第13話 ずっと




『ずっとさ。和音君。自分を責めてたよ。魔法使いに早く師匠の庭の竹を無限に生えさせればよかったって。早く過去に連れて行ってもらえばよかったって。そうしたら、殺害を依頼されることなんてなかったって』


 つらつらと神谷は話した。

 毒を使って笙斗を殺害しようとした、かつての竜殺しも依頼主も逮捕されたこと。

 貴重で高価な竹を食べ続けている笙斗への風当たりが強いとのこと。

 保護生物という特別枠から竜を外した方がいいのではないかとの声が出始めたこと。


『和音君もすんごい責められてるからねー。笙斗が見てないところで。まあ。だから。おまえの竜の守り人を外れるのが、正解だったのかも。師匠さん、怖いし。おまえももう好き勝手できないよ』


(けっけっけっ。もうどーでもいいし。結局俺たちは、とうもろこし石を食べて、竜の玉を作ってろって言いたいんだろ!)


 送る準備をするから待っていて。

 神谷にそう言われた笙斗は診察室兼治療室でおとなしく待っていた。

 本当は、このままこの国から出ようと思った。

 竜に戻れば、簡単にこんな国から出られる。

 思ったが、実行には移さなかった。

 笙斗の頭に刻まれた、和音の情けない顔。

 他国に行ったところで意味がない。

 あの顔と常にいなければならないなんて、耐えられないのだ。


「けっけっけっ!まったく!未熟者!」


 笙斗は歯を剥き出しにして、いーっと言った。











(2023.12.11)



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