第弐章『Thistle(シィソー)~壊れた楽園の華~』 第捌話 【花園の乖闢(かいびゃく)】

配役表一覧✝

●PC1 タイタス→男性

●PC2 マクベス→男性

●PC3 ジュリエット→女性

●PC4 ラヴィニア→女性

●NC(ナレーション)①→女性

●NC(ナレーション)②&???①(作中兼役)→男性


✝男女比率✝

男3・女性3(6人台本)


✝ジャンル✝

SF・ダークファンタジー【R-15G】

(※同性愛表現・残酷描写・鬱展開有)


✝所要時間✝

約40分




────────────────────────


NC①

──────昔々、【神様】は人類ヒトを造りました。



【神様】は 人類ヒトに【楽園】を与え、こう言いました。



【知恵の実】だけは禁じると……



けれど人類ヒトは【罪】を犯し、教えに背いて【知恵の実】の禁を破りました。



ゆえに彼等は【罰】を与えられ、人類ヒトは【楽園】を追われてしまいました。




─────────では、問題です。




何故なぜ、【知恵の実】は禁じられたのでしょうか?



【知恵】を持つ事が【罪】だったのでしょうか?



答えは【神様】の思惑通り……───────





NC②

 永い後日談のネクロニカリプレイ風 声劇




『The Fake World of the End (ザ フェイクワールド オブ ジ エンド)』




『第弐章 Thistle(シィソー)~壊れた楽園の華~』

はち話 【花園の乖闢かいびゃく







NC①

貴方達4人は最奥の扉の中に足を進めると、其処そこは辺り一面、緑に囲まれた風景が拡がっていた。

美しく咲き乱れる色とりどりの花に、微風そよかぜに乗って香る新緑の木々。

まるで一つの空間が美しい1枚の絵画の様であった。

日差しは暖かく空は雲一つ無い澄み渡った青い空。

木々には様々な多種多様な花が咲いて果実が実り、小鳥のさえずりが聴こえる。


貴方達のいる場所の先には美しい泉と、丘を超えた先に満開に咲き誇る黄金の色をした、花畑が見えて来るでしょう。

貴方達はようやく外に出られたと思い、喜びがその身を包むでしょう。

ジュリエットは満面の笑みを浮かべ、花畑へと駆け足で駆けて行った。



ジュリエット

「うわああああああああああ!!!!!

外だああああああああああああ!!!!」



ラヴィニア

「ジュ、ジュリエットお姉様!!??

そっ、そんなに走っては転んでしまいますよ!?」



タイタス

「大丈夫だよ、ラヴィニア。

ジュリエットは目覚めてからずっと外に出たいって言ってたんだ。

だからようやく外に出れて嬉しくて、はしゃいじゃってるんだよ。」



ジュリエット

「いぇぇぇぇぇぇぇえぇぇぇぇい!!!!

ひゃっっふぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」



ラヴィニア

「そ、そうなんですね……ジュリエットお姉様、凄く楽しそうです。」



タイタス

「目覚めて僕達ずっと暗い所にいたから陽の光が恋しかったんだよ。

僕もお日様の光を感じたら……うーん!!!何だか安心しちゃうね。」



マクベス

「でもまさか本当に外に繋がっていたなんて思わなかったな……ん???……何だコレ……???」




NC②

マクベスは足元に違和感を感じて地面を観察した。

足元には草花が生えて見えにくくなっていたが、植物の隙間を覗いて見るとその大地は真っ黒い土で出来ており、軽く足でその場の土を擦ると、灰色をした【ナニカ】が姿を表した。

それは砂でも無ければ、土でも砂利でもない。

セメントでも無ければ、コンクリートでも無い。

その【ナニカ】はほんの一瞬。



【ぐにゅん】と動いたかの様に見えた。



マクベスは驚愕し、直ぐ様その場にしゃがみ込んでそれに触れた。

さんさんと日の光を浴びているにも関わらず、何故なぜか全くの乾きも、湿り気も感じない。

表面はサラサラとしているのに指で少しだけ触れれば、【ぬちゃぁ】っと粘り気を感じ、更に【ドクン】と脈打つような感覚さえあった。




マクベス

(何だコレは!!!???今動いていなかったか!!??

