第失話 【愚者の記憶】

配役表一覧✝

●PC1 タイタス→男性

●PC2 マクベス→男性

●PC3 ジュリエット&???①(作中兼役)→女性

●PC4 ラヴィニア→女性

●NC(ナレーション)①&ヴァイオレンタ(作中兼役)→女性

●NC(ナレーション)②→男


✝男女比率✝

男3・女性3(6人台本)


✝ジャンル✝

SF・ダークファンタジー【R-15G】

(※同性愛表現・残酷描写・鬱展開有)


✝所要時間✝

約40分




────────────────────────

NC①

 永い後日談のネクロニカリプレイ風 声劇




『The Fake World of the End (ザ フェイクワールド オブ ジ エンド)』




第壱章 『Columbine(コランバイン)~オワリのハジマリ~』


 第 なな話 【愚者の記憶】





NC②

物語は少し巻き戻り、4人が合流する少し前。

ジュリエットと共にタイタスとマクベスの元へと向かう最中さなか

ふと、ラヴィニアの視線の先に自分が目覚める直前まで入っていた【棺】が目に映る。


ラヴィニアはまるで引き寄せられるかのように、歩みを進めて、近付いて中を覗き込むと其処そこには赤、白、紫の色をした花々が敷き詰められ、美しく静かに咲き誇っていた。

瑞々みずみずしく、まるでついさっきに

摘み取ったと言わんばかりの様ようなその花からは、近付くと淡い香りも漂ってくるだろう。

ラヴィニアは【棺】に入った花の中から一輪の赤い花をんでみた。



ラヴィニア

「なんて綺麗な花……これは【アネモネ】……花言葉は【君を愛する】……」


(……あれ???どうしてボクはこの花の名前と花言葉を知っているの???だって初めて見たはずなのに……???)



NC①

不思議そうに首をかしげるラヴィニアは【ナニカ】が一瞬、キラリと光ったモノがひっそりと埋もれているのに気付き、ソレを拾い上げた。


それはてのひらに収まる程の大きさのふわふわとした柔らかな手触りのする布地で出来ており、形は中心にドーナツ状の穴が空いた円状になって、赤いリボンと小さな金色のベルが付いたモノであった。



ラヴィニア

「何だろう、コレ???輪っかになって赤いリボンとベルが付いてる。

ブレスレットか何か……でもそれにしてはちょっとおっきいような……」



ジュリエット

「ラヴィニア~!!びっくりしたよ、ちょっと目を外した瞬間、後ろ歩いてたと思ったらいないんだもん……何か見つけたの???」



ラヴィニア

「あっ、ご、ごめんなさい、ジュリエットお姉様……

何だかこの箱に引き寄せられて調べてみたら気になったものを見つけまして……」



ジュリエット

「そうだったんだ……じゃあ、あの2人と合流した後に色々調べたものを見せて。きっとあの2人ならアタシ以上に知恵を貸してくれるから。」



NC②

そう言ってジュリエットとラヴィニアは互いに手を取ってタイタスとマクベスの元へと向かって行った。

そして合流を果たし、今に至る。



タイタス

「うううっ……もう、お婿に行けないよぉぉぉ…ぐすん……」



ジュリエット

(お嫁に行くのの間違いなんじゃ……いや、もうツッコミするのは辞めとこ。

突っ込んだら負けな気がする。)



マクベス

(……花嫁か……白無垢かウエディングドレスか悩むな。)



ラヴィニア

(よく分からないけれどみんな嬉しそうな気がする……どうしてなのかな?)



NC①

ラヴィニアは3人の笑顔を見ながら合流する前に拾って、ポケットに入れたシュシュに優しく触れると何処どこか懐かしいと言う感覚がその身を包み、懐かしくて優しい、儚くて大切だった自分の記憶がラヴィニアの自我を染めて行く。



ラヴィニア

(あれ???何……これ???……あれは……何???)



NC②

───ラヴィニアの記憶のカケラ

【あの人】 のシーン─────




NC①

白く大きな手がアナタの髪を優しく撫でる。

何処どこか悲しげに、そして愛おしげにアナタの髪を優しく撫でる。




─────ポタリ──────




その人物の瞳からは透明の雫が零れていた。



ラヴィニア

「……どうしたんですか???

