閑話 短期修行の始まり
時は少しだけ遡る。
「短期修行?」
目の前にはキャップとリーさんがジャージに竹刀という一昔前の体育会系教師の格好をしている。
「あぁ、依頼の中には何かと戦うこともある。戦闘には慣れていた方がいい。」
「だから、アタシたちが鍛えてあ・げ・る♡」
「どうしようクロ、凄い逃げたい。」
「オイラも逃げたい。」
この日から地獄の修行が始まった。
まず教えられたのは妖怪のランクについてだった。
「いいか、妖怪には国が指定したランクが存在する。」
キャップはボードを取り出す。
それには
「黒智が下で、紫徳が上だ。色で覚えるのが一番楽だぞ。」
「へ〜、牛鬼って何色なんすか?」
「牛鬼はサイズよるが、基本的には青だな。」
「因みに、ヒビキちゃんもこのランクよ。」
六段階か。
じゃあ俺のランクは…黒か白?
「正解、cat boyのランクは白よ。」
「オイラはどこなんだ?」
「同じ白だな。」
「じゃあ、二人とフブキ、セツは?」
「アタシは黄で、フブキは赤、ヤマトとセツはどっちも紫ね。」
どうやらここには最強格が二人もいるようだ。
そして、俺のことを最低でも赤になるまで鍛えるとのこと。
「ランクについてはこれくらいでいいだろ。次はこれについてだ。」
ヤマトは指をパチンと鳴らすと、手元に団扇が現れた。
「これは天狗の羽団扇…札付きだ。」
「札付き?」
「簡単に言えば、危険な代物ってこと。」
リーさん曰く、札付きとは妖怪などが使っていた武器や道具のことを指すらしい。
これらの物には妖力や呪いが染み込み、特殊な効果がつくらしい。
だが人が使うにはあまりにも危険すぎる。
だから一時的に力を抑える札や封印をどこかに施す。
そのため札の付いている武器、札付きと呼ばれるようになったらしい。
中には人工的に作られた札付きもあるらしいが、作り方はわからないとのこと。
「リーガルはこれの使い手だし、物理での戦闘は百鬼内最強だ。」
「えぇ、この覚の力も札付きのおかげなの。」
リーさんはコンタクトを取りながらそう言う。
あのコンタクトが札付きなのか。
「座学はこれ位でいいわね、じゃあこれからはずっと実践訓練よ。」
「「へ?」」
次の瞬間、瞬きをする間もなく後ろにぶっ飛ばされた。
急なことで対応に遅れたが、壁に激突した後にすぐ憑依をして迎撃態勢をとる。
「何すんだよ!」
「戦闘はスポーツじゃない、よーいドンで始まる訳ないでしょ。」
リーさんはコンタクトを目に入れ、何か呟くと木刀がどこからか飛んできた。
「さぁ、死ぬんじゃないよcat boy!」
「まずっ!クロ!」
『おう!』
数分後、俺とクロはボコボコにされ意識を落とした。
「リー、どうだった?」
「センスは悪くないわね〜、でも妖術の扱いはダメね。イレギュラー体質だからかもしれないけど、タイミングが合ってないのよ。」
「妖力の制御はクロがやってるらしいからな。」
「そっちは教えられないし、頼んだわよ。」
「あぁ。」
「「ふっふっふっふっふっふ…」」
その日、とある女子高生は黒い笑みを浮かべるオカマと男を見かけたと言う。
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