それにまるで……カムフラージュしている様な黒い土の下のコレは何だ!?!?

コレは普通の土では無い、違う ……これは土ですら無い……一体何なんだ??!!

こんなモノの上に植物が生えている……此処ここは本当に【外】なのか……???)



タイタス

「マクベス……マクベス???どうしたの???

急に土なんか触って険しい顔して……???

……もしかしてやっぱり傷が痛むの???」



ラヴィニア

「マクベスさん???どうかなさいましたか???」



ジュリエット

「はぁっ、はぁっ、はぁっ……ぁあああああ!!!

気っっっっっっ持ち良いぃぃぃ!!!!

やっぱり外は最高ね!!!!!って………何かあったの3人共???」



マクベス

「え……???……あ、いっ、いや……何でもないよ、タイタス。傷の痛みはもう大丈夫だから平気さ。」


(……まだ分からない事が多過ぎる……コレはまだ3人には隠しておこう……)



タイタス

「そう、なんだ……うん…… 分かったよ、マクベス。」


(マクベスは何かを隠してる……???

傷じゃ無いなら一体何を……???)



ジュリエット

「あっ!!!ねぇねぇっ!!3人共っ!!

あれ見て見てっ!!!!綺麗な花が咲いてるのに変なイガイガがなってるぅぅぅっ!!!!」




NC①

貴方達4人はジュリエットが指差す方向に視線を移すと其処そこには美しく咲いている紫色をした藤の花のような花をした林の中、何故なぜか栗を彷彿させた…イガイガしたモノが実り、また隣には黄色い花が咲いた金木犀キンモクセイのような木に、赤いサクランボに似た木の実が大量に実っていた。

その場所からはほのかに良い香りが漂ってた。




ラヴィニア

「……イガイガ……ハッ!?タワシッ!!!???

あれ???タワシって何でしたっけ???

でもボクこんな綺麗な花っ!!!初めて見ましたっっっ!!!」



タイタス

「えっっっ!!??

そもそもタワシって実になる物じゃ無いし、食器を洗う物だよっ!!!」



ジュリエット

「何コレ!!??ちっちゃくて可愛い実!!!!

凄く良い匂いがするし何か美味しそうっっっ!!!

いっっっただっっっきまぁぁぁすっっっっ!!!

あーーーんっっっっっ!!!!」



マクベス

「あ゙っっ!!??こらっっっ!!!馬鹿っっっ!!勝手に食べるんじゃっ」



ジュリエット

「美味しいぃぃぃぃぃぃぃっっっ!!!

これぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっっっっ!!!

ほらっっ!!ラヴィニアもっっっっ!!!

めちゃくちゃ美味しいわよっっっ!!!」



ラヴィニア

「えっ!!??ぁ、ありがとうございます…えっと……ぃ、頂きます……????」



タイタス

「あ゙あ゙ぁ゙ーーーーーっっっ!!!???

ダメダメェェェェェっっっっ!!!

ラヴィニアァァァァァァァァっっっっ!!!

食べちゃ駄目ぇぇぇぇぇぇぇっっっっっ!!!」



ジュリエット

「あーっっっ!!!ほらほらぁ~マクベスゥ~。

マクベスとタイタスみたいに、ぴっっったりくっ付いてる実があるわよ~。

そ・れ・にぃ、まるでハート♡マークみたいにラッッッッッブラブになってるわよぉ~プークスクスッッッッ!!!!!」



マクベス

「……アハハハ……アリガトウ……ジュリエット……そうだね……こっちには怒ってる時の君のほっぺみたいな色をしてて、匂いも能天気でツンケンした香りだし、実なんて見てくれは良いけど中身がカッッッッスカス!!!な音がしているなぁ~……どっかの誰かさんみたいに……ね。」



ジュリエット

「はぁぁぁぁぁっっ!!!???