何処どこか痛いんですか……???」



NC①

その人物は何も言わず、語らずただ貴女の髪を撫でている。

その人物の行動のどれも貴女は知らない。

その人物の想いのどれも貴女には分からない。

貴女は不思議そうに目の前の人物を見つめる事しか出来ない。


またポタリと瞳から透明な雫が零れる。



ラヴィニア

(────ボクは【あの人】と出会いました。


初めてが逢ったあの日からボクは【あの人】を知りました。


何処どこか悲しげで冷たくて、でも優しい温かいに惹かれて自然と声を掛けたんです。


そしたら【あの人】はボクを見て驚いて、そして笑ってくれて……。


その笑った顔が今にも泣き出してしまいそうな、何かに救われたような顔が忘れられなくて……。


もっと【あの人】を知りたくて。

もっと【あの人】を分かりたくて。

もっと【あの人】と一緒にいたくて。



勇気を出してボクは言ったんです。



でも……あれ……???

ボクは……何て言ったんだっけ???



】って誰ですか……???)




マクベス

「……ん???ラヴィニア……???

如何どうして泣いているんだい???」



ラヴィニア

「……えっ……???あ、れ???

これは………何、ですか……???」



タイタス

「どどどど、どうしたのっっ?!?!

に何かゴミでも入ったっ?!?!大丈夫!?!?ラヴィニアッ!?!?」



ジュリエット

「えっ!?!?大丈夫っ!?!?

ラヴィニアッ!?!?こっち向いてっ!!」



ラヴィニア

「え……あの……分かりません……ごめんなさい……これ……水……???これは何ですか???

止めたくても……何か止まらなくて……勝手に溢れ出て……あれ……???」



マクベス

「……ラヴィニア、それは涙って言うんだよ。

そうか、もしかして君も自分の記憶を見たんだね。

だから、急に記憶を思い出して涙が出てしまったんだろう。」



ラヴィニア

「涙……???これは涙って言うんですね……ごめんなさい……ボク、知らなくて……でも……悲しい……のでしょうか……???

懐かしいような……何処どこか……優しい記憶を見た気がしました……」



ジュリエット

「大丈夫よ、それはラヴィニアの記憶の中でとても大切な記憶だと思うわ。

私もタイタスとマクベスも最初に思い出した時はぼんやりしていて、良く分からなかったけどそれがどんな記憶かは何となくだけどわかるの。」



タイタス

「でも無理に話さなくて大丈夫だけど、そのラヴィニアが思い出した記憶は僕達に関する記憶だった???

今は混乱しているだろうから分からないかもしれないけど……」



ラヴィニア

「いえ……ごめんなさい……皆さんの事は何も分かりませんでした……ごめんなさい……何も分からなくて……」


(ボクは誰を何を想っていたんだろう……???

誰かを強く想っていた……???

それに……【あの人】…???

一体誰の事なんだろう……???)



タイタス

「ううん。こっちこそごめんね、ラヴィニア。それにそんなに謝らないでよ。

さっき言ってだろ???混乱しているって。

記憶を取り戻した時は皆、ラヴィニアと同じになるからそんなに落ち込む事は無いよ。

分からなくて当たり前なんだし、ラヴィニアだってさっき起き上がったばかりなんだもん。

それに記憶が一つでも分かっただけでも充分なんだから……ね???」



マクベス

「そうだよ、そんなに気を落とさないで。

この先進んで行けばワタシ達の事や君自身の事だって分かって来るだろうから。」



ジュリエット

「……もぅぅぅぅぅぅぅーーーっ!!!!

ラヴィニアッ!!!そんな暗い顔しないっ!!!

折角可愛い顔してるんだから暗い顔ばっかじゃ、台無しなんだからっ!!!

ラヴィニアは笑顔の方が似合うわよっ!!!!

ねっ?笑って、ラヴィニア。」



ラヴィニア

「えっ……あっ……は、はい……ごっ、ごめんなさ」



ジュリエット

「だぁぁぁかぁぁぁらぁぁぁぁっ!!!!

謝らないっ!!!!

