第6話聞いちゃいけないもの
3日後、俺は家に帰って舞い上がった。
実はあのあとエノレアがうちに来て今度一緒に遊ぶ約束をしたからだ。
スタークはベットに座って考えた。
女子と話したこともあまりないので遊ぶなんて言われても何をしようか迷う。
森にでも行こうか。
この近くの森なら何度も行っているから、エノレアを案内できる(ずっとお母さんに秘密で行っていると思っていたら普通にバレてた)。
いや、待て、そもそも森に行く理由はゴブリンを倒してスキルをゲットしたりレベルを上げるのが目的だ。
もし、森に行っている途中にモンスターに遭遇したら必然的にそのモンスターを倒さなければいけない。
モンスターを倒した時に出てくる、なんとも言い難いあの血しぶき、女子に見せて大丈夫だろうか。
もし、エノレアにかかったらどうしよう。
もしエノレアに嫌われたらまた気分が落ち込むし今度から遊ぶ友達がいなくなるぞ。森は一旦置いて、じゃあどこにすればいいんだろう?
「うーん?」
そもそもこの街の地図を見た時はすごく小さい街で遊ぶところはあまりない。
じゃあ本当にどこにすればいいのだろうか。
満足させられなかったら、この人と遊ぶのはやめようとか思われるかもしれない。
そもそも俺たちはまだ5歳だから遊べるところがあっても門前払いされるだろう。
街の中で行ける場所はない気がする。
じゃあ森に行くしかないか。
モンスターに遭遇しないことを祈るか。神様お願い〜。
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2日後、ついにこの日がやってきた。
前の日はよく眠れなかった。
この日になるまで本当に森でいいのか、何度も考えた。
しかし、近くに遊べるところもないのでやっぱり森にするしかなかった。
街の広場で待ち合わせしているので広場に行くと、キョロキョロしながら待っているエノレアがいた。
遅れてしまったが機嫌を悪くしていないだろうか。
よしスターク緊張している場合ではない、勇気を出すんだ。
「お待たせ、ごめんちょっと遅れちゃって、待った?」
「ううん、私もさっき来たところだから」
エノレアは横に首を振りながら言った。
「早速だけどどこに行くの?」
エノレアが聞いた。
「近くに行くところもないから、森に行こうとでも思うけどう思う?」
「えっ⁉︎」
エノレアはびっくりした。
そりゃそうだ。
もし人と出かけるときに、
「森に行こう(しかもモンスターがたくさん出てくる)」
なんて言われたらそんな反応になるわな、と言っても他に行くところもないから森にするしかないんだけどね。
だけど、エノレアの口から出た言葉は僕の想像していた言葉と真反対の言葉だった。
「そうだよね〜私も行くなら、森にしかないと思ったんだよね。」
「えっ、本当に森でいいのか?」
俺は思わず聞いてしまった。偏見だけど女子は森を嫌うと思っていたからだ。
だってモンスターもいるし虫もいるからだ。
普通にキショい見た目のモンスターと戦うのは嫌だろ。(ただの偏見だからね差別じゃないよ)
「うん?、なんでそんなことをを聞くの?森にしようって言ったのはスタークじゃん」
「いやそうだけど森に行くのに抵抗を感じないの?キショいモンスターもいるし。」
「いや別に?最初の方は抵抗を感じたかもしれないけど、今は別に何も感じないよ。」
ってことは何度か森に行ったことがあるっていうことか。
じゃあどんな目的で行くんだ?
俺はレベルアップしたいから行ってるけど(あんまレベルが上がっていないことは禁句)、エノレアは何をしに行っているんだろう?
うん、わからなかったら聞くそれだけだ‼︎
「なんでエノレアは森に行くんだ?」
「ごめん…それは、まだ言えないかも」
うそっ、これって聞いちゃいけないやつだった?
どうしよう。
ここで声の掛け方を失敗するとおそらく一生こういうふうに話すことはなくなる気がする。
よし、ここは何としてもかける言葉の正解を見つけないと。
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