何よぉっ!!!マスベスっっっ!!!アンタ喧嘩売ってんの!!!!

だぁぁれぇぇぇがぁぁ何だってぇぇぇぇ!!??

褒めてんのっっ!!??けなしてんのっっ!!??」



マクベス

「そんなの後者に決まってるだろぉ?」



ジュリエット

「ぬぅわぁぁぁんですってぇぇぇぇ!!!???

ふっっっざけんなぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!

このド鬼畜 似非エセ厨二侍っっっっ!!!

お゙ぉ゙んっ!!??上等だぁ!!表出ろ!!!」



タイタス

「あぁぁぁぁぁもぅぅぅぅぅぅっっっっ!!!!

あっちはあっちでお互い火花散らして、臨戦態勢だしっっ!!!!!

ラヴィニアはひたすら木の実をもぐもぐしてるしぃぃぃっっっ!!!

誰か助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっ!!!」



ラヴィニア

「もぐもぐむぐむぐ…… んっ!!??【甘い】っっっ!!!???

これが美味しいって事なんですねっ!!

ジュリエットお姉様っっ!!!!」



ジュリエット

「でしょでしょ~!!!ラヴィニアはどっかの陰険キザ野郎とは違って素直で良い子よねぇ~。

よーしよしよし~……って……へ???」



タイタス

「ええぇぇっっっっ!!!!????

今ラヴィニアは【甘い】って言ったっ!!??」



ラヴィニア

「は、はい、【甘くて】何だか不思議と懐かしい様な味でした。」



マクベス

(ラヴィニアにも【味覚】があるのか……ワタシやタイタスには【味覚】は無かったがラヴィニアにもある……つまりは個人差が生じていると言う事なのか……)



ジュリエット

「わぁぁぁぁーーーいっっっ!!!!

【味覚】がある同士でお揃いだねっっっ!!!

ラヴィニアっっっ!!!って、あれ???【辛く】なかったの???」



タイタス

「いや赤いのがぜんぶそんな味ばかり訳じゃってヲイっっっっ!!!!

まさかラヴィニアに【辛い】のを食べさせようとしてたのかよっっ!!??」



ジュリエット

「だってアタシ辛党なんだもんっ!!!

良いじゃんっl!!!ブーブーッッッ!!!!」



タイタス

「だって辛党なんだもん、っじゃなぁぁいっ!!」



ラヴィニア

(【辛い】って何だろう???美味しいのかな??)



NC②

タイタスの叫び声が空に木霊し、響き渡った後に、風に乗って【ナニカ】が聞こえて来た。

4人の耳に届いたその【ナニカ】は【誰かの声】であった。



それは静かで穏やかな優しい声。

悪意も敵意も殺意も感じない、柔らかな声。



まるで【子守唄】を歌っているようなその声は、4人のいる林の奥の花畑の先に見える【森】がある方向から聞こえて来ていた。

4人はその声に導かれるように、まるで呼ばれているような感覚になって一歩一歩、林を抜けて進んで行くと花畑を超えて【森】に続く、小さな道を見つけた。

その道は木々によってアーチ状になっているのが分かる。



タイタス

「歌……???

誰かがこの先で歌っている……????」



ジュリエット

「綺麗な声……凄く優しい落ち着く声……」



マクベス

「これは……【子守唄】……???

一体誰が歌っているんだ……???」



ラヴィニア

「この道の奥から聞こえます……優しいけど寂しそうな感じがする気がします……」



ジュリエット

「うーーーん……じゃあ進みましょう!!!

