥肌が立つ。


以前敵対したヴァイオレンタとは比べられない程のおぞましさに自分達の本能が【逃げろ】と警告を告げる。



その姿は悪夢の肖像。醜悪しゅうあくなる美しき怪物。



これが【Ἑ.σ.π.ε.ρί.δ.ε.ς.(ヘスペリデス)】の守護者にして【E.D.E.N.(エデン)】の支配者。




蟲獣華キメラの歌姫 ヘレナ】である。




ヘレナ

「アハハハハハハハハっ!!!!!!

さぁさぁぁっ!!!!!!

ヘレナの可愛い可愛いコドモ達ぃぃぃぃっ!!!!

楽園を出て行く悪い子達に【創造主様カミサマ】と【司教様】の代わりに罰を上げましょうぉぉぉぉぉ。

何処どこにも行かせない。何処どこにも逃げられない。

さぁぁ今日も【創造主カミサマ】の為に働きましょうぉぉぉぉ。

創造主カミサマ】の為に頑張りましょうぉぉぉぉぉぉ。

えいえいおー!!!えいえいおー!!!」



NC①

花畑の中から現れた大量の死者の群れは君達の退路を塞ぐようにケタケタと不気味な笑い声を上げながら迫り来る。


敵は不気味に咲いた紫陽花アジサイウジに寄生されたハウンドと少女を姿をした20体近くの巨大な花のラフレシア。

また同じく花と蟲に浸食され、心が壊れた少女の姿をしたアンデットのバンシーと100体近くのの血塗れの身体が腐った少年少女の姿をしたナイトメアの集団。


それらを守る様にそびえ立つ、全長2メートルもある巨大な単眼の幼虫のシデムシと、甲冑を身に着けた鋭利な剣を持った兵士のオチムシャ。


そして敵陣の本丸でまるでヘレナを讃えるかのように不気味な赤子の声を発する、巨大な人間の胎児の様な体の頭部に 黒い大きなウサギ耳とギョロギョロとうごめ数多あまたの眼球とオレンジの百合の花に、毛むくじゃらで無数の蟲が湧いた手足をしたバケモノがいた。


その異様で異質で気味の悪い生物とも思えない謎の不気味なソレをヘレナは愛おしく見つめた。



ヘレナ

「紹介するねぇぇぇぇえぇぇえぇ。

この子の名前は【ヘルミオネー】って言うのぉぉぉぉぉ、可愛いでしょぉぉぉぉぉぉ。

創造主カミサマ】と【司教様】がヘレナに与えて下さったヘレナの大切なコドモだよぉぉぉぉぉぉ。

さぁ、ヘルミオネー、皆にご挨拶してねぇぇぇぇぇぇぇええぇぇ。」



タイタス

「ひぃぃっ!!!!

なっ、何だよあの化け物っ!!!!???

デカすぎるだろっっ!!!???

軽く熊よりデカいじゃないかっ!!!??」



ラヴィニア

「こっ、怖いです、ジュリエットお姉様ぁぁっ!!!

何ですか、このバケモノ達はっ!!!??

それにどうしてヘレナお姉様はボク達を襲うんですかっっ!!!???」



ジュリエット

「ラヴィニア……これがアタシ達が言っていた

敵のバケモノ共よ……

奴等がアタシ達を襲う理由はただ一つだけ……アタシ達を確実に殺すって言う明確な悪意よ……」



ラヴィニア

「そ、そんな……どうしてですかっっ!!!???

やめて下さい、ヘレナお姉様っっっ!!!!!

ボク達はヘレナお姉様と戦いたくなんてっっ!!!」



ジュリエット

「ラヴィニアの気持ちだって分かるけどっ!!!!!

でもっっっ!!!

戦わなきゃ皆殺されて壊されるのよっっっ!!!!」



タイタス

「今はそんな言い合いする場合じゃないんだ……

ごめんね、ラヴィニア……分かってくれ……」



ラヴィニア

「そ、そんな……タイタス母様……ジュリエットお姉様……

ボクは……どうしたら……」



ヘレナ

「アハハハハハッッッ!!!!

