第14話
「追放者レべルの支援魔法使いでもこれなんだぜ? さっさとランク上げて、そこでちゃんとした支援魔法使いを募集する。そのほうがいいと思ったんだよ」
支援魔法使いは、その希少性から高ランクパーティーに参加することが多いそうだ。
もちろん、最初の頃はレベル上げをするだろうが、それでも皆が囲っておくために多少レベルが低くても誘われることが多いらしい。
だから、レヴィートもそれと同じことがしたいのだろう。Bランク、あわよくばAランクまで上がり、そこで追放者ではない支援魔法使いを募集する、というわけだ。
要は、俺がレベル上げのために彼らを利用しているのと同じだ。
レヴィートは俺を利用し、多少ランクを盛る。ただそれだけだ。
「……あっそ。でも、無理そうなら逃げる準備はしておくわよ」
「ああ、それで構わないぜ。オレだって死にたくはねぇからな。ま、失敗したら追放者が無能だって話だ」
「だな。本職の支援魔法使いなら余裕ってことだもんな。分かってんな、追放者」
レヴィートとゴーグルが俺を睨みつけてくる。
一応頷いたが……俺の負担大きくない? とは思った。
「その場合は全員の能力が足りなかったって話でしょ。まあ、無茶しないならいいわ。さっさと挑戦だけして帰るわよ」
ミリナはあまり乗り気ではなさそうだったが、イルンの【ダンジョンワープ】で脱出できるから仕方なく付き合うようだ。
俺たちは十階層へと繋がる階段を下りていった。
冒険者のランク上げには二つの方法があるそうだ。
ギルドで受けられる依頼を一定数達成するか、目的のランクのボスモンスターの素材を持っていくことだ。
レヴィートは今回、後者のやり方でランクを上げる予定なんだろう。
この迷宮に出現するボスモンスターはエリートハイゴブリンだそうだ。エリートゴブリンをさらに強くしたような魔物で、複数のエリートゴブリンが出現してくるそうだ。
出現するエリートゴブリンを殲滅しながら、どれだけエリートハイゴブリンを狩れるか。
パーティー全体の火力が必要になってくる。
俺の意見としては、ゴーグルがどんだけ耐えられるかだな。
現状、ゴーグルは敵を引き付けているだけで、あまりディフェンダーとしての信頼感はない。
はっきり言って、いつ崩れてもおかしくない。
フィアが優秀な回復魔法使いで、治療が間に合ってるから何とかなっているが、正直言って結構大変そうだ。
休憩を挟んだところで、俺たちは十階層へと向かう。
これまでと同じような遺跡風の造りなのだが、十階層だけはコロシアムのような開けた空間となっていた。
視界は問題なさそうだ。
これだけ開けた空間なら、動きづらいということもないだろう。
すたすたとコロシアムの中央へと歩いていくと、眼前に霧が現れる。大きな霧が一つと見慣れたサイズの霧が六つ。
それらが魔物の姿を形成する前に、俺は全員にバフ魔法をかけ終えた。
……ここからは、皆のバフが切れないようにしながら、攻撃に合わせて相手にデバフをばらまいていくだけだ。
姿を現したエリートハイゴブリンは、ボスだからだろうか。俺たちとそう変わらない体格をしている。
エリートゴブリンは人間の子どもくらいだったんだけどな。
俺は敵全員にデバフをばらまき、彼らの動きを阻害していく。
出現した七体の魔物に、ゴーグルもスキルを放った。
「こっちに来やがれ!」
ゴーグルの【挑発】に反応し、エリートゴブリンとエリートハイゴブリンたちが近づいていく。
エリートゴブリンの一撃を受けたゴーグルがよろめく、そこへ畳みかけるようにエリートゴブリンたちが囲んでいく。
ただ……九階層までのエリートゴブリンよりも力が増しているようだ。
ゴーグルは九階層で戦っていたとき以上に体勢を崩されている。
「っ! このっ……舐めんなよっ!」
体勢を立て直そうと、後ろに下がる。
だが、ゴーグルは気づいていない。
背後から迫っていたエリートハイゴブリンに。
「おいゴーグル! 後ろにもいるぞ!?」
「え!?」
レヴィートが声を張り上げると、エリートゴブリンたちの僅かもそちらに向く。
……基本的に、ディフェンダーに完全に注意が引き付けられるまでは他の人たちはその場にいないように静かにしているものだ。
ゴーグルが慌てた様子で背後に振り返るが、そうすると正面にいたエリートゴブリンたちの餌食になる。
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