アタシは謝って欲しいんじゃない、アタシはラヴィニアの笑った顔が見たいの。

それはアタシだけじゃなくて、タイタスとマクベスも同じなのよ……だってラヴィニアはまだ1度も心から笑ってないんだもん……」



ラヴィニア

「……は、はい……えっ、えっと……ありがとう……ございます……あの、こっ、こう、ですか…???」



NC②

そう言ってラヴィニアは頬を赤らめながら、

ぎこちなく、あどけない笑みを3人に向けたその笑顔はまるで陽だまりのような、柔らかな優しい笑顔は3人の心に暖かな灯りを付けた。

3人もラヴィニアの笑顔に釣られて、自然と笑みが零れていた。



ジュリエット

(やっぱり笑うと更に可愛いなあ~この笑顔、守りたいっ!!!!)


「あっ、そう言えば2人と合流する前にラヴィニアがあの【棺】の中で何かを見つけたって言ってたけど何を見つけたの?」



ラヴィニア

「あ、は、はいっ。中にあったのはこの赤い【アネモネ】を見つけました。

他にも紫や白の【アネモネ】の花があって……それとこれを見つけました。」



タイタス

(中に花があったのは僕達と同じだけど3色も使われている事は何か意味があるのかもしれない……)



マクベス

(アネモネの花言葉は白が【期待】。紫が【あなたを信じて】。赤が【君を愛す】。

花言葉は象徴的な言葉が付けられる事が多いが……入れられた経緯はラヴィニアは知らないようみたいだが……これを入れた相手は何故なぜ、こんな手間のかかる事を……???)



ジュリエット

「ちょっと貸してラヴィニア。

ふむふむ……分かったわ、これ、シュシュだわ。

触った感じ、変に中のゴム紐も飾りのベルも劣化とかもしてないからまだ使えそうね。」



ラヴィニア

「えっと…あの……シュシュって何ですか???」



タイタス

「シュシュって言うのはアクセサリーの

1つなんだけどおもにヘアアクセサリー、つまりは髪飾りとして使われてるモノだよ。

ラヴィニア、それちょっと貸してみて。

このシュシュにちょっとほこりが付いてるけどそれ以外汚れてないからはたいたら落ちるはず……ほら、綺麗になったよ。」



ラヴィニア

「ありがとうございます、タイタスさん。

へー……これ髪飾りなんですね、可愛いです。」



マクベス

「ラヴィニアの箱から見つかったモノならきっと、君にとってとても大切なモノだったんだろう。

そうだ、ラヴィニアの髪の毛が少し乱れているからジュリエットに結い直して貰うといいよ。

こう言うのって得意そうだからね、ジュリエットは。

せっかく綺麗な髪してるのに勿体無いからね。」



ラヴィニア

「えっ!?!?いっ、良いんですかっ!?!?」



ジュリエット

「うん、全然オッケーよ、ラヴィニア。

くしが無いから手櫛てぐしになっちゃうけど何か違和感とかあったらすぐ言ってくれて良いから。

ほらっ、此処ここに座る座るっ!!!!」



NC①

そう言ってジュリエットは瓦礫の中でも比較的座り心地の良さそうなモノの上にラヴィニアをいざない、座らせるとルンルンと鼻歌交じりに楽しげにジュリエットは優しい手つきで

髪をい直し始めた。

そんななごやかな光景をタイタスとマクベスは見つめていた。



タイタス

(ジュリエットってば本当にラヴィニアのお姉ちゃんって感じだなぁ……もしかしてジュリエットが言ってた【双子】ってラヴィニアの事なんじゃ……)



マクベス

(ジュリエットって以外と器用なんだよな。

銃を精密に使う技術でそれを感じてはいたけどただの馬鹿力……じゃなかった、力持ちとは思っていたけれど。)



ジュリエット

「……右……真ん中……左……よしっ!!!

ジャッジャジャァァァーーンッ!!!!

完成っ!!!うん、我ながら完璧っ!!!」



タイタス

「わぁぁぁぁっ!!可愛いぃっ!!!!」



マクベス

「編み込みを入れたハーフアップにしたんだね。

確かに髪の長いラヴィニアには打ってつけだ。良く似合ってるよ、ラヴィニア。」



ラヴィニア

「うわぁ……凄いっ!!!!

あっ、ありがとうございます!!!!

ジュリエットお姉様っ!!!!!

凄く凄く凄くっ!!!!嬉しいです!!!!