ラヴィニアは本当に優しくて健気で良い子だねぇぇ。

そんな所がぁぁぁ【創造主カミサマ】の【寵愛ちょうあい】を得る資格があるのかなぁぁぁ~???

ヘレナね、ラヴィニアの事、【昔から大嫌い】なの。

嫌い。嫌い。嫌い。嫌い。大嫌い。大嫌い。大嫌い。大嫌い。大嫌い。

お前なんて。お前が居るから。お前のせいで。

許さない。許さない。許さない。

死んで???死んで???死んでよ???

死んで、ラヴィニアァァ。

大丈夫~ヘレナがちゃんと上手に壊してあげるからぁぁぁ。」



ラヴィニア

「ひぃっっっ!!!!!」



ヘレナ

「殺してあげるぅぅぅぅぅぅぅっっ!!!!

羽根をむしり取られた蝶々みたいにぃぃぃぃぃぃぃぃぃ、潰された蟻の様に全部全部全部奪ってあげるねぇぇぇぇぇぇ。

嗚呼っっっ!!!!【創造主カミサマ】っっっ!!!!

見ていて下さいっっっ!!!ヘレナ頑張るからっっっ!!!

寵愛ちょうあい】をっっっ!!!!【祝福】をっっっ!!!!」



マクベス

(まずい……このままでは確実に一網打尽にされてしまう……庭園の出口まで撤退するには敵の数が有り過ぎるし、ラヴィニアはまだ戦闘は出来ない……

だが……この花畑の下から現れたアンデット達は、まるでワタシ達を待ち構えていたかのようだった……それにあの紫陽花アジサイと触手……まさかっ!!??)


「クソッッッ!!!!やられたっっっ!!!!!

奴等はずっと最初からこの紫陽花アジサイの香りと彼女の【歌】を使ってワタシ達を狙って

おびき寄せたんだっっっ!!!!!

あの時見た地面の下を這っていたのはヘレナの触手だったんだっっっ!!!!!!!」



ジュリエット

「そ、それじゃあの時、アタシが見たのは幻覚なんかじゃなくて、ずっとアタシ達は敵の掌の上に転がされてまんまと罠に掛かってしまったって事なのっっっ!!!???」



マクベス

「……嗚呼……まさか最初からこんな手を使われるなんてね……

タイタスっっっ!!!ジュリエットっっっ!!!

武器を構えるんだっっっ!!!!!

ワタシとタイタスで敵を引き付けるっっっ!!!

その隙にラヴィニアはジュリエットのいる所まで走るんだっっっ!!!!!急げっっっ!!!!!」



タイタス

「わ、分かったよっっっ!!!!マクベスッッッ!!!!!」



ジュリエット

「了解っっっっ!!!!!2人共気を付けてっっっ!!!!!

ラヴィニアっっっ!!!今の内にっっっ!!!!!

早く、こっちへっっっ!!!!!」



ラヴィニア

「はっ、はいっっっ!!分かりまし……って………あ、あれ……??……あっ、足が動かない……!?」



NC②

ラヴィニアは目覚めて初めて体験する恐怖と敵意と悪意と殺意に身体をすくませ、カタカタと震えて動けなくなってその場に弱々しくしゃがみ込んでしまった。


ラヴィニアの心を生まれた初めての感覚。

死にたくない、壊れたくないと言う、強い生存本能が支配する。



狂気と恐怖と正気の狭間で揺れ動く感情。



ラヴィニアは震える身体で何とか動かそうとしたが、

既にラヴィニアの目の前には凶悪なアンデット兵のオチムシャの鋭利で無慈悲な刃がラヴィニアの首をねようと迫っていた。



ジュリエット

「駄目っっっ!!!!!!!!逃げてっっっ!!!!!」



マクベス

「クソがっっっ!!!!!間に合わないっっっ!!!!!」



タイタス

「ラヴィニアァァァァァァァァァッッ!!!!!!」



NC①

誰もがやられる、そう思った瞬間。



ラヴィニアの中で【ナニカ】が音を立てて壊れる音が響いた。



迫り来るオチムシャにそっとラヴィニアが右手を向けると一撃が止まり、その身体がまるで見えない【ナニカ】によって吊らされ、空中高く浮かんで右に払い退けた動きに合わせて、ブォンッと大きく空間を切る音と同時に吹き飛ばされ、奥の敵陣までドォォォォォォンッッッ!!!と轟音と共に叩き付けられた。


