第9話 かつて
『国の保護生物だからって調子に乗るなよ』
竹を食べられてはらわたが煮えくり返った人間が、今は職業として禁止されているので、かつての竜殺しを雇って、笙斗の殺害を依頼。
かつての竜殺しは毒を使って、笙斗を殺そうとした。
竜にしか効かず、かつ、死体解剖しても見つからない毒だ。
まだまだ未知の部分が多い竜である。しかも、笙斗は他の竜と違い、とうもろこし石ではなく竹を食べていたので、その竹が身体に合わなかったのだろうと、死因が判断されると考えていた。
自分は保護生物なので危害を加えられることもないと、油断していたところも大いにあった。
笙斗は竹に手を伸ばしたその刹那、かつての竜殺しの毒を鼻に受けて、身体をよろめかせて、そして、その場に倒れこんでしまった。
遠方から銃撃した竜殺しは、笙斗に止めを刺すために近づきはしなかった。
毒が全身に回るまでまだ少しあったが、いち早くその場を後にした。
手負いの獣ほど恐ろしい存在はない。
死んでいるか確認するために留まっていれば、笙斗に気取られ一気に距離を縮められいつの間にか殺されていた、という可能性もあるので、早く笙斗から離れたかったのだ。
使用した毒は必ず笙斗を殺すという自負もあったが、万が一も考えた竜殺しは、さっさと依頼主から金を受け取り、さっさと他国へ行って豪遊しようと思ったのであった。
(2023.12.10)
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