第蟲弍話 【楽園の華(キミ)】
配役表一覧✝
●PC1 タイタス→男性
●PC2 マクベス→男性
●PC3 ジュリエット→女性
●PC4 ラヴィニア→女性
●SV1 ???①(作中名称公開)→女性
●NC(ナレーション)①→女性
●NC(ナレーション)②→男性
✝男女比率✝
男3・女性4(7人台本)
✝ジャンル✝
SF・ダークファンタジー【R-15G】
(※同性愛表現・残酷描写・鬱展開有)
✝所要時間✝
約40分
────────────────────────
NC①
──────昔々、【神様】は
【神様】は
【知恵の実】だけは禁じると……
けれど
─────────では、問題です。
【知恵】を持つ事が【罪】だったのでしょうか?
答えは【神様】の思惑通り……───────
NC②
永い後日談のネクロニカリプレイ風 声劇
『The Fake World of the End (ザ フェイクワールド オブ ジ エンド)』
『第弐章 Thistle(シィソー)~壊れた楽園の華~』
第
NC①
4人は仲良く手を繋いで元の場所に戻ると木々と、植物の
確かにあったはずのものが無い事に、不思議そうに4人が頭を傾げながらその道の先を見つめると、道の向こうからまた【歌】が聞こえて来るでしょう。
声の主は明るく、優しく楽しげに歌う声には敵意も悪意も殺意も感じない。
その歌声を聞いた4人はまるで蜜蜂や蝶が花の蜜に誘われるように、フラフラと【
周囲を観察しながら花畑を進んで行くと花畑に交じって辺りに無数の墓標を見つけるが、古びた墓標からは何の気配もしない。
4人が桜の樹の近くまで来るとその桜の樹がおよそ
枝の広がりはなんと東西25m、南北20m。
樹齢は少なくとも千年以上は経っているのが分かるでしょう。
大きく広げた枝のそれぞれに豪華絢爛な美しい桜の花が満開に咲いている。
風に乗って舞い散る桜の
その桜の巨木の下で一人の可憐な少女が座っていた。
???①
「あれぇ~????誰か来たぞぉ~????
お客様かしらぁ~????
お客様、おはよう、こんにちわ、こんばんわ。
ようこそ、【Ἑ.σ.π.ε.ρ.ί.δ.ε.ς.(ヘスペリデス)】の深部。
【E.D.E.N.(エデン)】へ。」
マクベス
「……やぁ、丁寧な挨拶、ありがとう……初めまして、
君は……誰だい???
???①
「あれれ???マクベスじゃないかぁ~。
それにタイタスにジュリエットォ~。
久しぶりじゃない~???どうしたのぉ~???
寝ぼけてるのかなぁ~????」
タイタス
「なっ!!!!!????
僕達の名前を知っているっ!!!!!????」
ジュリエット
「どう言う事っ!!!!!????
アタシ、この子の事知らないし、今初めて会ったのよっ!!!???
なのにアタシ達の事を知っているなんてどう言う事っ!!!???」
???①
「んんん????そっちの子は知らない子だなぁ~???
アナタはだぁれぇ~??????」
ラヴィニア
「えっ…ボ、ボクは……」
???①
「うんうん、嗚呼、アナタがラヴィニアなんだねぇ~。
【
宜しくね、ラヴィニアァ~。」
マクベス
(何だ……まるで見えない誰かと会話をしていたかのように見えたが……
それに【
「すまない、
もし良かったら君の事を教えて貰えないかな???」
???①
「およよ~???忘れちゃったの~???
じゃあ自己紹介しよっかぁ~。
こちらの名前は【ヘレナ】だよぉ~。
ヘレナはヘレナって言うんだよ、よろしくね、皆ぁ~。」
NC②
ヘレナと名乗った少女はオレンジ色に地面までに伸びた長い長い髪と深い深い深海の海の様な蒼い瞳に白い肌。
頭部からは白と黒のロップイヤーのウサギ耳を生やし、ピンクの桜の花飾りを付け、白いレースが付いた若草色のプリンセスラインのウエディングドレスの様な服装に身を包み、美しく愛らしくニコニコと笑みを浮かべながら、右にゆらゆら、左にゆらゆらと揺れながら4人を見つめている。
その馴れ馴れしい声も反応も君達にとっては取り戻した記憶を刺激せず、ただ4人は混乱するだけだった。
ただの背景???それとも重要人物????