落下した衝撃で周囲の大地と甲冑に亀裂が走り、その場に大きな隕石が墜落したようなクレーターが発生した。



マクベス

「……なっ、何だ……今のはっっっ!!??」



タイタス

「えっ……???!!!

なっ、何が起きたんだっ???!!!

今敵が吹き飛んだよねっっっ!!!!???

ど、どうなってるのっっっ!!!???」



ジュリエット

「どう言う事っっっ!!!!???

い、一体何がっっっ!!!!????」

それに何、この寒気???アタシ……震えてる???

ラヴィニアっ!!!怪我はない??!!」


(どうなってんの???

アタシ、ラヴィニアを恐れてる???何で????)



ラヴィニア

「……れ者が……下賎げせんな手でボクの【家族】に触るな……」



NC②

小さく溜息混じりに声を出しながら、服に着いたほこりはたく仕草をするラヴィニアは以前の可憐に弱々しく震えていた全く違う別人であった。


しゃがみ込んでいた体を起こし、立ち上がったラヴィニアは俯いて閉じていたまぶたを開けると、血の色の様な深紅の瞳が怪しく輝き、虹色の光彩こうさいが浮かび上がる。



ラヴィニア

「……【Π.ρ.ο.μ.η.θ.ε.ύ.ς.(プロメテウス)】起動。

第一拘束コード 【R.a.g.u.e.l.(ラグエル)】。

第二拘束コード 【G.a.b.r.i.e.l.(ガブリエル)】。

……限定解除……審議……決議……承認……

自我次元じがじげん】接触座標強度 Rank(ランク) D。出力20%に固定。

これより戦闘のみ能力限定使用を開始。

眼前敵対戦闘 殲滅せんめつプログラム【S.e.r.a.p.h.(セラフ)】……起動開始……潰れろ。」



NC①

先程まで不気味な唸り声と笑い声をあげていたナイトメアの集団達の動きがピタリと止まってその体がガタガタと痙攣けいれんし、ミチミチッ!!!ブチブチッ!!!と音を立てて、ラヴィニアの手を握る動きに合わせてねじれ、上下左右に歪んでナイトメアの集団達は悲鳴をあげてながら真っ赤な飛沫しぶきを溢れ出し、グチャリと無惨に弾けた。



ジュリエット

「嘘でしょっっっ!!!!????

一瞬であのゾンビみたいな集団が一気にやられたなんてっっっ!!??」



マクベス

「これがあのラヴィニアなのか……!!!???」



タイタス

(まるで重力か何かで引き千切られて潰されたっ!!??僕だけじゃなくて他の2人も困惑してる……)


「良く分からないけど、これってラヴィニアがやったんだよねっっっ???!!!」



ジュリエット

「そうとしか思えないけどでも、どうやってやったかは分からない……でもこれなら敵を一掃出来たから奥が狙えるって、ラヴィニア後ろっ!!!!!!!」



ラヴィニア

「敵、ナイトメア集団排除確認……続いて白兵戦闘に移行します……【Π.ρ.ο.ν.ό.η.(プロノエー)】、【Ἡ.σ.ι.ό.ν.η(ヘーシオネー)の槍】起動……破壊開始。」



NC②

ラヴィニアの背後から血塗れのむしと花に寄生された少女の姿をしたバンシーが呪いの言葉をうわ言のように喚きながら不気味な花の怪物のラフレシアの長い凶悪な触手が共に襲い掛かる。