本当にありがとうございますっ!!!!」



ジュリエット

「よしよし。またほどけたら言ってね、今度はアレンジ入れて結ってあげるから。」


(こんなにピョンピョン飛び跳ねてよっぽど嬉しかったんだって伝わって来るなぁ。

ラヴィニアの身体に纏ってる薔薇の花も心なしかさっきより満開に咲いてような気がするけど……アタシに妹がいたらこんな感じなのかな???)



NC①

4人が談笑している中、ラヴィニアはジュリエットに丁寧にってまれた髪を愛おしげに撫でながらわれた先の赤いリボンが付いたピンクのシュシュを嬉しそうに見つめた。

リボンの中心に付いている小さな金のベルがチリンと小さく音を鳴らした瞬間。



突然ザザーーーっと視界と脳内に大きなノイズが走った。



そのノイズに混じってラヴィニアの見ていた視界が歪み、誰かの声と見知らぬ映像が拡がった。


それは見知らぬ誰かの記憶。

誰かが置き去りにして、手放した悲しい記憶。





───ヴァイオレンタの記憶のカケラ

【廃棄】のシーン─────





???①(ジュリエット兼任)

「このクソガキがっ!!!ふざけやがってっ!!!!!」



NC②

理知的な顔立ちの白衣を着た女性が、目尻を険しく吊り上げて激しい怒号を放ちながら、少女ヴァイオレンタの髪を鷲掴みにし、床に激しく叩き付ける。

彼女のブチブチと髪は引きちぎられ、どんなに痛みにあえいでも恐ろしい暴行の数々には終わらない。



骨がミシミシときしんんで折れても、内臓がグチャリと潰れ、ザックリと皮膚が裂けても、吐瀉物としゃぶにまみれても。

女性の足でグリグリと踏みにじられ、彼女ヴァイオレンタの全てを否定され、何もかも壊される。



何度も、何度も、何度も、何度も、何度も。

繰り返し、繰り返し、繰り返し。



一方的に殴られ、蹴り飛ばし、踏みつけられ続けられ、綺麗だったはずの彼女の青い髪はやがて自身の血と汚物に塗れ、バラバラと引き千切れて抜けた幾つもの髪が辺りにへばり付いていく。


悲しみ、苦しみ、もがき、手を伸ばしても彼女のその手は永遠に届かない。



其処そこにあるのは終わらない恐怖と絶望。

壊され、汚され、捨てられた理不尽で無慈悲な蹂躙じゅうりんの記憶。



ヴァイオレンタ(NC①兼役)

「……ごっ……ごめっ……ゆっ……ぉえっ……ごほっ……」



???①(ジュリエット兼役)

「【お前達】は所詮は役立たずで出来損ないの道具モルモット以下の消耗品スクラップなんだよっ!!!

そんな不良品ゴミの分際のクセに邪魔しやがってっ!!!!

……ハァッ…ハァッ……ハァッ……ハハ、アハハハハハッ!!!

そうだっ!!!いい事を思いついたわっ!!!

今回は前回よりも電流の出力は最大値にして投薬も今までの倍にして過去のデータで今までの数値よりも高い数値が出るまで続けてやるっ!!!!

アハハハハハハッ!!!!!」



ヴァイオレンタ(NC①兼役)

「ぃっ……や……だず、げっ……たずげ……ぁ……ぃ゙い゙ぎゃ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙あ゙ぁ゙ぁ゙っ!!!!

い゙だい゙っ!!!い゙だい゙っ!!!い゙だい゙っ!!!

い゙だあ゙ぁ゙ぁ゙あ゙ぁ゙ぁ゙っ!!!!!

い゙だい゙ぃ゙ぃ゙ぃ゙ぃ゙ぃ゙ぃ゙ぃ゙っ!!!!

ひぎゃ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙っ!!!!」



NC②

深くくらい絶望と地獄の光景の中、必死に悲痛と嗚咽おえて苦悶くもん彼女ヴァイオレンタは訴えて続けた。




けれど、誰も彼女に【気付かない】。




誰も彼女を【助けない】。




誰も彼女を【救わない】。




彼女は【何も出来ない】。





ラヴィニア

────【ボクは何も知らない】────





ジュリエット

「…ヴィ……ア……ラヴィニア?

ラヴィニアッ!?!?ラヴィニアってばっ!?!?