一体彼女は誰なのでしょう???
ラヴィニア
「ヘレナ様……???
あの、宜しくお願いします?????」
ヘレナ
「あははは、ヘレナで良いよ、ラヴィニア~。
ラヴィニアもタイタスもマクベスもジュリエットも忘れちゃったの~???
でもね、忘れちゃっても大丈夫だよ、ヘレナは忘れてないから~。」
ジュリエット
「……貴女はそうかもしれないけど、アタシ達にしたら初対面なのよ。
悪いんだけど何か知り合いっぽいし……
どんな
ヘレナ
「あらら、記憶が無い???それは大変だね~。
でもごめんね、それは無理で駄目で教えられないの~。
教えてあげたいんだけど【司教様】が【ルート分岐には早過ぎる、近道もズルも認めないし許さない】って仰ってるから教えられ無いの~。
導いて下さるのはヘレナじゃなくて【
マクベス
「……さっきも言っていたその事なんだが、すまないが【
ヘレナ
「あららら、皆ってば忘れん坊さんだねぇ~。
【
タイタス
「えぇええっっっ!!!??
あの、もうちょっと具体的に教えてくれないかな???」
ヘレナ
「うふふふふ。【
【
良い子には【《
ジュリエット
「……へ……へぇー……」
ラヴィニア
「凄い????ですね????」
NC①
右にゆらゆら、左にフラフラ。
まるで踊っているように不規則に身体を動かしながら歌うヘレナの顔は始終ニコニコと微笑んでいる表情のまま。
更に彼女の口から繰り返し
タイタス
(う、うーん……会話が会話として意味を成してない……。)
「じゃ、じゃあ
【Ἑ.σ.π.ε.ρ.ί.δ.ε.ς.(ヘスペリデス)】や【E.D.E.N.(エデン)】とかこの場所は何なのかな???
何かの実験施設跡なのは分かるんだけど……それに君はずっと一人きりで
ヘレナ
「
ヘレナも【コドモタチ】も4人に会えてとっても嬉しいよぉ~。」
マクベス
(【
確か【B.A.B.E.L.(バベル)】にいたヴァイオレンタも同じ事を言っていたが……
それに【永遠のお家】に【コドモタチ】???何の事だ……???彼女以外誰も見当たらないが……???)
「ん……???あっちを見てくれ、3人共。
彼女の背後の樹の先に道が見えるぞっっっ!!!」
タイタス
「えっっっ!!!???本当っっっ!!!???」
ラヴィニア
「見えましたっ!!!確かに道がありますっ!!!!
道の先は良くは見えませんが、先に進めそうですっ!!!」
ジュリエット
「って事はこの先に出口があるって事よね、よっしゃぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」
NC②
花畑を抜け、桜の巨木の少し先をマクベスが指さす方向に視線を動かせば、小さな小さな細い小道が見えて来る。
拍子抜けするほどあっさりと見つかった花園の出口。
その道を見た4人はようやく表れた出口に
ただし。
その道は【
ヘレナ
「……駄目……あっちは駄目だよ……」
タイタス
「えっ……???」
ラヴィニア
「へ……ヘレナ……さん???」
ジュリエット
(空気が重い……何?!?!
さっきまでの口調と違うっ!?!?急に雰囲気が一気に変わったっ!?)
マクベス
「駄目???それはどう言う意味だ?君は何を知っている???まるであの道の先を知っているような素振りだが……」
ヘレナ
「ううん、知らない。知らない。知らない。
でも【ヘレナ達は知っている】。
駄目だよ。駄目。駄目なんだよ???
あっちは危ないから行っちゃ駄目なんだよ???
あっちは危なくて怖くて怖くて恐ろしくて恐ろしくて、苦しいんだよ???