するとラヴィニアの白い服の姫袖に付いていた、リボンがシュルシュルとほどけて、ふわりと空中を舞うとラヴィニアの白く細い指にまとって、敵の無数の触手と四肢を拘束し、ギリギリと鋼鉄のように硬い糸を使ってバラバラに切り刻み続ける。


そして片手で糸の塊を収束させ編み上げた、白く頑強な槍の形の武器に精製し、素早い動きで敵の集団を静かに残酷に冷酷に、物言わぬ肉の塊に変えていく。



ジュリエット

「何よあのラヴィニアの姿……まるで機械みたいに無表情で切り刻んでるなんて……違うっっっ!!!

あんなのアタシ達が知ってるラヴィニアじゃないわっっ!!!」



ヘレナ

「……嗚呼、やっぱり……ラヴィニアは【特別】なんだね……

ヘレナ、やっぱりラヴィニアなんて大嫌い。

そうやってまたラヴィニアはヘレナから奪うんだ。

またラヴィニアばっかり【お気に入り】になるんだ。

ヘレナには無いのに。ヘレナには無いのに。

ヘレナには無いのに。またヘレナを苦しめるんだね、ラヴィニアは。」



タイタス

「それってどう言う意味だよっ!!!???

君はこのラヴィニアの姿を知っていると言うのかっ!!!???」



ヘレナ

「アハハハハハハハハハハハッッッ!!!!!

ミンナには教えないよぉぉぉぉ。

楽園を出て行こうとする悪い子のタイタスもマクベスもジュリエットもラヴィニアもぉぉぉぉヘレナは皆、みんな、みぃぃぃんなぁあああぁぁぁ大嫌いぃぃぃだからぁぁぁぁぁぁっ!!!!

またタイタスはヘレナに酷い事するんだね。

またマクベスはヘレナを見捨てるんだね。

またジュリエットはヘレナを苦しめるんだね。

許さない。許さない。許さない。許さない。

みんなみんなみぃぃんな死んで死んで死んで壊れてしまえば良い。」



マクベス

(【自我次元 じがじげん】……???

何だこの言葉に宿る懐かしさは……

それにラヴィニアのこの異常なまでの戦闘技術……明らかに訓練を受けた動きだ……クソッ……冷静になれ……今は戦いに集中するんだ……)


「落ち着けっっ!!!!2人共っっ!!!!

今やるべき事を見失うなっっ!!!!

それにせっかくラヴィニアが蹴散けちらしてくれたお陰でワタシ達も動き安くなったっ!!!!!

行くぞっっっ!!!!タイタスッッッ!!!!!」



タイタス

「うっ、うんっ!!!!

タイミングを合わせるよっ!!!!

狙いは此処ここだぁあああぁぁっ!!!!!!」



マクベス

「気色悪いむしの分際でワタシの視界に入るなっ!!!!

ハァァァァァァァァァッッッ!!!!!

消えろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」



ジュリエット

「3人に良いとこばっか取らせないわよっ!!!!

これでも喰らいやがれぇえぇぇぇぇぇぇっ!!!」



タイタス

(良しっっ!!!これで敵の残り半分以上は片付いたっっ!!!!これならっ!!!!)



ヘレナ

「あらあらあらあらあらぁぁぁ~むしと歌と夢の妖精のコドモ達がやられちゃったぁぁぁ……

でもでもでもぉぉ大丈夫だよ、コドモ達ぃぃぃ~。

ヘレナを愛するコドモ達はまだまだ沢山いるからぁぁぁぁ……あ゛ぁ゛あ゛あ゛う゛ま゛れ゛る゛ぅぅぅぅぅぅぅっ!!!!!!

アハハハハハハハハハハハッッッ!!!!

ヘレナのコドモ達ぃぃぃぃぃぁああああっ!!!!」



ジュリエット

「ひぃぃぃぃっ!!!???何あれっ!!??

むし塗れのゾンビの集団がヘレナから

産み落とされてるぅぅぅぅっ!!!!!!???

