第6話、居場所

気がついたら、え、ちょっと何処だろ?

なんか、空気からして違う場所。

木目調の壁が綺麗なカントリーハウス。


ここはリビングでしょうか。床には小さな絨毯が敷かれ、一人掛けの白いソファには黒いジャケットが掛かっています。


木枠で飾られた窓の外には小さいけど立派な木が見える?

慌ててシロさんを見れば、めっちゃ勝ち誇っています。


「うさぎは巣には帰れるからナ。今だと、俺んチとお前んチは無制限でトべる」

「シロさん、お金持ち?」

「いヤ。だけどうさぎは輸送に強いからナ。荷物無制限な茶色ほどじゃないが、このご時世、貿易や為替差益、旅行なんかをやればそれなリにな」


シロさん、凄い。

手荷物リュックサックの中で、踏ん反るシロさんは「凄い」かわいい一択だけど。


きらきらな「褒めて」オーラ全開なシロさんを、床にしゃがんでリュックサックから取り出して全力でもふります。


「お前、さっきから話が進まなイだろ!」

「うさぎさんを堪能します。もううさぎさんは食べません」

「やめ!!食べるなヨ!?」


耳を齧ると慌てるシロさん。食べません。

そのまま腕からシロさんは小さなおしゃれ服を残してすり抜けてしまいました。


そのままシロさんは「ジャンプ」したのかいなくなってしまいました。

とりあえず、服を畳みましょうか。それにしても素敵な服です。サイズもぴったり。


服を畳んでいると、目の前に影が落ちてきました。


「もう、いいから行くぞ」


少し疲れた、よく通るどこか甘い声。

シロさん、イケオジ。さらさらヘアー。


だけど、どっかで見たことある気がする?


「ん?なんだよ?いくぞ」


差し出された骨張った、長い指と少し硬そうな手のひらに魅入られて、私は手を伸ばしてしまった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る