第2話 シンの入院
シンは指定の日に入院した。
二回目なので多少は慣れている。
しかしすぐに帰ることになっている。
今日は私も一緒についてきた。
ヒマだったし、詩もバスに乗りたがったから。
道中、詩とバスの旅を満喫した。
今日はシンも一緒だったので余計にうれしかったみたいだ。
詩の笑顔はシンと私を元気にする。
時々シンと見つめあって気持ちを温めた。
二人で詩を支えている。
シンと重なる手が温かい。
幸せやなぁ。
病院に到着すると詩がシンに抱っこをせがんだ。
「おいで詩」詩はシンに飛び込んでいく。
いつ見てもほほえましい。
でも私も飛び込みたいねん。
ナースステーションであいさつした。
知っている顔はいない。三年前やからもう忘れている。
小林さんはもう退職したようだ。
もしまだいたら不安でもなんでもないけどどんな顔したらええのかわからなかった。
「シン、手術は休み明けなんやな」
「うん。だから今日もうちょいしたら帰るねん」
「なんでこんなことするんやろうな」
「判らん。手続きが休みの日にはできへんのと
まあ体を落ち着かせる意味もあるんかもしれんけど。
とりあえず看護婦さん来るの待っとかんとあかん」「うん」
十五分くらいすると看護婦さんがやってきた。
「鴨居さーん」「はい」
「おはようございます。今日担当の岩本です。よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
「鴨居さんもうお帰りになられても大丈夫ですよ」「そうですか」
「外出許可だけ取っていただかないといけないのでこれに署名してくださいね」
「はい」
署名してナースステーションに持って行った。
「鴨居さんじゃあ日曜日の夕方18:00までにこちらにお戻りくださいね」
「はい」
「ではお気をつけて行ってらっしゃい」
「行ってきます。 コハル行こう」「うん」
「今日はもう家に帰ろうか」「そうやね」
帰りのバスでも詩は楽しそうに外を眺めている。
自分が子供の頃どんな風景が目に映っていたのだろうか。
今見ている大人の目に映るような風景ではなかったような気がする。
今私の目には平べったい絵のような感じで写っている風景ももっと立体感があったような気がする。
何かが失われてしまったのだろうか。
家に帰るとのんびりした。「詩。散歩行くか」シンが言った。「うん」
「コハルは?」「私も行こうかな」「うん」
茨木市駅から神社方面にのんびりと歩く。
「この辺も昔から変わらんなぁ」
「そうやね。でもビルの中に入ってるテナントは代わってるみたいやで」
「そうか。この先にあったのが俺が一人暮らしするときにお世話になった不動産屋さんやねん。でももう無くなってるわ」
「そうなんや」
「最初行った不動産屋さんは勤め先は決まってるけどいう話をしたら勤めてないとだめですと言われてけんもほろろやったわ。でもそこにある不動産屋さんは大丈夫ですよって言ってくれたからよかった。 一カ月くらい後で元カノと神戸でデートしてるとき最初に断られた所の不動産屋の兄ちゃんとお世話になった所の不動産屋のお姉ちゃんがデートしてる所に出くわしてびっくりしたことがあるわ。
あの取り付く島もない物言いする兄ちゃんが女と付き合えるんやなと思ったのを覚えてるわ」
「そうなんや」
桜通りに入った。
桜が満開のピークは過ぎているが雨がまだ降っていないのでそれなりに楽しめる。
まだ広場には屋台が出ていた。
「シン。詩がお腹にいるときにタコ焼き食べたな」「そうやな。うまかったな」
「また食べようか」「ええな。詩も食べるか?」
「うん。おいちい?」
「うん。おいしいよ。じゃあ一つ買ってくるわ」
「うん、おねがい」
ベンチに腰掛けてタコ焼きを分ける。
「詩。これは熱々やからふうふうして食べなあかん」
「うん」「フーっ。フーっ。あっ。飛んでいった。あっ。鳩がくわえていった」
一瞬の出来事だった。「狙われているんや。俺らは狙われてる」
「シン。俺らはやなくてタコ焼きや」
「そうやな」笑 「次は気をつけて吹くわ」「うん」
「フーっ。フーっ。フーっ。さあええやろ。はい詩、食べてみて」
「うん。あむっ。もぐもぐもぐ。 とーしゃんおいちいね」
「おいしいか。よかったわ。コハルも食べや」
「うん」みんなでたこ焼きを楽しんだ。「おいしかったね」「うん」
「また来ような」「うん」それから寄り道をしながら消防署の前で引き返すことにした。
「詩。消防車やで。火事の時に火を消してくれるねん。救急車もあるな。俺は友達の付き添いで一回だけ乗った事あるわ」
「そうなんや」「うん」
「さあぼちぼち帰ろうか」「うん」
帰りにスーパーに寄ってお昼のお弁当を買った。
「シン手抜きしてごめんね」
「いやいや。そんなん気にするな。抜ける手があるんやったらなんぼでも抜いたらええ。 ほんまに家事は大変やと思う。家に帰って買ってきたお惣菜が出てきても何にも言わへん。食べられるだけありがたいと思わんとあかんのやと思う」