キモイキモイキモイキモイぃぃぃぃぃっ!!!!」



タイタス

「嘘でしょっ!!!!!!!??????

せっかく倒したのにっ!!!!!!!!」



ヘレナ

「あ゛ぁ゛あ゛あ゛ぁ゛あ゛あ゛っっっ!!!!!

う゛ま゛れ゛る゛ぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!!!!

う゛ま゛れ゛る゛よ゛ぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!

アハハハハハハハハハハハッッッ!!!!

ヘレナのコドモ達ぃぃぃぃぃっ!!!!

たくさぁぁぁん産んであげるねぇぇぇぇぇっ!!!」



マクベス

(まだ奴等が此方こちらに来るまでまだ時間はある、その隙に前衛の敵を破壊するしかないが……)


「待てっ!!!3人共っ!!!!」


(何だ……これは歌っ!!!???)



ヘレナ

「キャハハハハハハハハハハハハッッッ!!!!!!

さぁ、ヘレナの可愛い可愛い可愛いコドモ達ぃぃぃっ!!!!

ヘレナと一緒に歌いましょうぅぅぅぅっ!!!!!

さぁさっ!!!!!歌いましょうぅぅぅぅ!!!!

ヘルミオネーッッッ!!!!!!!!!

ママと一緒にお歌を歌いましょうぅぅぅぅっ!!!!

創造主様カミサマ】の歌をっ!!!!!」



NC①

ヘレナは目を閉じ、美しい声で歌を歌い始めた。

その歌声はまるで神を讃える賛美歌のような優しく綺麗な声。

ヘレナの声に合わせるかのようにヘルミオネーが不気味に痙攣けいれんしながら歌い出すと輪唱の様に空間に響き渡り、支配する。


しかし、その歌声は美しい旋律に混じった悪意と殺意と敵意の篭った怨嗟えんさと呪いの歌。

2人の歌に合わせて産み出されたナイトメアの少年少女達も狂って壊れた言葉を放つ。



ヘレナ

「【創造主様カミサマ】、【創造主様カミサマ】、【創造主様カミサマ】、【創造主様カミサマ】。

許さない。許さない。許さない。許さない。

オマエ達のせいだ。オマエ達のせいだ。

オマエ達のせいだ。オマエ達のせいだ。

死ね。死ね。死ね。死ね。」



NC②

ヘレナとヘルミオネーの歌に混じって、響くその言葉は周囲一帯に木霊こだまして4人の脳内と心を掻き乱し、狂気に染めてられ、自我と心を蝕んで犯していく。

4人は酷い吐き気と頭痛に頭を抑え、苦しげに悲痛の顔を浮かべるが、ヘレナはそんな君達なんかお構い無しに歌い続ける。



ヘレナ

「さぁさっ!!【楽園】の歌を歌いましょぅぅぅぅっ!!!!!

創造主様カミサマ】の歌を歌いましょぅぅぅぅっ!!!!

ああああぁぁぁ【創造主様カミサマ】っ!!!!!!

ヘレナ達を救って下さる【創造主様カミサマ】っ!!!!!!!

聞いて、ねぇ、聞いてっ!!!!!

シアワセなヘレナの歌を聞いてっ!!!!

キャハハハハハハハハハハハハッッッ!!!!」



タイタス

「ぅぅううっ!!!!頭がぁあぁあっ!!!!

頭が割れるぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!!!!!」



マクベス

「グゥッッッ!!!!!!!!

この歌と声っ、直接心を蝕んでっ!!!!!!!」



ジュリエット

「気持ち悪いぃぃぃっ!!!!!!!

頭がっ!!!!!!!思考が途切れてっ!!!!!」



ラヴィニア

「……【自我次元じがじげん】への干渉認識。

接触強度の著しい低下、早急に【ERROR(エラー)】の検出を開始。

【ERROR(エラー)】解析まであと600秒。

……うっ……タイタス……母様……マクベ、ス父様……ジュリエット……姉様……ボクは……一体……」



マクベス

「ラヴィッ、ニア……気がついたの、か???