何にも覚えてないんだね、可哀想に……
でも……うんうん、忘れちゃったなら仕方ないよね。
大丈夫だよぉ、【
そうだぁっ!!!ヘレナと皆はこの【E.D.E.N.(エデン)】で全部忘れたまま、
そうしよう、それが良いよね。
めでたし、めでたし~。」
ラヴィニア
「忘れるって……それは困りますよっっっ!!!
ボク達には思い出したい記憶と過去がっ」
ヘレナ
「困る??
忘れたら思い出さなきゃいけないなんて、誰が決めたの???
【
皆は犯した【罪】も【後悔】も【痛み】も何一つ、覚えて無いのに。
思い出そうとするその記憶は綺麗な記憶???
綺麗な思い出なの????
思い出したら皆はシアワセになるの????
シアワセな真実はあったの????
無い。無い。無い。無いんだよ。
無いんだよ、何にも無いんだよ、ヘレナ達には。」
タイタス
「………へッ、ヘレナ………???」
ヘレナ
「ね。ね。ね。
ねぇ、シアワセだったらこんな体になってないよね?
苦しくなかった、泣かなかった、でも痛かった。
怖かった。辛かった………そうでしょう?」
ラヴィニア
「そんな事はっっっ!!!!
っ………わっ、分からないですがっっっ!!!!
でもっっっ!!!!!」
ヘレナ
「でしょでしょぅ~。そんな昔の事なんかより【
【司教様】が教えてくれたのぉ~。
マクベス
「……………すまないが、妙な話をして【俺】の【家族】に吹き込まないでくれないかな、ヘレナ…………。」
ラヴィニア
「マクベス父様……???」
タイタス
「マ、マクベス……????」
(マクベスが怒ってる……???!!!!)
ジュリエット
(あのマクベスがブチギレておられるっ??!!)
ヘレナ
「……へぇ……それは
マクベス
「オマエの言葉にその言葉が【真実》】なら、この状況を作り上げた【誰か】がいると言う事だ。
この場所の事も、【俺】達の事も、オマエの事も、
【Ἑ.σ.π.ε.ρ.ί.δ.ε.ς.(ヘスペリデス)】、【E.D.E.N.(エデン)】、【第4次新型異種混合合成超生物──Χ.ί.μ.α.ι.ρ.α.(キメラ)開発実験計画 V.e.r.ð.a.n.d.i.(ヴェルザンディ)──】。
これらについて君が言う、その【
だったらオレ達は先を進み続けなければいけないんだ。」
ヘレナ
「それがヘレナを置き去りにする理由なの???」
マクベス
「置き去りにするとは言わないが、着いて行きたければ好きにすればいい。
……【俺》》】達4人は前に進んで、【真実】が知りたいだけだ。
過去がシアワセかそうでないかは自分達で決める。
オマエにも【創造主様(カミサマ)】や【司教様】にも、誰にも決められる事では無い。
だから
ヘレナ
「……教えたら皆、
ヘレナは行けないのに……ラヴィニア。
ラヴィニアはヘレナを置いて行ったりしないよね???
ね???ね???ラヴィニアは優しいからヘレナを悲しませたり、泣かせたりしないよね????」
ラヴィニア
「えっ……そ、それは……」
ジュリエット
「ちょっとっ!!何よその言い方っ!!
相手の罪悪感に付け込む真似は卑怯よっ!!!
ラヴィニアの優しさに付け込むのは許さないわよっ!!」
NC①
戸惑い。怒り。敵意。様々な感情が入り混じる。
そんな感情も思いも関係なくヘレナは、貴方達の混乱、困惑なんてまるで知らんぷり。
まるで楽しそうに見定めているようにも、何も考えていないのか、何か考えているのか、その表情からは読み取れない。
するとヘレナは少し沈黙した後、にこやかに口を開き、微笑みながら涙を流した。
ヘレナ
「……【司教様】は言いました……
4人にヘレナの知る【全て】を教えなさいと……
4人の【七と十三の試練の咎人】に【七と十三の試練】を与えなさいと……」
マクベス
(【七と十三の試練の咎人】???
