第7話 いいや
魔法使いに頼んで、師匠の庭に無限に竹を生えさせてもらうか、竹があちらこちらに生えていた過去に連れて行ってもらおう。
嬉々としてそう提案した和音に対し、笙斗は言ったのだ。
もう竹を食べなくていいや。
和音は目を見開いた。
「え?どうして?お金の心配してるの?」
「急に食べる気がなくなった」
「え?」
和音は戸惑った。
さっきまであんなにもりもり食べていたのに。
本当に食べる気がなくなったのか。
お金の心配をしているのか。
今だけか。
少ししたらやっぱり食べたくなったと言うのだろうか。
膝を曲げて視線を笙斗に近づけて、注意深く見ても、悲しんでいるでも不安がっているでも怒っているでもなく、いつもと変わらないような。
(う~~~ん~~~。わからない)
「え~と。じゃあ、とうもろこし石を食べる?」
「ヤダ」
「今はお腹いっぱいで食べられないか」
「いくら腹が減っててもとうもろこし石だけはぜってー食わねえし」
「え~。何でそんなに嫌なの?」
「俺の(竜の)育て人なんだろ。そんぐらいわかれよな」
瞬間冷凍するぐらいに冷たい視線を笙斗から向けられた和音は、全くもってその通りですとうなだれてしまったのであった。
(2023.12.9)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます