迷子になって、泣いてる女の子を発見したら

たってぃ/増森海晶

迷子になって、泣いてる女の子を発見したら

――迷子になって、泣いてる女の子を発見した。


 幼稚園に通っていた頃の私だったら、この子の隣で、一緒に泣いていたのだろう。

 小学生の私だったら、女の子の手を引いて、交番へ連れて行ってあげたのだろう。

 中学生になった私だったら、女の子の家まで連れて行ってあげて、高校生の私だったら、家まで連れて行ってから「親としての自覚はないのか」と、女の子の両親を説教していた。

 大学生の私だったら、女の子が喜びそうなお店に連れて行き、社会人になった私だったら、人目ひとめの触れないどこかに閉じ込める。

 結婚していた私だったら、妻や家族を説得し、我が子として育てることにして、離婚した当時の私だったら、女の子を押し倒し、自分の妻にしていたのかもしれない。


「うえーん」


 老いた私は返り討ちにあって、護身用のスプレーで両目を潰された。


――あぁ、私はどこかで間違えた。


 人生の迷子になった私は、警察が発見してくれるのを待つしかなかった。


【了】

 

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迷子になって、泣いてる女の子を発見したら たってぃ/増森海晶 @taxtutexi

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