進めばこの先に誰がいて歌ってるのか分かるかもしれないし、アタシ達の事について何か分かるかも!!!」



タイタス

「でも……また前みたいに突然敵が現れたら……」



マクベス

「大丈夫さ、タイタス。君はワタシが必ず守る……何が待ち構えていようともワタシは君を守ってそばにいるんだから。

ったく、そんな不安げな顔はおよしよ。タイタスにうれいの顔は似合わないよ……」



タイタス

「っっっ!!??せ、そう、だねっ!!」


(キャーーーーーーーーッッッ!!!!

顔が近いぃぃぃぃぃぃっっっっっ!!!!)」



ジュリエット

「ン゙ン゙ン゙ッッッ!!!!

ねぇ、マクベス……予告無くいきなり口から砂糖がドッッッバドゥッッッバ出る台詞はアタシとラヴィニアのいない2人きりの時にやってくんないかしら???

めっっちゃハートが飛んで来るし、はたから見たらめっっっっちゃ痛っっっいんですけど~。」



マクベス

「おや?何だい、ジュリエット???嫉妬かい???

女性の嫉妬は浅ましくて醜いよ?」



ジュリエット

「あ゙ぁ゙ん゙っっっっ????

……フッフッフッ……アタシつくづく思うんだけど……マクベス……いずれアンタとは決着付けなきゃいけないわね……」



マクベス

「へぇー……珍しく同意見だよ、ジュリエット……

アハハハハハハハハ……」



ラヴィニア

「ぁっ、あのぉ~タイタスさん、敵って何がいるんですか???」



タイタス

(ひぃぃぃぃぃぃっっっ!!!!!!

こここここここ怖いよぉぉぉぉぉ!!!!!!)


「ァ、嗚呼っっっ!!!そうかっっっ!!!!

ラヴィニアは戦闘後に目が覚めたから敵を知らないんだったねっっっ!!!!

何て言って良いのかな~ぇ、えーーーっと、うーーーん、ゾンビに近いナニカって事は分かるんだけど……ほっ、ホラッ2人共もラヴィニアに教えてあげてねっ、ねっ!!」



マクベス

「おっと、そうだね。

敵って言うのは強い悪意と敵意と殺意を持ったバケモノの事だよ。

ただ何故なぜワタシ達にそれを向ける理由は分からないけどね。」



ラヴィニア

「こっ、怖いです……そんな恐ろしい存在がいるなんて……」



ジュリエット

「だぁぁぁぁいじょぉぉぉぉぶっっっっっ!!!!

大丈夫、大丈夫っ!!!ラヴィニアには

アタシが付いてるからっっっ!!!

バケモノ共が襲って来たらこの銃でやっつけてあげるから!!!」



ラヴィニア

「ぁっ、ありがとうございます、ジュリエットお姉様……あ、ぁのっ!!!

上手く、言えないんですが……ジュリエットお姉様がそばにいて下さると安心出来て、何だか胸の真ん中の此処ここが温かくなるんです……

ありがとうございます、ジュリエットお姉様。」



ジュリエット

「っっラヴィニアァァァァッ!!!!

もぅもぅ可愛いなぁぁぁぁっ!!!ぎゅぅーーーー!!!」



ラヴィニア

「ふぇっ!!??ぁっ、あのっ!!

ボッ、ボクはお姉様だけじゃなくてタイタスさんもマクベスさんの事も、し、信じてます!!」



タイタス

(なんて良い子なんだ……ラヴィニア、マジ天使)



マクベス

(天然無自覚タラシって女性版タイタスかな??)


