第8話 運命力を感じましょう
ドブ攫いをしてステータスポイントを上げていたけれど、体に免疫がついてしまったのか殆ど上がらなくなってしまった。そんなうまい話は無いって事なんだろうと思う。
ドブ攫い後に汚れたままで過ごして居ると、高熱が出たり発疹出たり目が充血したり痰を吐いたら血が混じって居たり、血尿血便が出たりと浄化が無ければかなり危険なので真似してはいけない事だと思った。
ステータス上昇的に美味しいドブ攫いだけど、みんながしない理由は匂いだけではなさそうだ。
ステータスポイントが上がらなくなったのでドブ攫いはただの金稼ぎの手段だけになっている。
定期的に攫っているためか積もった泥が柔らかくて少し勢いよく水術を使うだけでサッと流れるようになってしまった。だから最初の頃は6日かかっていたものも今では3日で終わってしまう結構チョロい仕事になりつつある。
むしろ木の蓋を開けたり締めたりする事と、泥を川まで流しきるために往復する事に時間がかかっている。
全ての木の蓋を開けてから一気に流せば楽ではあるのだけど、それだど子供なんかがドブ川に落ちてしまうかもしれない。だからどうしても5つぐらいの蓋を開けて掃除したら次に進むという事を繰り返す必要がある。
金を稼ぐだけならば蚤の市とかで運命力を感じるものを探して、運命力が跳ね上がる場所で転売した方が稼げそうだと思っている。
けれどそんな事を5歳児がし始めたら色々狙われるだけなのでしないようにしている。
運命力を感じるものを見つけた場合は手に入るものならそれを空術の保管庫に置いておくようにしている。
しまっても運命力が上がったままなものもあれば、買うと運命力が激増するけれど保管庫に仕舞うと買う前より運命力が下がるものもある。
物で変わってしまう運命なんてたまたま手にした人が巻き込まれる事のような気がするので、保管庫に置いておくのは正しい事のように思っている。
最近運命力の件で気になる事が1つある。
それは役所の近くにある奴隷商だ。
奴隷商は孤児院から役所に行く場合に最短距離を通ると近くを通ってしまう。
その奴隷商の近くを通ると運命力が少し上がり、しかも日増しにそれが強くなっている。
これは行かなければいけない事なのかと思っているけれど、孤児が奴隷商に行ってすんなり奴隷が買えるとは思えない。
銀貨は200枚を超えているので、安い奴隷を買えるぐらいの金額には達している。けれどそんな奴隷でこんな跳ね上がり方をするだろうか?
奴隷商に侵入して運命力が跳ね上がる奴隷を逃がせという事なのだと思うけど、それは正しい事なのか?
何も知らずにある日突然奴隷商近くの運命力が激減したらそれはそれで気持ち悪い。それが悪人そうかそうで無いのかぐらいは調べた方が良いのでは?
でもこの世界では奴隷商というのは合法なものだ。勝手に侵入して良いものなのだろうか?
そんな感じの事をドブ攫いのために役所にいく度に奴隷商の側を通りかかるので、どうしても色々と考えてしまっていた。
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