どうしたのっ!?!?顔色が真っ青よっ!!!!大丈夫っ!?!?」



ラヴィニア

「……ぉねぇ……さま……ぃっ…今のは……???ボ、ボクは……???」



ジュリエット

(まさかまた記憶を取り戻したんじゃ……)


「大丈夫よ、ゆっくり深呼吸して……落ち着いて……落ち着いて……」



ラヴィニア

「……ごっ、ごめん……なさい……ごめ……んな……さい……ボ、ボク……」



マクベス

「ラヴィニア無理して話さなくて良いんだ。

大丈夫、大丈夫だ。少し刺激が強くて恐ろしい記憶を見たのは言わなくても分かるから。」


(この戸惑い……まさかラヴィニアもヴァイオレンタの記憶を???いや、ラヴィニアは彼女の事は知らないはずだ……ならば一体何を見たと言うんだ……???)



ラヴィニア

「……おっ、おねぇ……さま……マク……ベスさ……タイ……タスさ……」



タイタス

「大丈夫、此処ここにみんないるよ。大丈夫、大丈夫だよ。」



ジュリエット

「アタシがこうやってラヴィニアを抱き締めててあげるから今は何も言わないで……」



ラヴィニア

「……あ……おねぇ……さま……あったか……いです……」



NC②

カタカタと全身を震わせていたラヴィニアは、徐々にゆっくりと時間を掛けて落ち着きを取り戻して行く。

ラヴィニアの感じた温かさはただの錯覚さっかく

けれど確かに感じたまぼろしのようなぬくもり。

優しさと想いが詰まったジュリエットの心が、ラヴィニアの中にあった狂気を鎮めた。



ジュリエット

「もう大丈夫そうね、落ち着いた???」



ラヴィニア

「は、はい……ごめんなさい……

ジュリエットお姉様、マクベスさん、タイタスさん。

ご迷惑をかけてしまって……」



タイタス

「こーらっ、謝らない。

こう言う時は"ありがとう"って言うんだよ。」



ラヴィニア

「ありがとう……???

……そっか……こんな時はありがとうって言うんですね……えっと……ありがとうございます……」



ジュリエット

「ううん、いいのよ。気にしないで、ラヴィニア。」



タイタス

「ラヴィニア……僕達は1人じゃないよ。

どんなに恐ろしい記憶を観ても、君には僕やマクベスとジュリエットがいる。

絶対僕達がラヴィニアのそばから離れたりしないから、だから不安にならなくても大丈夫だよ。」



マクベス

「嗚呼、ワタシ達はさっき出会ったばかりでお互いの事は何も知らない。

けれどワタシ達は例え記憶が無くとも君を信じてる、信じられる気がするんだ……

だからラヴィニアもワタシ達を信じて、ずっと一緒にいてくれないかな……???」



ジュリエット

「2人の言う通りよ。

どんなに怖い目にあっても皆で支え合いましょう。

ラヴィニア……ねぇ、笑って。

アタシ、またラヴィニアの笑った顔が見たいんだ。

駄目……かな……???」



ラヴィニア

「タイタスさん……マクベスさん……ジュリエットお姉様……はいっ!!上手く笑えるか分かりませんが、これからも沢山皆さんに笑顔を向けてみせますっ!!」



マクベス

「フフフッ………良い子、良い子。」



ジュリエット

「あーーーーっ!!!!

マクベスがセクハラしてるぅぅぅーーーっ!!!!」



マクベス

ワタシはただラヴィニアの髪を撫でてるだけなんだけど何を言ってるのかなぁ、ジュリエットォォォォ???

嗚呼、もしかして自分は撫でて貰えないからってヤキモチなのかなぁぁぁぁぁぁ???

アハハハハハハハッ!!!!困った子だなぁぁぁぁ~!!!!」



ジュリエット

「やっだぁっ!!そんなヤキモチなんて焼く訳無いじゃなぁぁぁぁぁぁいっ!!!!

冗談を冗談にとらえれないなんて頭かったいわねぇ~アハハハハハッ!!!!」



タイタス

「あわわわっ、な、仲良シダナァー……アハハ……」


(……マクベスとジュリエットの間に火花が走ってる……ふ、2人共、こっ、怖いめう。)



ラヴィニア

(んんん???セクハラって何だろう???)



タイタス

「……あっ、あの、ほらっジュリエットもいつまでも抱き合ってたらラヴィニアが動けないから離れてあげないと、ね???

それにそうやってると姉妹って言うより、まるで恋人同士みたいに見えるんだけどって……な、なぁんちゃってぇぇぇーー!!!!