どう言う意味だ???……試練??咎は罪を表すが……)
ジュリエット
(ヘレナ……
まるで祈りを捧げてるみたい……)
ヘレナ
「【司教様】は4人の失われた過去と真実を手にする手助けとして、【七と十三の試練】を与えれば、失われた記憶を思い出すと仰ったの。
でもね………ヘレナはそう想わない。
ヘレナはね、教えたくないの。
ヘレナはね、手助けしたくないの。
ヘレナの知る全てをヘレナは教えたくないの。
だって教えて知ってしまったら、助けてしまったら、
ヘレナを見捨てて、【また置いて行かれてしまう】もの。
ヘレナはもうね、置いて行かれるのも、見捨てられるのも嫌なの。」
ラヴィニア
(【また置いて行かれる】???
ヘレナさんは一体何を言って………???)
タイタス
(ヘレナの過去に一体何が……???
様子がどんどんおかしくなっていってるっ!??!)
ヘレナ
「あはははは!!!
ヘレナには無いの。ヘレナには何にも無い。
だから皆が羨ましい、妬ましい。
ヘレナは欲しい。歩いて踊れて走れる足が。
抱き締めて触れてぬくもりを感じる手が。
欲しい。欲しい。欲しい。ヘレナは皆が欲しい。
ヘレナは皆に
ヘレナを独りにしないで。
ヘレナを置いていかないで。
ヘレナを見捨てて遠くに行かないで。」
NC②
おやおや。
一体何を
これだから出来損無いは困るんですよぉ。
おや???彼女の言ってる意味が分からない???
いえいえ、どうぞお気になさらず。
台本通りの演技しか出来ず、許されない
クズはクズらしく、ゴミはゴミらしくしているべきなのですから。
ヘレナ
「ヘレナはね、皆にされた事、忘れないよ。
ヘレナはね、皆にされた事、忘れるよ。
ヘレナはね、4人に何をされたか、忘れないよ。
ヘレナはね、4人に何をされたか、忘れるよ。
もうヘレナはね、ヘレナはね、ヘレナはね、もう嫌だ、嫌だ、嫌だ、あんな事、アんな事、あンナ事、もう嫌なの。
だからお願い、忘れないで、お願い、忘れて、お願い、忘れてよ。
………ヘレナ達は【今度こそ忘れるよ】。
ヘレナ達は【今度こそ忘れないよ】。
4人の【全て】を許さないよ、許すよ。
だからずっと一緒に
……あ゙……ぁ゙ぁ゙ぁ゙……あ゙ぁぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙っ!!!!
ずっと、ずっと、ずっと、一緒に、一緒に、一緒にどうか楽園に、楽園に、楽園にいてよっ!!!
………………ねぇ、タイタス。
ねぇ、マクベス。
ねぇ、ジュリエット。
ねぇ、ラヴィニア。
ねぇ、
ヘレナは【まだ救われない】の ………???」
タイタス
(【見捨てた】???【助けてくれない】???
【お気に入り】???【お前じゃない】???
【まだ救われない】???一体何を言ってるんだ????)
「ちょっ、ちょっとっっっ!!!
一体僕達が君に何をしたって言うんだっ!!??」
ラヴィニア
「お、落ち着いて下さい、タイタス母様!!!
少し冷静になりましょう!!!
落ち着いて話せばきっと分かり合えます!!!
彼女はきっと混乱しているんです、だから!!!」
ヘレナ
「うっふふふふ、優しいなぁラヴィニアは。
優しい優しい慈愛に満ちた可愛い可愛い、【何も知らない可哀想な真っ白な子】。
でも皆は
ならやっぱり駄目だよ、駄目、駄目、駄目。
そんな悪い子には【
ジュリエット
「……そんなのいない、【
……さっきもマクベスが言っていた【Ἑ.σ.π.ε.ρ.ί.δ.ε.ς.(ヘスペリデス)】、【E.D.E.N.(エデン)】、【第4次新型異種混合合成超生物──Χ.ί.μ.α.ι.ρ.α.(キメラ)開発実験計画 V.e.r.ð.a.n.d.i.(ヴェルザンディ)──】。
そいつらはただ人間を自分勝手に【
ヘレナ
「あはははは、【
タイタス
「え???……僕達……???」
ヘレナ
「……
ジュリエット
「……そ、それは……」
ラヴィニア
「……ジュリエットお姉様……」
NC①
ヘレナは
その瞳からは赤い血の色の様な体液が零れ出す。
ヘレナ
「ねぇねぇ、もう一度聞くよぉ。
この【楽園】でずっとずっと一緒に全部全部ぜぇぇんぶ、忘れてヘレナ達とシアワセに暮らして今度こそ、【ヘレナを救って助けて】。」
NC②
嗚呼、実にっっっ!!!!実にっっっ!!!!
