第2話
前世の俺はあまり、自由に動けるような人間じゃなかった。
だからか、今歩けているだけで……心躍る。
楽しい。ただ歩くだけでもここまで楽しいのか。
自然と森の散策も捗っていったのだが……そこで俺は一体の魔物を発見する。
……人型の魔物だ。どんな魔物か分からない。
醜悪な顔をしているそいつらは、三体いる。
……どのくらい強いのか分からない。
あっ、もしかしたら【鑑定眼】が使えるかもしれない。俺はステータスの数値を一時的に減らしSランクの【鑑定眼】に変え、魔物たちを見てみる。
じっと見ていると、その名前とレベルを確認できた。
ゴブリンというのか。レベルは3か……。
三体のゴブリンは周囲を警戒している様子だ。
……さて、勝てるかどうかだな。
俺は自分のステータスを確認し、筋力、体力の数値を2ずつ削って速度に割り振る。
これで速度は14だ。
……万が一の場合、即逃げるためだ。この数値でも足りないかもしれない。その場合は、他のステータスを削って分配しよう。
準備も終わったので……攻撃開始だ。
……緊張するな。
俺は【ウィンドショット】を準備するのだが、【詠唱時間短縮】の効果で一瞬で魔法の準備が完了する。
これは便利だな。魔法系スキルを使う場合、外せないスキルになりそうだ。
そして、放つ。俺の右手から生み出された風の矢は、凄まじい速度でゴブリンへと迫り、その体を貫通する。
重なるように二体がいたため、同時に射抜くことに成功する。
それで風の矢は止まることはなく、さらに進み、周囲の木をいくつか薙ぎ払って仕留めた。
……な、なんつー威力だ。これが、Sランク魔法の力なのか……。
「ぎああああ!」
残っていたゴブリンは悲鳴を上げて俺から逃げようとしたが、逃がさない。
もう一度【ウィンドショット】を放ち、仕留めた。
……ひとまず、問題はなさそうだな。
俺は小さく息を吐きながら、その場から離れる。
さっきの戦闘音はかなりのものだったので、長居していると他の魔物に見つかるだろうからな……。
その場を離れながらも、体の中からごっそりと消えた魔力について考える。
ちょっと、気分が悪いな……魔力が減った影響か?
……【ウィンドショット】がSランクだからか、消費魔力が大きいな。
今の俺だとそう連発できるものではないだろう。……魔力って、ステータスにはないのでスキルで強化するしかない?
だとしたら、【魔力自然回復量アップ】と【魔力アップ】は優先するべきスキルかもしれない。
そんなことを考えながら、落ち着ける場所についた俺はそこでレベルとボーナスポイントを確認する。
レベルは5に上がり、ボーナスポイントは40ポイントになっていた。合計で115ポイント……目を疑ってしまった。
こんなにボーナスポイントが手に入るんだな。
これなら、いくらでもスキルがとれるじゃないか……。
……と、とりあえず落ち着こう。ここからステータスにも割り振っていく必要があるからな。
周囲に魔物がいないことを確認してから、ボーナスポイントの割り振り方について、考えはじめた。
とりあえず、今Gランクにしてある二つはSランクまであげていいだろう。
これで合計14ポイント使ったので、残りは26ポイント。
まず……いくつかのスキルを探していると、索敵系のスキルがあることに気づいた。
これは二種類ある。魔法による【サーチ】と盗賊系スキルによる【感知力アップ】だ。
どちらも効果自体はそう変わらないようだが、俺は【感知力アップ】が欲しいと思った。あまり魔力に余裕があるわけではないからな。
【感知力アップ】は盗賊系スキルをとる必要があるので仕方なく、【短剣術】を獲得する。Dランク以上で【感知力アップ】が解放されたので、それをSランクまで強化する。これで合計12ポイント、残りは14ポイントだ。
【感知力アップ】のおかげか、周囲の状況がよくわかる。
あと、さっきの戦闘でも分かったが、【鑑定眼】はあって困るものじゃないよな。
これも、Sランクまであげよう。残り、6ポイント。
とりあえず、魔法系スキルがあれば十分戦えることは分かった。なので、魔法を強化するスキルを探していく。単純に使用できる属性を増やしていくか?
いくつか気になるスキルはあったが、ひとまずはこれか。
【魔力吸収】だ。これは与えたダメージのいくらかを魔力として回復できるスキルのようだ。これがあれば、魔法を連発する余裕が生まれるはずだ。
これを6ポイントで獲得し、一度終了。
ステータスも少し調整する。
レン レベル5 筋力:5 体力:7 速度:18 魔法力:10 器用:0 精神:0 運:0
ボーナスポイント:0(合計115)
Sランク:【鑑定眼】、【ボーナスポイント獲得量アップ】、【ウィンドショット】、【魔力アップ】、【詠唱時間短縮】、【魔力自然回復量アップ】、【魔法威力アップ】、【感知力アップ】
Aランク:
Bランク:【魔力吸収】
Cランク:
Dランク:【短剣術】
Eランク:
Fランク:
Gランク:
ユニークスキル:【ボーナスポイント再割り振り】
ステータスにも割り振りたかったが、今の魔法特化のステータスならこれでいいだろう。
少し体の重さは感じたが、それはもう慣れるしかない。
【感知力アップ】のおかげもあり、周囲の魔物たちの状況も手に取るように分かる。
これと、【鑑定眼】を合わせれば、先制攻撃されることはないはずだ。
ひとまずは……人がいる場所を探そうか。俺は前向きな気持ちとともに森の中を歩いて行った。
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