アッ、アハハハハハッ……」



マクベス

「大丈夫かい、ラヴィニア???

ジュリエットは見境なく抱きしめたがる馬鹿力の持ち主だからね、少しでもウザかったら言うんだよ???」



ジュリエット

「あ゙ぁ゙ん゙!?!?誰が何だって!?!?

アンタまた馬鹿力って言ったわねぇぇぇっ!!!!あとウザイってなによぉっ!!!」



タイタス

(ちょっとマクベスゥゥゥゥゥッ!?!?

折角、僕が勇気出して2人に声掛けたのに台無しじゃないかぁぁぁあぁっ!!!!)



ラヴィニア

「はい、とっても落ち着きました、ありがとうございます、ジュリエットお姉様。

ウザイ???馬鹿力???

……あの……その……タイタスさん、恋人同士って何ですか???」



タイタス

「えぇぇえっ!?!?

……えーーーーっと……あの……そっ、それは……えっと……こっ、恋人同士って言うのは……」



ジュリエット

「えーっとね、タイタスとマクベスみたい二人っきりの世界で始終イチャイチャして花咲かせてる関係の事よ~。」



マクベス

「いやぁぁ~ワタシ はジュリエットみたいに何時いつでも何処どこでも熱ぅぅぅぅぅぅいセクハラ紛いの抱擁ほうようは交わしてないからねぇぇぇ~……まだ……ね……」



タイタス

「!?!?!?なっななななななっ!?!?

マッ、マクベスッ!?!?ちょっとマクベス!?!?」


(まだっ!?!?なんだってっ!?!?

えっ!?!?ど、どう言う事っ!?!?)」



ジュリエット

「むぅぅぅぅーーっ!!!!ちょっと何かマクベスってばアタシに意地が悪くない!?!?」



マクベス

「ハハハハハハッ……何の事かな???」



ジュリエット

「ぐぬぬぬぬぬぬぬっ!!!!

今度と言う今度は許さぁあぁんっ!!!!」



ラヴィニア

「あの……何だか良く分からないですけど恋人同士と言うモノが仲良しさんの事なんだって分かりましたけど、マクベスさんとジュリエットお姉様は仲良しさんじゃないんですか???」



タイタス

「あーーー……それに近いといえば近いし、違うと言えば違うけど……まぁ、あの2人は毎度あんな感じだから気にしないであげて……アハハハ…。」


(うーーーーん……仲良しさん……???

あの2人に関しては本気で喧嘩してる訳じゃないんだけどラヴィニアってもしかして天然なのかな???

あれ???何かデジャブを感じる……???)



ラヴィニア

「は、はぁ……そう、なんですね……

ボクもこれから先、もっと皆さんと仲良く出来ますでしょうか……???」



タイタス

「 大丈夫だよ、ラヴィニア。

これからは君も一緒だからあの二人のやり取りを沢山見るだろうし、これから先に辛い事や悲しい事を思い出しても決して一人ぼっちじゃない。

【君を一人ぼっちにはさせない】よ。」


(あれ……????この言葉……何処どこかで……???

……何だ……急に頭にノイズが走って……)



ラヴィニア

「タイタスさん???どうしましたか???」



タイタス

「え???……ぅうん、何でもないよ。

えっと、これからはずっと、僕もマクベスもジュリエットも一緒にいるから安心してね、ラヴィニア。」


(気のせい……かな……???)



ラヴィニア

「あ………は、はいっ!!!!

あ、あのあちらの御二方はあのままでよろしいんでしょうか???」



マクベス

「ほらほら、ジュリエット。

ワタシたまを無駄遣いするのはやめて先に進もうじゃないか。」



ジュリエット

「だぁぁぁれぇぇぇがぁぁぁあぁぁぁあぁ

そうさせてんのじゃボケェェェッ!!!!」



タイタス

(もぉぉぉぉぉっ!!!!

マクベスもジュリエットも武器を使って喧嘩しないでぇぇっ!!!!

2人共、目がマジだし勘弁してよぉぉぉっ!!

マクベスの盾にはなってあげたけどあんな至近距離じゃ庇えないよぉっ!!!!

むしろこっちが死んじゃうよってもう死んでるがなっ!!!)



ジュリエット

「んもぅっ!!!ふぅーーーんだっ!!!!