まだあの壊れた人形は君達に縋り付くつもりのよう
ですねぇぇぇぇっ!!!!!!
しかしぃっ!!!
何と
君達には
ですからっ!!!君達はわざわざそんな三文芝居に付き合う必要など無いのですっっっ!!!!!!
次の舞台に立てない大根役者など知った事では無いっっっ!!!!!!
楽園に引き
そんな出来損ないの頭でも分かる筈なのにねぇええ???
嗚呼、無惨で
マクベス
「ジュリエット……
何の記憶を思い出したか、今は聞かないがヘレナの言葉をまともに受け取らない方が良い……
それに、もうヘレナの心は……」
ジュリエット
「分かってる……ごめん、マクベス……」
ラヴィニア
「……ごめんなさい……ヘレナさん……
それは出来ません……」
タイタス
「ラヴィニア……」
ラヴィニア
「……きっとボク達の過去にヘレナさんに何か酷い事をしてしまったんでしょう……
でもっ!!!!でもっ!!!!!
過去に何があってもボク達はそれでも前に、先に進みます……進まなきゃ行けないんです……それがどんな苦しい事であっても。
だから…ヘレナさんの望みを叶えられずでごめんなさい……優しくなくて、ごめんなさい……」
タイタス
「っ!!まだだよっっっ!!!!!
まだ間に合うっっ!!!まだやり直せるんだっっっ!!!!
あのさ、もしヘレナが良いなら一緒に行かない???
一人でこんな所にいたら寂しいよ。
だから僕達と一緒に行こうよっっっ!!!!
置き去りになんかしないっっっ!!!!!
僕達がヘレナを【今度こそ助ける】よっ!!!!」
ヘレナ
「……ヘレナを助ける……???
ヘレナの事、見捨てたのに……???
お気に入りになれないから捨てられたのに???
ヘレナはお前じゃないのに????
救う……???助ける……???
本当に???本当に助けてくれるの???」
タイタス
「嗚呼っ!!何度だって君の、ヘレナの手を掴んでみせるよっ!!!」
ジュリエット
「……ったくぅ、しょうがないなぁ。
こうなったタイタスは超頑固モードになって、アタシ達だって手がつけれないなんてって、例え記憶が無くったって分かるんだから。
拒否権なんか言わせないわよ、ヘレナっ!!」
マクベス
「まぁ……道案内は必要だからね。
ヘレナ、先程は少々キツイ事を言ってすまなかった……
だが、
ラヴィニア
「ヘレナさん……いえ、ヘレナお姉様……さぁ、一緒に……」
ヘレナ
「あ、ああ……ヘレナは……ヘレナは……────」
NC①
戸惑いながらも震える手て、4人から差し出された手を握り返そうとするヘレナの脳内に突如としてノイズ混じりに、ある映像と共に声が響き渡った。
その映像は黒い炎を上げながら、焼き果て尽くされてしまった無惨な【楽園】の姿が流れる。
NC②
〘────あらあら、また【忘れて】しまったんですか???
全く、これで【何度目】でしたっけ???
アナタは【役割】を果たさなければならないんですよ???
それが【我等の偉大なる家族の
これでは何の為の【楽園】か、分かったもんじゃ無いですねぇ……〙
ヘレナ
「……あ……さま…ぁ……ぁぁ……ごめ……わたしは……ヘレナは……」
NC①
〘────可愛い可愛い【
アナタの【楽園】の【コドモタチ】は
【どうなった】の……???──────〙
ヘレナ
「……嗚呼……そうだった……そうだ、そうよ、そうなんだ、そうだよ……みんな……みんな【悪い子】だ……」
マクベス
(ん??何だ……???今何か誰かと話していたような……???
それにこの地響き音は一体……???)
