悪役王子、強力な魔物を従える

―――――


 エスメラルダ・ディア・ヴェフェルド レベル155


 物理攻撃力:15978

 物理防御力:14091

 魔法攻撃力:16920

 魔法防御力:13921

 俊敏性  :15612


【 使用可能なエクストラスキル一覧 】


意識操作(小)

身体操作(小)

重力魔法 使用可 


――――――


「クックック……。だいぶ強くなったようだな」


 エルフリア森林地帯。その奥地にて。

 俺は大樹にもたれかかりながら、自身のステータスを確認してはにんまり笑っていた。


 ここまで強くなれれば、直近のイベントはなんとかこなすことができるだろう。


 きっと今なら、あのザレックスにさえ余裕で勝てる。


 ――――が。


「いててて……!」


 廃ゲーマーが祟ってか、ちょっとやりすぎてしまったらしい。


 いきなり重力を五十倍にして、片っ端からゴールデンアイアントを倒しまくっていったんだもんな。


 どんどんレベルが上がっていくのが心地よすぎて、身体への負担を無視しすぎた。

 身体の節々がめっちゃ痛くて、これじゃまともに動くことができん。


「くそ……どうするか……」


 エルフたちに大量生産させていたラストエリクサーでも飲むか。

 これからストーリーがめちゃくちゃ動きまくる手前、あまり貴重なアイテムを浪費したくないんだが……。


 駄目だ。

 ラストエリクサーなんか飲まなくても、良いおっぱいを見れば一発で元気になる。

 そんな気がするのに。


「いや。待てよ」


 そこで名案を思い付いた俺は、空を飛んでいるモンスターに目を向ける。


 新緑鳥コカトリス――。

 “鶏の頭”に“龍の翼”を持つ、ファンタジーゲームあるあるのモンスターがそこにいた。物理防御力と敏捷度が非常に高いので、敵にまわすと少々厄介な敵ではあるが――。


 新スキルの《意識操作》を用いれば、あいつの背中に乗って帰れるんじゃなかろうか。


 ここでラストエリクサーを使うのはもったいないし、ちょっと試してみよう。


「ええい、邪魔だ死ね」


 だがそのコカトリスは、森林をうろついているワイバーンに追いかけられている最中だった。あいつらは体表がチクチクしているから、コカトリスのように背に乗ることはできない。


「そらよっと」

「ギャアアアアアアア!」


邪魔なので、適当な放った炎魔法でぶっ倒しておく。


「ギャ…………?」


 呆気に取られたようにこっちを見ているコカトリス。

 クックック……そうだ。いい子だ。そのままここを離れるんじゃないぞ。


「スキル発動……《意識操作》。俺を乗せてエルフ王国へ連れていけ」


「ヤオオオオオオン……!♡」


 コカトリスは甲高い雄叫びをあげると、俺の目前まで急降下してきた。

 そして猛々しい翼を引っ込めると、うやうやしく身を屈めてくるではないか。


「クックック……。うまくいったようだな」


 追いかけ回されていたモンスターを使役し、疲労の癒えぬままにこき使う。

 まさにこれこそ、俺の憧れる理想の悪役像である。


「やべぇ、すごくモフモフだな……」


 コカトリスの背に乗った俺は、そのモフモフの身体を堪能する。

 ミルアやローフェミアのおっぱいもすごく柔らかかったが、この柔らかさも別の意味でいいよな。


「よし、それじゃあ目指すはエルフ王国だ。よろしく頼めるか」


「ヤオオオオオオン……!」


 コカトリスは再度大きな雄叫びをあげると、その卓越した敏捷度にものを言わせ、ものの数分で俺を目的地まで運んでくれるのだった。


★  ★  ★


「エ、エスメラルダ陛下!」


 エルフ王国。そのエルフリア森林地帯付近にて。

 コカトリスに乗ってきた俺を、剣帝ミルア・レーニスが出迎えてくれた。なんだかよくわからないが、嫌な予感がしたので今から森に入るところだったらしい。


「助かった……。ミルア、栄養をくれ」


「へ、栄養……? わかりました!」

 コカトリスから降りた俺に対し、ものわかりの良いミルアが咄嗟に乳を突き出す。

「――大丈夫? おっぱい揉む?」


 むにゅ。


「よっしゃああああ元気でたぁぁあああああ!」


 その柔らかさを堪能した俺は、先ほどまでの疲れが一気に消し飛んでいくのを感じた。

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