「シンはそのあたり極端やな」
「そうかな。小さいころ貧乏やったけど食べるものはあったからな。でもその頃のお店にはお惣菜なんか見たことなかったから全部お母ちゃんが作ってたんや。今はお味噌汁もレトルトがあるしマーボーでも餃子でも卵焼きでも何でも売ってる。お金で労力が減らせるんやったらそれでもええと思うけどな」
「そうなんや」
「でもな。自分で材料を買って自分で料理するのは一つリスクの分散でもあると思う。子供を育てるうえで一番避けなあかんのは偏りやと思う。いろんなものを子供が食べやすいように考えなあかんしでもそれも楽しみの一つやろ。こだわりは必要やしあってもいいと思うけど偏りだけは気をつけなあかんと思うで」
「シン。私もそれは思う。だから毎日鮭弁当ってことは無いからね。ハンバーグ弁当もたまに出してあげるからね」笑
「それはありがたいな」
「シン。毎日鮭弁当やで! たまにハンバーグ弁当やで! それでもええの?」
「コハルがそう決めたんやったら俺はそれを食べるだけやで。コハルの愛情がこもってるって思ってな」
「シンはほんまに極端やな。でも私の判断を尊重しようとしてるのはわかる。でもなあからさまなことしてる時はちゃんと叱ってほしいねんで。私かって色々と間違うこともあるし気が付かんこともあるんやから」
「そうか。じゃあ俺も気が付いたら言うわ。 コハルもうかれこれ一ヵ月位鮭弁当やけどそろそろハンバーグ弁当も出してくれやって」笑
「シンはもうほんまに! でもシン。それだけ愛されてるって私わかるねん。シンは私の事全部受け入れてくれてるってわかってるねん。だからなたまには甘えるけどシンが疑問に思うようなことはしいひんからね」
「コハル、俺の気持ちわかってくれてるやん。無茶苦茶うれしいよ。ありがとうな。
でも弁当の話からなかなか俺らの深い所の話になってしもうたな」笑
「シンが思うのは私への労りであり愛情や。それくらいわかってる。だから今日みたいに甘えることもあるし。でも出来るだけちゃんと作りたいと思ってるよ、愛する旦那様のために」
「コハル。ありがとう。うれしいよ」
「シンここではチュー出来へんな」
「そうやな。別にええけど誰が見てるかわからへんしな」「うん」
「さあお家に着いたで。詩。お手々洗って、ご飯食べよう」「うん」
コハルがお弁当をチンしてくれた。僕用にレトルトのお味噌汁も作ってくれた。
「さあいただきます」「いただきます」「いたらきます」
「詩もちゃんと言えるようになってえらいぞ」「うん。僕えらい」
「うん。そうやな」笑
今日と明日の夜はコハルと愛し合うイメージを作っておく。
どうしたらコハルは悦んでくれるのだろう。そんなことばっかり考えている。
「シン。なんかエロい顔になってるで」
「うん。またあさってから入院やからな。コハルをどうやって楽しませようか考えてるんや」
「シン。夜が待ち遠しいわ」「うん。夜まで待たんと仕方がない。コハル。俺ギター練習するわ」
「うん」
「シンはもうクロマチックはそこそこできるようになってるから次はアルペジオかな。コードを弾いてそのあと余裕があったらアルペジオやったらええと思うよ」
「うん。最初はなんかよくわからんかったけどコハルに教えてもらってなんとなくわかってきたんや」
お昼ごはんを食べた後部屋に戻った。
「ちょっと一回もう一つを弾いてみるわ」「うん」
ちゃんちゃらんちゃんちゃらんちゃらんらんらんら ちゃらららちゃらら。
「ゆうべねむれずに ないていたんだろう」 ぽろろん。「かれからのでんわ まちつづけて」 ちゃららん・・・。
「シン。なんとなく様になってきてるやん。後はリズムやな。リズムをちゃんと合わせて弾く練習したら駅前デビューもすぐそこやで」
「コハル。俺はそれは嫌やねん。恥ずかしい」
「シン。私かってそこを乗り越えてきたんやから。絶対にやった方がええよ」
「そうなんか。じゃあ二人でしようや」「ええで」「ほんまに?」
「うん。シンが出来そうやったら付き合うよ」
「ありがとう。俺気が小さいから人前が苦手やねん」
「シン。そんなん慣れやで。私も場数踏んで人前でそれなりに演奏できるようになったんやから」
「そうなんや。コハル先生。ギターもエッチなことも教えてくださいね」
「シン。エッチなことは余計や」笑 「それは二人で作っていくものやで」
「そうやな。二人で考えて二人で楽しんで二人で気持ちよくなって二人で幸せに生きていきましょう」
「そうやでシン。二人でやで」「うん。コハル愛してるよ」「うちも愛してる」チュッ。
「詩もチューして」「はい。とうさんが左からでママが右からで挟み撃ちチューや」
「キャーァ」ぶちゅー。「とーしゃん、ママ、コチョバイ。コチョバイー」
「詩おもしろいなぁ」「とーしゃん好き」「うん」「ママも好き」「うん」
