第19話
「……これ、10000ゴールドくらいあるか?」
「ええ、そうよ。あたしたち三人からの報酬よ」
「はい。……正直言って、レンさんの支援魔法にかなり助けられていましたからね」
「そうだね。僕はその感覚の変化も確かめたくて、今日は一人で迷宮に入ってみようと思っていたくらいだしね」
微笑を浮かべる三人に、俺は小さく頭を下げた。
「……ありがとな。大事に使わせてもらうよ」
俺が大事に握りしめると、三人も笑ってくれた。
……この世界に来てから、真っ先に出会えたのがこの人たちで良かったな。
「さて、それじゃああまり長話をしてせっかくの休日を無駄にしても仕方ないね。僕は先に外に出るよ」
「それじゃああたしたちも行くわね。迷子にならないように気をつけなさいよ」
「迷子になったときは騎士の方や教会の人に道を聞くといいですよー。それでは、良い休日を」
俺たちは宿の外に出たところで別れた。
……さて、ここからは貴重な自由行動だな。
俺の今日やりたいことは、今の俺が一人でどれだけ戦えるかというものだ。
……皆と一緒だと、絶対に無理だからな。
俺は自分のスキルを確認する。
……今の支援魔法使いとしてのセットでは、もちろん戦闘は厳しいだろう。
今日の戦闘が終わればこのステータスに戻すつもりだが、ひとまず自力で戦えるように調整する。
支援魔法系のスキルの中でソロの戦闘で使わないものはすべて取ってしまおう。
ただ、盗賊系のスキルはそのままにしておく。【隠密】は何をするにしても優秀だからな。
ひとまずは、支援魔法で強化するとして、確実に外せるスキルを選択していこう。
【魔法力強化】、【器用強化】、【精神強化】、【精神弱化】、【運強化】、【筋力弱化】、【ドロップアップ】、【武器強化】くらいだろうか? これで64ポイントだ。
あと、運と精神も使わないと考えれば、79ポイントまで……きりが悪いので、筋力も1削って80ポイント確保。
一応、魔法での戦闘を考えているから【魔法力強化】はそのままにしてもよい気もするが……そこはスキルの火力が足りないときにまた考えよう。
支援魔法の中に、いくつか興味深いスキルがあったんだよな。
その一つが、【ウィークメーカー】だ。
これは、弱点属性を相手に付与することができるスキルで、恐らく【エンチャント】と合わせて使うのだろう。
【ウィークメーカー】は、【ウィークメーカー・火】といった感じで各属性があるのだが、それと魔法攻撃スキルを合わせれば、それなりの攻撃ができるのではないだろうか?
……【ウィンドショット】を使用したときは、確かスキルで盛ってはいたが、それでもあの当時でゴブリンを倒せるくらいの火力があったよな?