「さぁ、じゃあ行くとしようか。皆、離れないように。」



ジュリエット

「はーーーい!!!よし行くわよーーーっっ!!」




NC①

4人は【森】の奥へと続く小道を進んで行く。

【森】の中にも柔らかな陽の光が差し込んで美しい花が所々に咲いて歌声にまじって鳥のさえずりも聴こえるて来るだろう。

幻想的な景色の中を暫く歩んで行くと、1つの建物が見て来た。

4人がその建物に近付くと周囲の全体像が見える。


鬱蒼うっそうしげる緑に侵食された【森】の中には不釣り合いな灰色のコンクリート製の建物があるが、窓はひび割れ、人の気配どころかアンデットの気配も感じられない、完全な廃墟と化していた。


4人は慎重に建物の中に入るとヒビの入った壁や地面にも、こけや植物の根とつたが生え、荒れ果てていた。


室内には全部で5つの部屋があり、右に【資料室】と【休憩室】。

左に【食堂】と【執務室】。

そして部屋の中央に【実験室】と、書かれた部屋があった。



タイタス

「誰もいないし、それにこの建物、何でこんなにボロボロなのかな?建物の一部が崩落してるし、皆、足元気を付けてね。」



ジュリエット

「ぎゃぁぁぁぁぁぁっっっっっ!!!???

何か踏んだぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!???」



ラヴィニア

「大丈夫ですよ、ジュリエットお姉様。

ただの虫の死骸ですよ。」



マクベス

「……今、何て言ったかな……ラヴィニア???」



ラヴィニア

「え???虫の死骸って言ったんですが、

何か変な事言いましたか、マクベスさん???」



マクベス

「ハハハハハッ……そう……虫、ね……」



タイタス

「あれ???マクベス???

何で明後日の方向見てるの???」



ジュリエット

「えーーーーーーーっっっっっ!!!???

やだぁぁぁぁぁぁ!!!!虫ぃぃぃぃぃ!!!

キモイ、キモイ、キモイィィィィィィッ!!!!」



マクベス

「へっ、へぇー……ジュリエットって虫が嫌いなのかい???全くお子様だねぇー、ハハハッ。」



ジュリエット

「何よぉっっっ!!!悪いっっっ!!??

だってウニョウニョしてるし、足とかウジャウジャしてるじゃんっっっ!!!!

うわぁぁぁ何か背中ゾクゾクするぅぅぅ!!!!」



タイタス

「おっ、落ち着いてジュリエット、大丈夫だから。

と、とりあえずこの【資料室】って部屋に入ってみようよ。」




NC②

4人が【資料室】に足を進めて入るとその部屋には棚と言う棚に大量に収納された本と地面には、乱雑に無造作に散らばったファイルと書類の山があった。

4人は各自、各々おのおので部屋の中を探索し始めた。

部屋中にある本や書類の数々は手に取って読み取ろうにも年月が経ち過ぎて、どれもボロボロで部屋の天井に空いた穴から滴る雨水によってふやけ、インクは滲んで読む事も出来ない。

すると、タイタスの目に古びた一冊のファイルが目に入った。



タイタス

「あれ???このファイルだけ読めそうだ。

なになに……【新型異種混合 合成超生物――Χ.ί.μ.α.ι.ρ.α.(キメラ)――開発計画 第3次実験開発経過報告書】……????」



NC①

そのファイルには以下の内容が記されていた。

タイタスは1ページ、1ページとファイルの中の書類をゆっくり、めくって読み始めた。



タイタス

此処ここに開発計画の第3次実験開発経過報告をしるす。

我々は来るべき約束の日の為に日夜にちや実験を重ね、【新型異種混合 合成超生物――Χ.ί.μ.α.ι.ρ.α.(キメラ)――】の開発にともない、6月18日 第3次実験を開始する…って……何だっ!?これっっ!!??」