「幸せやなコハル」「うん」
夕食の時お父さんが聞いた。 「シンさん明後日から入院やね」
「実は今入院中の外泊でここにいてるんですよ」
「そうなんや。もう入院してるんや。今度はどれくらいなんかな」
「三週間くらいやと思うんですけど」
「そうか。明後日は用事があって送ってあげられへんのが申し訳ないところや」
「お父さんそんなん大丈夫ですよ。バスもタクシーもありますから」
「うん。でもまた無事に聞こえるようになったらええね」
「はい。大丈夫でしょう。でも聞こえていた時よりは聴力は落ちるけど今よりは確実に良くなりますから」
「そうやね。お医者さんってすごいなと思うな」「そうですね」
「今度の先生は女性のお医者さんなんやてね」「はい」
「前の先生の治療は痛くないときがなかったくらい痛いという印象でしたけど
今度の先生は痛いって言ったらすぐにやめてくれるんですよ」
「そうなんや。じゃあ前の先生の痛みをこらえての治療は堪える意味がなかったってことになるね」
「そうなんですよね。やはり女性ならではの優しさがあると思います」
「シンよかったな。優しい先生で」
「うん。もう痛いのは嫌やねん。なんぼ我慢せいと言われても耳の中はまた別やと思いますわ。
腕とか足の痛みなら少々我慢できるけど耳の中はもう体が震えます。
これって人によって違うんでしょうかね」
「いやぁ。多分誰でも耳の中は痛いと思うよ。でもそのあたりは先生次第なんやろね。その先生は耳を触っても痛くないのかもしれんし」
「それは最悪ですやん。自分が痛くないからってことでしょう。
最悪やわ。前の先生はそうやったんでしょうかね。
今度もしあったらボールペンでも突き刺してみてやりたいですわ」
「シンさんそれは怖いわ」「そうですね。言いすぎました」
「シンさん。ゆっくり入院生活を楽しんでくださいね」
「お母さんありがとうございます」
「お父さん、お母さん、コハルと詩の事よろしくお願いします」
「うん。決して無理はさせないから安心して」「はい。ありがとうございます」
食事も終わり部屋に帰った。詩も眠った。そろそろコハルが動き出す。
「シン。どんな感じ?」「うん。コハルに触られて気持ちがいいで」
「うん。シン、私のも触らんとあかんやん」「うん」
「シンまたしばらく出来へんな」「うん」
「仕方がないな。シン。食べたい」「うん」
コハルは下の方に下がるとほおずりし始めた。「シン。もう大きくなってる」
「うん」
「またしばらく会われへんけどいい子にするんやで」
そういいながら口で愛してくれた。
「コハル。俺もコハルが欲しい」「シン。かわいがってくれるの」
「うん。いっぱいかわいがりたい」
「うん。コハルかわいいな」
じゅるっ。「あんっ。シン」じゅりゅじゅりゅじゅりゅう。
「はあぁぁぁん。シン。なんかすごいよ」「うん。行けそう?」
「ずっとされたら行っちゃうよ」
「じゃあ行っちゃえ」
じゅりゅじゅりゅじゅりゅりゅりゅじゅじゅりゅりゅじゅうう。
「シンあかん。行くっ。んぐっぅぅぅっ」プルプルプル。ガクガクガクガク。
「ううん。ああん」
「コハル行ったな」「うん。行っちゃった。シン気持ちいい」
じゅりゅじゅりゅりゅじゅりゅじゅ。「あーいっくうっ。んんんっ」
「コハル」ビクンビクン。
「早いな」「シン。すごすぎる。何回も行ってしまう」「また行っちゃえ」
「シンダメ待って、ああん。あんっ」
じゅりゅじゅりゅじゅりゅりゅりゅじゅりゅっ。
プルプルプルプル。がくがくがくっ。
「んんっ。はぁぁぁぁっ。シン。ちょっと待ってね。ちょっとだけ待ってああん。
あん、シン」じゅりゅりゅりゅじゅりゅじゅりゅっ。
「イグっ。んぐっんんっ。ああっ。シン。もう。待って。ほんとに待って。
今日は感じすぎてるの」「そうか。うれしいやん」
「シン。あん」「コハルちゃんの口がおろそかになってるで」
「シン。それどころやないの。私のあそこが大変なの」「大丈夫や」
「シン。ああっ」
シンが入院中発情せえへんようにするつもりが、私が発情しなくなるくらい行かされてしまった。
もう当分いいわっていうくらい。
シンも寝るとき、夜中と二回抜いた後、明け方に目を覚ましたので三回目にチャレンジした。
三回目は時間がかかったがちゃんと出るもんやな。
コハルは大満足やでシン。
朝シンの顔が眠そうやった。私はちょっとクマが出来ていた。
シンがクマの出来た私の顔を見てニヤニヤしてる。
「奥さん、昨夜はだいぶハッスルしはったみたいでんな」
「シン。言い方がいやらしいわ。誰のせいやと思ってるん?」笑
「私でございます」
「そうやで、シンがもっともっというから私も頑張ったんやから」
「その通りでございます、ありがとうございます」
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