先に出口みたいな扉があったからそっちに行きましょっ!!!

行こっ!!ラヴィニアッ!!!!」



ラヴィニア

「は、はいっ!!!」



マクベス

「全くしょうがないな、でも何時いつまでも此処ここにはいられないからね、動くとするか。

おーーーーい、タイタスーーー???

来ないのかーーーーい???」



ジュリエット

「ほら、タイタス行くわよーーっ!!!!」



ラヴィニア

「タイタスさーーん、お早くぅーー。」



タイタス

「えっ!?!?あっ、まっ、待ってよぉーー!!」



NC①

4人は歩みを進め、部屋の最奥にある大きな

黒い豪華な装飾がされた重厚感のある扉へと

近付くと、其処そこには最初に見た時とは違い、2体の石像の姿は無くなっており、扉を縛っていた大きな銀の鎖も錠前の跡も無くなっていた。


ただ1つ、扉の前には黒板のような板に赤いチョークで書かれた1つのメッセージがあり、それにはこう書かれていた。



【Welcome to the Ἑ.σ.π.ε.ρ.ί.δ.ε.ς. (ウェルカム トゥー ザ ヘスペリデス)】と……



ラヴィニア

「何でしょうこれ???文字が書いてありますが……」



ジュリエット

「あれ???こんなの最初からあったけ???

確か前見た時は赤いペンキみたいなモノで扉全体に書いてあった様な???

って言うか何よこの最後の文字、全然読めないんだけど。」



マクベス

「この最後の文字は英語圏の言葉じゃない。

何て読むかはワタシもさっぱり分からないな。」



タイタス

「【Ἑ.σ.π.ε.ρ.ί.δ.ε.ς.(ヘスペリデス)】って書いてあるね。

でも一体どう言う意味なんだろう……???」


(【Ἑ.σ.π.ε.ρ.ί.δ.ε.ς.(ヘスペリデス)】……???

【楽園】って意味として読めるけど……)



ジュリエット

「へーーーっ、タイタスってこの文字読めるんだ、意外だわぁ。

んじゃ何が待ってるか分かんないけど行くわよーーっ!!!!

さぁラヴィニアも一緒にレッツゴーッ!!!!」



ラヴィニア

「はっ、はいっ!!!!ぇっと、れっ、れっつごー!!!!」



マクベス

「ったく、緊張感が無いんだから……

さぁ、ワタシ達も行こうか。タイタス、手を。」



タイタス

「えっ!?!?あっ、手を繋ぐのっ!?」



マクベス

「あの二人だって手を繋いでるだろ???

タイタスはワタシと繋ぐのは嫌なのかい???」



タイタス

「ゔ……嫌じゃなくてちょっと恥ずかしいだけだよ……でも……ありがとう、マクベス……

じゃあ、行こうっ!!」



NC②

4人は黒い扉を押すとゆっくりと扉は開かれ、その先へと歩みを進めると扉は小さくパタンと音を立てて閉まった。


タイタス。マクベス。ジュリエット。ラヴィニア。

4人はこの先を追い求めて【ナニカ】に導かれるように進んで行く。

その先に新たな【罪】があるとも知らずに……





NC①

───幕間まくあいの会話────





NC②

『─────ハーーーーイッ!!!!!!

ハイッハイッ!!!!

如何いかがでしたでしょうか???

これにて第壱幕は終幕で御座いますっ!!!

それにしてもやぁぁぁっと【役者キャスト】が揃いましたねぇぇぇぇっ!!!』



NC①

『そうね……待ちかねたわ……』



NC②

『はいぃぃっ!!それはもぅ気が遠くなるほど待ちに待ったのですからぁっ!!!!

嗚呼っ!!!!死してなお、ヒトの心を持つワタクシ達の愛憎いとしきドール達の何と

美しくも滑稽こっけいな姿ぁぁぁっ!!!!

大っっっっ変っっっっ!!!!!!!!

たのしませて頂きましたっ!!!!』



NC①

『……そう……良かったわね……』



NC②

『おやおやぁ~釣れないですねぇぇ。

全てはワタクシ達の愛憎いとしきドール達を玩弄がんろうせし、 貴女様が織り成す【舞台ステージ】っ!!!!!!