NC①

そこに書かれていたモノは以下の文章であった。


【識別個体番号 2348-L(フタサンヨンハチ エル)。

カテゴリ ヒト種・性別 ♀(メス)・年齢8歳5ヶ月。

生きた人体に昆虫A パターン蜈蚣ムカデと生物F type(タイプ) 蛇を合成し、成功。続いて細菌汚染実験に失敗。

1時間後に死亡が確認。処分。】



【識別個体番号 46937-I(ヨンロクサンナナ アイ)。

カテゴリ ヒト種・性別♀(メス)。年齢10歳3ヶ月。

生きた人体に昆虫H パターン と昆虫D パターン ハチを生物G type(タイプ) 犬及び、生物C type(タイプ) 豚を合成するが失敗。

実験中、細胞結合の拒絶反応により験体の損傷を確認。

その場にて処分決定、処理。】



【識別個体番号 10379-K(ヒトマルサンナナキュウ ケイ)。

カテゴリ ヒト種・性別♀(メス)・年齢6歳2ヶ月。

識別個体番号10378-R(ヒトマルサンナナハチ アール)。

カテゴリ ヒト種・性別♂(オス)・年齢9歳4ヶ月。

双方の生きた人体を合成し、シャム双生児を制作。

完成後新型食虫植物と昆虫K パターン ウジを合成。

完全体に成らず廃棄決定。

廃棄原因となった免疫不全に対して、新型ウイルス10種を接種させるが3分で組織汚染を確認。死亡確認。処分。廃棄。

以下全実験体を廃棄決定。】



廃棄。処理。処分。繰り返し続く文字の羅列に混じってそのファイルに殴り書きのような紙が挟まれ、それに書かれている内容は全て怨嗟えんさが込められていた。



???①(NC②兼役)

何奴どいつ此奴こいつも役立たずの

ゴミクズ以下の廃棄物共がっっっ!!!!

お前達クソ共の処理も我々の仕事なんだぞっっ!!

こんな成果が上に知られたら我々の研究予算が

削られてしまうんだっっっ!!!

お前達が何人死のうが関係ないっっっ!!!!!

幾らでも替えがきくお前達【L.i.L.i.N.(リリン)シリーズ】はこの為に用意されたのだから!!!!」




タイタス

「うぇっ!!おぇぇっっ!!ゲホッゲホッ!!」



ジュリエット

「どうしたのっっっ!!??タイタスッッ!!??」



ラヴィニア

「タイタスさんっっ!!??大丈夫ですかっっ!!??」



マクベス

「タイタスッッッッ!!??

まさか記憶をっっっ!!??何を見たっ!!??」




NC②

タイタスはガタガタと全身を震わせ、手に持っていたファイルを滑らせる様に落とし、自身の胸をぎゅっと掴んだ。

それもそのはず。

中に書かれているのは見るも無惨な姿となっている幼い少年少女達の手術と実験の記録。

おびただしい数の解剖写真とびっしりと書かれた常軌じょうき逸脱いつだつした廃棄、処理、処分の文字の羅列と非人道的な、人間が行ったとは到底信じたくない鬼畜の所業の数々。

それを見たタイタスは恐怖に心を侵食され、狂気に陥ってしまいそうになった。



マクベス

「タイタス……ゆっくり息を吸って……」



タイタス

「すぅーー……はぁ……すぅーー……はぁ……」



マクベス

「大丈夫だ、落ち着いて……ワタシの声を聞くんだ……君にはワタシ達がいる、何も怖い事は無いよ……」



タイタス

「マクベス……マクベス……僕は………僕は……」



ラヴィニア

「タイタスさん、ボクもタイタスさんの近くに

いますから大丈夫ですよ……」



ジュリエット

「アタシもそばにいるから安心しなさい……」



タイタス

「……ありがとう、皆……ごめんね………

ちょっとこのファイルを読んでたら気分悪くなっちゃって……」



マクベス

「ファイル???タイタスが手にしていたこれか……これは!!??……すまないがジュリエットとラヴィニアはこのファイルは読まない方が良い……」



ジュリエット

「えぇ……そのタイタスの動揺とマクベスの顔見たら

ファイルにどれだけヤバい内容が書かれてるか分かるわよ……」


(アタシはまだ大丈夫だけど目覚めたばかりの

ラヴィニアが見ちゃったらどうなるか…………)



ラヴィニア

「わっ、分かりました……あの、タイタスさんは本当に大丈夫ですか???