待ってろ……直ぐにっ……この歌を止めさてっ」




ヘレナ

「……ウフフッ……ねぇ、ねぇ。

よそ見して良いのかな、マクベス……???」




タイタス

「危ないっ!!!マクベスっ!!???」



NC①

ドンッとマクベスを押し払って庇ったタイタスの腹部をヘレナから放たれる触手の乱撃の嵐で貫通し、敵の怒涛どとう猛攻もうこうが無慈悲にタイタスの身体を蹂躙じゅうりんし、何度も何度もなぶり続けた。

タイタスは真っ赤な血反吐ちへどを吐き、その場に倒れ込んでしまう。



タイタス

「ガハッッッ!!!!ゴホッ!!!!ゴホッ!!!!

ゴハァッ!!!……よ、良かった、間に合ってっ、ゴホッ!!!!ゴホッ!!!」



ジュリエット

「タイタスっっっ!!!!!!!!!!!」



ラヴィニア

「いっ、いやぁぁあああああぁぁっ!!!!!!!!

タイタス母様ぁあああああぁぁぁっ!!!!!!!」



マクベス

「タイタスッッ!!!しっかりするんだっっっ!!!

クソッッッ!!!!傷が深過ぎて血が止まらないっっっ!!!!

タイタスッッッ!!!意識をしっかり持つんだっっっ!!!!!」



ラヴィニア

「タイタス母様っっっ!!!!!!!!

お気を確かにっっっ!!!!!!!!

目をっっっ!!!目を開けて下さいっっっ!!!!

嫌ですっっっ!!!!!!!!!

こんなお別れは嫌ですっっっ!!!!!!!」



ジュリエット

「酷い傷だわっっっ!!!

早く手当しなきゃっっっ!!!!!

タイタスっっっ!!!!!

アタシの声聞こえるっっっ!!!!????

アタシ達を置いて逝くなんて、絶対許さないんだからっっっ!!!!!」



タイタス

「……だぁ……ぃじょぅ……ぶ……

だいじょう……ぶだよ、みんな……

……全然……こんなの痛くないから……

ちょっと……びっくりして……やられただけ……だから……まだ僕は、動けるから……ゴホッ!!!!ゴホッ!!!!」



ジュリエット

「馬鹿っっっ!!!!タイタスの馬鹿っっっ!!!!

こんな時に笑わないでよっっっっ!!!!

それにそんな身体で動ける訳ないでしょっっ!!!」



マクベス

「嘘をくなっっっ!!!!!!

はらわたがえぐられて大きな穴が開いて右腕と両足の骨が折れてズタズタに引き裂かれてるんだぞっっっ!!!!

どうしてオレの盾になって庇ったっ!!??

何時いつ何時いつもどうして君はっっっ!!!???」



タイタス

「そん、なの……決まってる……じゃなか……

僕は弱いけど……大好きな大切な僕の【家族】を守りたいからだよ……

どんな事があっても……僕は皆を……マクベスを…

…守るって決めたから……ゴホッ!!!ゴホッ!!!」



マクベス

「……いやだ……嫌だ……嫌だ……死ぬな……死なないでくれ……タイタス……君がいなくなったら……オレは……」



ヘレナ

「あれあれあれあれぇぇえぇぇぇええぇぇ????

アハハハハハハハハッッッ!!!!!

手当てなんて要らないよぉぉぉぉぉ。

だって【創造主様カミサマ】と【司教様】がもう死なないように造って下さったんだよぉぉぉぉぉぉぉ。

ヘレナ達はもう痛みも苦しみも飢えも疲労も眠る事も無い。

千切れっちゃっても大丈夫なんだよぉぉぉぉぉぉ。

代わりをくっつけちゃえば良いんだからぁぁぁぁぁ。」



ジュリエット

「何笑ってんのよっっっ!!!!!!!

アンタのせいでタイタスがっっっ!!!!!!