貴女様にとっても、ワタクシ達や彼等にとってもようやく【遊戯ゲーム】だと言うのに……』



NC①

『あの子達はまだ【後日談ストーリー】の【冒頭チュートリアル】を迎えたばかり。

それ以上でもそれ以下でもない、ただそれだけよ……』



NC②

『ふむ……確かにまだまだ【後日談ストーリー】は始まったばかり。

さっさと撤収作業を終わらせて、この先の展開は次回の【演目ショー】でお披露目致すとしましょうか。

……とぉぉぉこぉぉぉろぉぉぉでぇぇぇ。

ヴァイオレンタに貴女様は何もお言葉はお与えになられない、何も想う事は無いのですかぁぁぁあぁぁ???』



NC①

『……何が言いたいの……?』



NC②

『いえいえいえいえ、ワタクシはヴァイオレンタに何か御言葉を告げなくて良いのですかと

尋ねているだけなのですよぉぉぉぉ???

仮にも彼女はワタクシ達の【家族】。

貴女様の大切で大事にしていた、ワタクシ達の【家族】の一員。

彼女はワタクシ達の為にぃぃぃぃっ!!

否っ!!!!否否否否いぃぃぃなぁぁぁぁっ!!!

彼女は貴女様の為にぃぃぃその務めを果たしたのですよぉぉぉぉぉ???

そんな彼女へ何のねぎらいの御言葉の

1つも無いのですかぁぁぁぁあぁぁ???』



NC①

『……ヴァイオレンタはワタシ達の【】………。

それは【】。

彼女は役目を立派に果たし、これから始まるワタシ達の【】にとって彼女の犠牲は尊き犠牲……

そうね……お前の言う通りね。

……お休みなさい、ヴァイオレンタ…お疲れ様。

そして貴女も楽しみなさい。

ワタシ達の愛憎いとしきドール達の末路を……』



NC②

『アヒャヒャヒャヒャヒャッ!!!!!!!

嗚呼っ!!流石は我等の親愛なるぅぅっ!!

敬愛なるぅぅぅぅぅっ!!!!

我等を束ねる偉大なる【家族のおさ】よっ!!!!

素晴らしいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!』



NC①

『……これで満足かしら?

こんな無為むいな言葉を聴きながら、絶頂して気持ち悪い言葉の羅列と瞳をワタシに向けないでくれる【悪趣味下衆外道クソピエロ】。

舞台ステージから退場したあの子に掛ける言葉はもう有りはしないと、分かっているのでしょう???

……茶番はやめなさい。』



NC②

『ふむ、バレてましたか……いや、貴女様にはバレバレなのは当然ですな。

えぇ、えぇ。とても大満足ですよぉぉぉ。

貴女様のその慈悲と慈愛に満ちた御言葉は

ヴァイオレンタに十分伝わったでしょう。

】ってね………』



NC①

『……相変わらずお前の言葉はワタシを不快にさせるわね……

今に始まったことでは無いけれど……図に乗るな、【Cancer】が。

……お前の下らない【雑務トレース】には付き合ってられないの……分かるわよね……???」



NC②

「フヒィヒィヒィヒィヒ……えぇ、えぇ…分かっておりますとも……

貴女様のその瞳と感情……嗚呼っ!!!

それでこそ我等の偉大なる【家族のおさ 】っ!!!!

ワタクシ達の愛憎いとしいドール達の悲劇も、喜劇も、苦痛も、悲哀も、憎悪も、憤怒も、絶望も、恐怖も、失意も、憐憫れんびんも狂気もは舞台を彩る【演出ギミック】ッ!!

全てを支配する【遊戯盤ゲーム】の唯一無二の絶対者っ!!!!

何とっ!!何とっ!!何とっ!!!!

美しいのでしょうっ!!!!

それでこそ忠誠を捧げる価値があるっ!!!!

さぁさぁっ!!次回もどうぞ御堪能ごたんのう下さいませっ!!!!

黙示録のラッパを鳴らし、ありとあらゆるモノ共への【開幕クランクイン】の布告としましょうっ!!!!

ワタクシ達の愛憎いとしきドール達に幸あらん事をっ!!!!

アヒャヒャヒャヒャヒャッ!!!!!!

アハハハハハハハハハハハハッ!!!!』





NC①

なな話 【愚者の記憶】




~終演~




──to be continued(トゥ ビィ コンティニュード)…………───


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