少しお休み致しますか???」



タイタス

「ううん……平気だよ、もう大丈夫だから……」



ラヴィニア

「そう、ですか……

タイタスさんがそう仰るのでしたら……でも……あまりご無理なさらないで下さいね……」



マクベス

「……もうこの部屋を出よう。他に調べても何も出て来ないようだし、次の【休憩室】に行ってみよう。」



NC①

4人は【資料室】を後にし、隣の【休憩室】へと向かった。

扉には鍵は掛かってはおらず、ガチャリとドアノブを回し、中に入って行くとこの部屋も【資料室】同様に緑と木々の根に侵食され荒れ果てていた。

かろうじて形を留めいたのはほこりと青黒いカビまみれたにテーブルと椅子と壊れた自動販売機やテレビが転がり、テーブルの上には中身が無く風化したお菓子の袋といったゴミが多く散乱していた。




ジュリエット

「うわあぁぁ~……ゴミばっかね……ちゃんと掃除しときなさいよねぇ~……」



タイタス

「この床に落ちてる本も風化が激しいな……こんなに荒れてるけど此処って本当に【休憩室】だよね???」



ラヴィニア

(???何だろう、これ????)


「あの、皆さん見つけましたーーーーーっっ!!!」



マクベス

「ん???何か見つけたのかい、ラヴィニア?」



ジュリエット

「何見つけたの、ラヴィニア???

こっちは全然目星になる物は見つから無かったわよ。」



ラヴィニア

「はいっっっ!!!発見しましたっっっ!!!

何の本かは分かりませんがタイトルはお兄ちゃんとハジメテの……」



タイタス

「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!???」



ジュリエット

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!????

何て物見つけてるのラヴィニアッッッ!!!???

早くソレ捨てなさいぃぃぃぃぃぃぃっっっ!!!」



マクベス

(何てものを見つけてるんだ、ラヴィニアァ……)



ラヴィニア

「タイタスさん、どうしてこの本の表紙の女の人は裸に赤いカバンにハートマークだらけなんですか???」



タイタス

「えええぇぇぇぇっっっ!!!??

いっ、いやっっ、僕に聞かれてもっ!?!?」



ジュリエット

「タイタスの馬鹿っっっ!!!変態っっっ!!!」



タイタス

「へぶぅぅぅぅっっっ!!!!!

何でっっっ!!!??何で僕ぅぅぅ!!!???

何で僕ぶたれるのぉぉぉぉぉ!!!???」



マクベス

「ラヴィニア……良い子だから今見たのは全部忘れるんだよ、いいね???」



ジュリエット

「女の子のラヴィニアに何て物見せるのよっっ!!

不潔っっっっっ!!!!最低っっっっ!!!!」



タイタス

「だからどうして僕ばっかりぶたれるんだよっっっ!!!!!

痛く無いけど理不尽だよぉぉぉぉっっっ!!!!」



ラヴィニア

「あ、あのー……すみません……ボクって女の子なんですか?????」



タイタス

「へ???」



ジュリエット

「えっ……????」



マクベス

「なん……だと……!!??」



ラヴィニア

「ボク、女の子???なのか知らなくて……」



タイタス

「えぇぇえええぇぇっっっ!!!!????

いやっっどう見ても女の子でしょ!!!???」



マクベス

「まさか……自分の性別を知らないとは……

そう言えば【味覚】が分かるから女性だと思っていたがラヴィニア自身は明言していなかったしな……」



タイタス

「嘘だよねぇっっっ!!!???

こんなに可愛いのに女の子じゃないのっ!!??

だって胸だってあるじゃっっ」



ジュリエット

「タイタスのエロ痴漢変態アホッ!!!!」



タイタス

「ほげええぇぇぇぇぇぇっっっっ!!!!!!

痛くないけどぶたれる度に心が痛いっっっ!!!」



マクベス

「大丈夫だよ、タイタス……

君がどんなに変態的な性的嗜好しこうがあったとしても嫌いになんかならないよ……」



タイタス

「何でマクベスは冷静に言いながら引いてるんだよぉぉぉぉ!!!!