マクベス

「………ろして……やる………。」



ラヴィニア

「マクベス…………父様………????」



マクベス

「………ハハハッ………よくも………よくも……オレのタイタスを傷付けたな………。

許さない。許さない。許さない。許さないっっっ!!!!

殺してやるっっっ!!!!!!!

殺してやるっっっ!!!!!!!

殺してやるっっっ!!!!!!!

殺してやるぅぅぅぅぅぅぅっっっ!!!!!!!!」



ジュリエット

「駄目っっっ!!!!!マクベスッッッ!!!!!!

一人でそっちに近付いたらっっっ!!!!!!」



マクベス

「ハァァァァァァァァァァァァッッッ!!!!!!

ウラァァァッッッ!!!!

オラァァァァッッッ!!!!

死ね死ね死ね死ね死ねぇぇぇぇぇぇっっっ!!!!!

オレのっっっ!!!!オレだけのっっっ!!!!

タイタスを傷付けるクソゴミ共がぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!」



NC②

マクベスはタイタスへの恋心と、ヘレナ達への憤怒と憎悪によってその心を狂気と殺意に支配され、血走った瞳のまま、迫り来る無数の死者の群れを切り刻み続ける。

普段そんな感情を見せないマクベスの凶変に言葉を失うジュリエットは震えながら見続ける事しか出来なかった。


その姿は怒れる鬼神のごとき圧倒的な暴力の化身の姿。

マクベスは全身を返り血に染め、周囲の敵が動かなくなるまで一心不乱に刀を振り続け、バケモノ達を殺し尽くした。



マクベス

「ハァッ……ハァッ……ハァッ……ハハハハッ……そうだ……こうすれば良かったんだ……

タイタスを傷付ける奴等は誰であろうと殺せば良いんだ……

……大丈夫さ、タイタス。

君を傷付けるモノはオレが殺すから……だから消えないでくれ……オレが……オレが……」



タイタス

(マクベスの心がさっきの歌とボク傷を見て

悲鳴を上げてる……このままじゃ、我を無くしたマクベスがジュリエットとラヴィニアに刃を向けてしまうっっっ!!そんなのマクベスだって望んでなんかいないっっっ!!!)


「頼むっっっ!!!ジュリエットッッッ!!!!!!ラヴィニアッッッ!!!!!

マクベスの事は僕に任せてっっっ!!!!

だから二人は今の内に奴等を狙うんだっっっ!!!!

早くっっっ!!!!!」



ジュリエット

「っっっ!!!了解っっっ!!!!!

いけるわよねっっっ!!ラヴィニアッッッ!!!!」



ラヴィニア

「はいっっっ!!!!!ジュリエットお姉様っっっ!!!!

敵大型アンデット、呼称 ヘルミオネー。

排除開始っ!!!!

タイタス母様のかたき、取らせて頂きますっっっ!!!!」



ジュリエット

「次弾っ!!炸裂鉄鋼弾さくれつてっこうだん装填そうてん完了っっっ!!!!!!

射撃開始っっっ!!!!!!!!!

打ち砕けぇぇえぇぇえぇっっっ!!!!!!!」



NC①

ラヴィニアの糸の斬撃の連撃とジュリエットの持つ、

アンデットガンから放たれた大量の鉛の雨が敵の頭上から降り注ぐ。

銃弾が轟音を立てて炸裂さくれつし、爆風と糸による切断の乱舞がヘレナとヘルミオネーの上半身と頭部を粉砕した。



ヘレナ

「フフフ……もぅ、おしまい……?????」



NC②

確かに倒した実感があった。

けれど【これで終わった】そんな淡い希望をねじ伏せるように【怪物ヘレナ】は下卑げびた笑みを浮かべた。




ヘレナ

「まだお歌の時間は終わりじゃないんだよ?

ねぇ、みんな?????」





NC①

獸參じゅうさん話 【げき蟲獣華キメラの歌姫】




~終演~




──to be continued(トゥ ビィ コンティニュード)…………───

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