嫌われ者の悪役王子に転生した俺、今生こそ好き勝手に生きようと思ったら、無自覚に聖人ムーブをしていた件 〜悪の王国を作ろうとしているのに、なぜか皆に尊敬されてるんだが〜
【急募】おっぱい触れと二人に迫られた時の対処法
【急募】おっぱい触れと二人に迫られた時の対処法
さて。
兵士たちに悪戯をかけ終わった俺たちは、このままエルフの王国に向かうことにした。
ユリシア王女に目をつけられることをした以上、考えなしに王城へ帰るのはリスクが大きい。第五王子なんて仕事らしい仕事もしていなかったので、少しくらい姿をくらましても問題ないだろう。
エスメラルダの“嫌われ者”だという設定が、いい感じに活かせていると思う。
ちなみにエルフ王国のある場所だが、ゲームの設定では、たしかまんま世界の中心に位置していたと思う。世界の真ん中には大きな大樹があって、そのまわりには未踏の森林があって、そこでエルフが暮らしている……。
まあ、前世のゲームじゃよくある設定だったんだよな。
ここ王都ヴェフェルドからは相当離れているので、普通に向かっていくのでは時間がかかりすぎてしまう。ではどうすればいいかというと――。
「そらっ‼」
王都ヴェフェルド。その地下水路にて。
目の前にいる雑魚モンスター――ゴブリンナイトを剣の一太刀で片づけると、俺は息をつきながら周囲を見渡す。
何度もゲームプレイしてきた時の記憶と同じだ。
人がギリギリすれ違えるかくらいの狭い通路が、視界の奥まで延々と続いている。ゲーム時はチュートリアル的に訪れる場所だったので、リポップするモンスターはそこまで強くないけどな。
そしてこの地下通路の一角にて、エルフの王国へと繋がるワープポイントがある。
ゲーム廃人だった俺は、これを当然のことのように覚えていた。
「この先に行けば無事に着くはずだ。ついてこい、二人とも」
そうして歩き出す背後の二人――剣帝ミルアと王女ローフェミアが、ぽかんと口を開けて見つめていた。
「なんでエスメラルダ様、この道筋がわかるんでしょうか……」
「ふふ、だから言っただろう。エルフの知能もずば抜けているようだが、エスメラルダ王子殿下の知能はそれをはるかに凌駕している! つまりはそれこそが神の証であり最強の証でもあり私があのお方についていくと決めた理由の一つでもある本当はもっと話したいこと沢山あるけどでもこれ以上話すと私の血がぶほほほほほっ‼」
……ブツブツ呟きながら鼻血を出し、またその場から崩れ落ちるミルア。
さっきから大量出血がひどいんだが、あいつはこのまま生きて帰れるのだろうか。
そして納得いかない点は、さらにもう一つあった。
「ローフェミア。おまえが人界に降りてきた目的は、たしかエルフ誘拐の真相を突き止めるため……だったよな?」
「え? あ、はい。えへへ……」
俺に話しかけられただけで顔を真っ赤にするローフェミア。
ゲームやアニメキャラよろしく巨乳の露出部分がめちゃめちゃ広いので、どうにもそこに視線を向けていきそうになるが――。
しかしそこだけを見ていては小物の悪役なので、極力、目を見て会話するようにする。
「……そんなに大事な役目があるんだったら、帰り道を忘れてちゃ意味ないだろ。びっくりしたぞマジで」
そう。これはつい数分前の話だ。
「よし、じゃあさっそくエルフ王国へ行くか。ローフェミア、案内してくれないか?」
「…………」
「ん? どうした」
「ごめんなさい、帰り道忘れちゃって……」
「………………は?」
このとき味わった衝撃を、俺は忘れもしない。
だってこいつ、俺に出会わなかったら帰れなかったってことだぞ。こんな間抜けな話があってたまるか。
「でも、やっぱりエスメラルダ様に出会えてよかったです! 私を助けてくれただけじゃなくて、頭もいいなんて……。かっこよすぎて卒倒しそうです」
「おいローフェミア王女、抜け駆けは良くないな」
俺と腕を絡ませようとしたローフェミアの肩を、立ち直ったミルアが力強く掴み上げる。
「さっきは黙って見過ごしていたが、そこは私のポジションだ。そう、エスメラルダ殿下の魅力に気づいたのは私なのだからなッ‼」
「――――あらなにをおっしゃるの? おっぱいは私のほうが大きいですし、なにせ私は王女。剣帝ごときの出る幕はありませんわ? それとも私を刺す気?」
「ば、馬鹿を言うな! おっぱいは私のほうがでかいぞ! それは疑いようもない事実だ!」
「あらあら♡ こうなったらもう、エスメラルダ様に確かめてもらったほうが一番早いんじゃないかしらねぇ」
「…………」
片や、急に早口になって勝手に倒れている剣帝ミルア・レーニス。
片や、ヤンデレ属性で妙に好戦的な王女ローフェミア・ミュ・アウストリア。
それぞれ地位や肩書きはめちゃくちゃ立派なのに、とんでもないパーティーが形成されていた。
まあ、仲悪いわけじゃないと思うんだが……たぶん。
「「エスメラルダ様、どっちが大きいか確かめてください!」」
二人でそう言いながら、胸を強調してくる美少女二人に。
「ふっ」
俺はなんか意味深な笑みを浮かべると、ポケットに手を突っ込み、くるりと身を翻してみせた。
「心配するな。おまえたち二人は、俺にとってかけがえのない家族だ。争う必要などない」
やっべ。
本当はめっちゃ触りたいんだが、非モテをこじらせると、こういう時勇気を出すことができない。
だからかっこつけてこんなふうに言ってみたんだが、
「すごい……やっぱり王子殿下はかっこいい私たちの浅ましい考えを否定することもなくしっかりと受け入れてくださりそして私たちの美しさを認めてくれているやっぱり私はこの方に一生ついていきたいいやん私のえっち」
「エスメラルダ様……。あなたがおっしゃるように、喧嘩しても良いことはないですわ。今後はミルアさん含め、あなたの身の回りの人とも仲良くなるように致します……!」
……うん、やっぱり二人の調子はまったく変わっていなかった。
そしてこのときの俺は気づいていなかったのだ。
真のハーレム王国を築いたあとは、この程度では終わらないということに――。
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