じゃあラヴィニアの性別を確かめて見ればって、あべしっっっっっっ!!!!!!!」



ジュリエット

「そんな事っ、男のタイタスなんかにやらせる訳ないでしょっっっっ!!!!!

こぉんの馬鹿っ!!馬鹿っ!!ド変態っ!!!!」



タイタス

「ぎゃぁあああああぁっっっ!!!!!

銃突き付けないでぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!!!!

僕は無実だぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!!」


(あれ????2回目?????)



マクベス

「とにかくラヴィニアの性別が分からないのは本人だって混乱するだろうし、女性のジュリエットが確認すれば良いじゃないか???」



ラヴィニア

「はいっ!!よろしくお願いします、ジュリエットお姉様。」



ジュリエット

「ア、ア、アタシィィィィィッッッ!!!???

ううう……わっ、分かったわよぉ……ラヴィニア!こっちに来て。

あっ!!!男のアンタ達はちょっと目をつむってなさいっっっ!!!!」




ラヴィニア

───しばらくくお持ち下さい……───




ジュリエット

「きゃあああぁぁぁああぁぁっっ!!!???

ぅええええぇぇえええっっっ!!!???

う、嘘ぉぉぉぉぉぉぉぉっっっっっ!!!???

ええっ!!??マジでっ!!??

マジなのっっっ!!??えっ、ちょっ、えっ!?

理想ユメだけ幻想ユメじゃ無かったあああぁっっっ!!??」



タイタス

(い、一体何を見たんだ、ジュリエット!?!?)



マクベス

(この反応から見るに……もしや……)



ジュリエット

「た、ただいま……」



ラヴィニア

「お待たせしましたぁーーーーっ!!!

ちょっと着替えに遅くなってしまって、ジュリエットお姉様に手伝って頂きました。

それでジュリエットお姉様、ボクの性別は何だったんですか???」



ジュリエット

「ラヴィニア……貴女は……お……男のムスメ……男の……だったわ……」



タイタス

「男の子???オトコのムスメ???え???

あの、男の???って何?????」



マクベス

(オトコのムスメ……つまりは両性って事か……)


「……なるほど理解したよ……お疲れ様、ジュリエット。」



ラヴィニア

「オトコの娘???オトコの娘って何ですか??」



ジュリエット

「ありがとう、マクベス……

あとタイタス、ラヴィニア……世の中にはまだ知らなくて良い事があるのよ……だから今は聞かないで……」



ラヴィニア

「はい???分かりました????」



タイタス

「え???……うっ、うん……分かったよって……あれ???マクベスの足元に紙みたいな物が落ちてるよ??」



マクベス

「紙……?嗚呼、本当だ。これは……【写真】???

ほこりが酷いがこうやって叩けば……見えた

……これは……もみじの【写真】???」



NC②

マクベスは足元に落ちていた紙のようなモノを拾い上げると、その正体は一枚のポストカード程の【写真】だった。

薄汚れてはいたものの、撮されているモノはさっき撮ったかのように色鮮やかなままである。

その赤く、あかく、燃えるような紅葉こうように染まったもみじの写真を見たマクベスは自身の脳裏に懐かしい風景が拡がり出した。



それは君が忘れていた、失っていた記憶。

忘れたくなかった、失いたくなかった記憶。



大切に、大事にしていた遠い日々の記憶。

知らない筈なのに何故か知っている過去の自分。



確かに感じていた瞬きの中の切なさ。

淡く甘い、君の憐憫シアワセの記憶。



その記憶は一体何が刻まれているのでしょうね?



続きは次の【物語ストーリー】にて開かれていくでしょう……



それまでもうしばらくお待ち下さい……





NC①

はち話 【花園の乖闢かいびゃく




~終演~




──to be continued(トゥ ビィ コンティニュード)…………───


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