「ヘレナ???どうし……ヘレナっ!?
何をっっ!!??」
ジュリエット
「避けてっっっ!!!!タイタスっっっ!!!!
ラヴィニアっっっ!!!!」
NC②
突如、ドオオオオオォォォォォンっと轟音が鳴り響く。
ラヴィニアとタイタスのいる場所の地面が大きく抉られ、まるで【ナニカ】に力強く叩き付けられたかの様にそれまで美しかった花畑は ぐちゃぐちゃに潰されてしまった。
そして4人はブツブツと呟き続けるヘレナに視線とゆっくりと動かすと、
それは無数に
ヘレナの両腕がある筈の所から不気味な色をした何十、何百本もの異形の手が生えていたのです。
嗚呼、それにしても何て野蛮で下品で恐ろしく醜い怪物でしょうっっっ!!!!!!!
綺麗に造られた芸術作品の君達が傷付かなくて良かったですねぇぇぇっっ!!!
特にタイタスとラヴィニア。
君達2人は愛すべきの声が無ければ、
あとでお礼を言っては
【2人のお陰で肉ミンチにならずに済んだよ、アリガトウ☆】ってね。
ラヴィニア
「えっ……???きゃぁああっ!!!??
……ひぃっ!!!!???
あっ…へ、レナ姉様……
タイタス
「うわぁあああっ!!??な、何だっ!!??
こ……これはっ!?!?……へ、ヘレナ……な、何で……???」
NC①
貴方達は突然の異変と衝撃に一歩、
すると今まで静かで優しかった花畑は、悪夢のような景色へと変わって行く。
足元の花が、周囲の緑が、あんなにも美しい世界が
蠢く毒々しい花と大地をうねる巨大な木の根。
墓標の下から大量の死者達が目覚め、ヘレナを崇めるように歓喜の声を上げる。
そして4人を見つめるヘレナの瞳には狂気と悪意と殺意と敵意に支配され、【誰一人、生かして出さない】と言う強い意志が籠っていた。
ヘレナ
「そう……タイタスもマクベスもジュリエットもラヴィニアも皆、ヘレナ達を苦しめて傷付けて沢山沢山、ヘレナ達を……!!!!
何も無いヘレナを。何も持ってないヘレナを。
ヘレナ達から【奪うんだ】。
死ぬ事も壊れる事も無いの。
だから過去なんて忘れて良いのに、昔の事なんて失くして良いのに、皆はそんなに綺麗に造って頂いて、自分達で地を踏み締めて歩ける足があるのに、誰かを抱き締めて繋ぎ合えて、触れる両手があるのに。
なのに……なのに、なのに、なのに。
嗚呼……そうか、皆、みんな、ミンナ【悪い子】だ……」
NC②
嗚呼、何と言う事でしょうっっっ!!!!!
君達の心を癒したかつての【楽園】は地獄のような醜悪になってしまった!!!!!
けれどお気になさらず!!!!!
所詮【楽園】なぞ、偽りの見せかけの鳥籠っっっ!!!!!
終わった世界こそが君達に相応しいぃぃぃっ!!!!!
ヘレナ
「罪には罰を。罰には咎を。罪には贖いを。
罰には報いを。そうだ、そうよ、そうなんだよ。
罰を!罰を!咎をあげなくちゃっ!!!!
許さない。許さない。許さない。
ヘレナ達を置いて行く悪い子は【
そして皆で【
【祈り】と【祝福】と【
そうだねっ!!!そうなんだね、【
そうだね、足を取らなきゃ。
そうすれば、皆、
そうだね、腕を取らなきゃ。
そうすれば、皆、ヘレナとお揃いだね。
そうだね、肩も取らなきゃ。
そうすれば、這う事も出来ないね。
そうだね、頭も取らなきゃ。
そうすれば、余計な事は考えないからね。
そうすれば、何にも出来ないね。
そうすれば、どうする事も出来ないね。
そう。そうだよね。そうなんだよね。
アハハハハハハハハハハ!!!!!!
嗚呼!!!【
偉大なる【
アハハハハハハハハハ!!!!」
NC①
第
~終演~
──to be continued(トゥ ビィ コンティニュード)…………───
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。