第伍拾弐話:全校集会
慌ただしいと言うにはあまりにもせわしなかった休日が終わり、月曜日が始まった。
予定通り全校集会が始まりみんな一斉に校庭へ出た。
布田月教頭は勝ち誇った顔で朝礼台に上がった。自分がこれから孫と同じ様に逮捕されるとも知らずに・・・。
ちなみに和瑠男が居なくなっているのになぜ気づかないのかと言うと、警察局によれば和瑠男は時々不良中学生と一緒に夜中まで遊び惚けてそのまま授業をバックレるのが当たり前だったかららしい。
「これより全校集会を始めます。」
「気負付け!」
生活指導員でもある伊吹先生が号令をかけると皆一斉に姿勢を正した。
「礼!!」
『よろしくお願いいたします。』と子供たちの元気いっぱいのあいさつが校庭にこだました。
「えー、さてと・・・皆様に大変悲しいお知らせがあります。和田校長先生、杉村真紀ちゃん、警察局の釜瀬さん前へ。」
白々しく悲しそうな顔をしながら校長先生を壇上へ、釜瀬という警察官を朝礼台のそばへ誘導した。
ちなみに釜瀬と言う人物は杉村さんの同僚なのだが、隠れて様々な悪事を働く汚職警官でもちろん布田月教頭の仲間だ。
警察がいるために周囲は少しざわついた。『だれかが逮捕されるのか?』あるいは『この中にいない誰かが逮捕されたのか?』などといった声が聞こえた。
「静粛に!」
ひそひそ声がピタリとやんだ。
「ご苦労、伊吹君。秩序という言葉を知らん子供達には恐怖こそが大人になるのに必要だな。」
「はあ・・・まあ、そうですね。」
秩序を現在進行形で乱したお前が言うな!!
「話を続けよう、昨日未明にわが校の女子生徒が誘拐された!和田左衛門にな!!」
布田月教頭は和田校長先生を指さしながら叫んだ。
「彼は校長と言うみんなを導く身分でありながら、わが校の生徒を自宅に連れ込んだのだ!」
「それは違う!」
俺は力いっぱい叫んだ。当然教頭のヘイトが俺に向いた。
「古明地吾君、君は成績優秀で魔法の扱いに長けた優等生だ。これからの人生を棒に振りたくなければ大人しく話を聞いていることだな。」
すかさず憑りつかれた真紀ちゃんが嫌悪な表情で俺に迫って来た。
「悟君?嘘はいけないわ。第一、被害者だった私が言うのだから間違いないわ!」
「そうだとも、悟君。それに私は罪を償う証拠を言うために此処にいるんだ。邪魔しないでくれ?」
そう言って校長がウインクをして俺は頷いた。
「わかった。」
何も知らない教頭先生はふんぞり返り、真紀ちゃんと釜瀬は不敵な笑みを浮かべた。
「しかし、一方的にこちらの理論を押し付けるのも良くありません。そうでしょう・・・未来の校長先生?」
未来の校長と呼ばれた教頭先生は分かりやすいぐらい嬉しそうな顔をした。
「そうだとも!元校長、和田左衛門君!もしかしたら悟君の言っていることが正しい可能性がわずかだが存在するかもしれんしな!!ハハハ!」
「じゃあ、教頭先生が嘘をついている証拠を見せます。」
俺はそう言って俺は楽しい思い出を思い出しながら光で出来た弓と矢を出現させて真紀ちゃんに向けて放った。
その弓矢を見るなり真紀ちゃん・・・いや、金華猫の顔がゆがんだ。
「じゅ、準2級陽魔法『聖なる誘導矢』だとぉ!!」
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