今の俺がどの程度の威力が出せるか分からないが、今のバフデバフを織り交ぜた状態なら、それなりに火力が出るかもしれないよな。
【ウィンドショット】、【ウィークメーカー・風】、【魔法力アップ】を取得し、残りのポイントを速度と魔法力に割り振る。
速度は58、魔法力は20。……まあ、万が一の場合に敵から逃げられるようにしておきたいからな。
支援魔法含め、【隠密】や【感知力アップ】で敵に先制されるようなことはないだろうし……大丈夫だろう。
準備が終わったところで、俺は近くのGランク迷宮へと向かう。
もちろん、イルンが向かったのとは別の迷宮だ。
Gランク迷宮へと入る。
……内部は遺跡のようになっている。迷宮によって中の構造は違うと聞いていたが、ここもCランク迷宮と同じ造りか。
【感知力アップ】に頼って歩いていくと、すぐにゴブリンを見つけることができた。
通路の陰から様子を伺う。
レベルは5か。この世界で最初に戦った魔物と変わらないな。
……これなら、問題なく勝てるだろう。
もちろん、油断はしない。すべてのバフ魔法とデバフ魔法を使い、新しく取得した【ウィークメーカー・風】を使用する。
【鑑定眼】を使うと、すべてかかっているのが分かる。相当のデバフ状態だというのに、ゴブリンは俺に気づいている様子はない。このくらいのランクの魔物だと、デバフなどを受けても気づかないのかもな。あるいは、【隠密】の恩恵もあるのかもしれない。
【隠密】は非常に便利だ。これを取得してから、俺が戦闘中で狙われることもなくなったし。
さて、準備万端なので……【ウィンドショット】を放つ。
放たれた風の矢は……かなりの速度をもってゴブリンを射抜いた。
一撃だった。……余裕、そうだな。Gランク迷宮なら、このスキルセットで問題なさそうだ。
次はわざとゴブリンに気づかれて逃走してみたが……速度に関しても問題ない。
……もう少し上のランクの迷宮に行ってみようか。
幸い、この街の近くには色々な迷宮があるからな。
F、E、Dランク迷宮と行ってみたが、Eランク迷宮までならなんとかなりそうだった。
Dランク迷宮となると、一撃で倒せないのとそもそも速度が足りないので万が一のときが怖い。
必死に逃げながらステータスを速度にすべて割り振ったが、安全にソロで狩りをするならEランク迷宮だ。
ソロだと他のパーティーから目立つはずだが、【隠密】もあって誰かに気づかれることはない。
自ら、気づかれるように行動しない限り、誰にも気づかれずひっそりと狩りができる。
……ただ、レベル上げの効率はあまりよくないな。
結局、一日かけて迷宮に潜ったが、レベルは20までしか上がらなかった。
狩りを開始してすぐにレベル19に上がったので、恐らくソロで稼いだ分としては1レベル分くらいか?
やはりレヴィートたちに寄生させてもらったほうが効率いいな。……文句を言われるまではお世話にならせてもらおう。
入手した素材の換金をギルドでしたところ、3000ゴールドほどだった。
まあ、これに関しては【ドロップアップ】をつけていなかったので、かなり下ぶれてしまったんだと思う。運の数値も0だしな。
獲得したボーナスポイントは26ポイントだったが、ひとまずステータスを支援魔法使い状態のに戻す。
これで、現在のポイントは26ポイント使える。
ただ、【ウィークメーカー】は強かったので、【ウィークメーカー・火】に変更する。ミリナは火属性の魔法を覚えていっているみたいだからな。
あとは、味方の装備品に特定の属性を付与できる【エンチャント】だな。
今回は、【ウィークメーカー・火】に合わせ、【エンチャント・火】を取得する。
残りのポイントで、【弱点特効強化】を取得。これは弱点属性の攻撃の威力をあげるスキルのようで、今取得したものたちと相性抜群だ。
最後の2ポイントは【ドロップアップ】にでも振っておこう。
レン レベル20 筋力:7 体力:7 速度:15 魔法力:7 器用:0 精神:7 運:8
ボーナスポイント:0(合計304)
Sランク:【鑑定眼】、【ボーナスポイント獲得量アップ】、【魔力アップ】、【詠唱時間短縮】、【魔力自然回復量アップ】、【感知力アップ】、【筋力強化】、【体力強化】、【速度強化】、【速度弱化】【支援魔法強化アップ】、【偽装】、【魔法力強化】、【器用強化】、【精神強化】、【運強化】、【マナリジェネ】、【スタミナリジェネ】、【筋力弱化】、【並列魔法】、【隠密】、【体力弱化】、【精神弱化】、【武器強化】、【与ダメージ強化】、【スキル威力強化】、【支援魔法強化アップ+】、【ウィークメーカー・火】、【エンチャント・火】、【弱点特効強化】
Aランク:
Bランク:
Cランク:
Dランク:【アイテムボックス】、【短剣術】、【ドロップアップ】
Eランク:
Fランク:
Gランク:
ユニークスキル:【ボーナスポイント再割り振り】
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