第22話
しかしこの言動からして、やはりこいつはネトラレラではないのか…。
いかにツン系でもちゃんと見ればデレる温かみはあるのだ。
だがこいつは今の小夜同様ツンドラも斯くやと言った具合に最初っから冷たいのだ。
まあ、小夜以外のネトラレラ達からの人気は、原作を知ってるが故の観察眼のおかげなのだが、知らない子には選択肢が欲しいものである。
ある意味エロゲ世界みたいな癖してあまりゲーム的攻略が通用しないのはいかがなものか。
とっかかりすらわからないのだ。
まあ、親父殿の言うように、所詮は都合のいい世界を描いているのがゲームなのだなと今ならわかるのだが。
でも、それならそれでこの世界もエロ漫画的唐突なテロエロがもう少し発生したりしてもいいと思うのだが、リーサ先生とのお風呂くらいしか今のところないのである。
まあ、あるにはあったが、ロリはノーカンである。
リーサ先生とのお風呂など、限界痴態を思い出すし、全力で逃げたのだ。だが、それもあってか、逆に過剰なスキンシップに目覚めたのは設定された人妻リーサの業故なのか、どこか楽しんでる風だった。
嬉しくないわけではないが、正直親父殿から寝取っている気分に襲われ何ともいけない気分になってしまう。
ちなみに小夜との風呂は親父殿の結婚を機になくなり、あれからクレヨングリグリはなくなった。
あやうく目覚めてはいけない扉を突き破り、離れられない身体になるところだったが、セーフである。
しかし…馬鹿みたいに根が優しいのが、ネトラレラの最低条件なのだから、こいつはやっぱり違うのかも知れない。
小夜はまあ、優しいんだぞ? 俺以外には。
くっ…。胸が痛いのである。
ははは。食い過ぎかな。
『サンタ』
『ん?』
『…黒髪が欲しい』
『へ? なんで? お前の髪めちゃくちゃ綺麗じゃないか』
『…』
褒めたのに、また無視である。
しかも走って帰りやがった。
なんなんだ、いったい。
というか今黒髪欲しいって言ったよな…?
黒髪が欲しいとかそんなの正直ホラーにしか聞こえないのだが、聞き違いだろうか。
普通に考えれば、黒髪になりたいってことだろうが、染めるにしても、母が先生の場合アリなのだろうか。
調べてはいないが、比較的校則は緩かったと思うし、全体的にホワホワした空気の学校ではあるのだが。
ちなみに隣の小学校、つまり中学でドッキングするざまおの学校は、問題児が多く、そのせいか規律が厳しくギスギスしていたと記憶している。
そんな奴らの中、ざまおである二階竜也は、割と目をつけられる慎一郎氏を庇い仲良くなるという馴れ初めだった。
金持ちが多く住む高層マンションに住み、その金満を用いてヒョロガリで清貧な慎一郎氏を取り込むのだ。
金持ち達のマウント合戦は疲れるんだ、慎一郎といるとホッとするよと仲良くなっていくのが中学時代である。
まあ、それは置いておいて、こちらはその隣小よりはかなり緩い校風のはずで、そもそもがみんなみんな地毛がカラフルなのだ。
脇も下の毛も言わないのがマナーである。
それは置いておいて、これまでで髪を染めた子っていただろうか…。
いや、現時点でクラスにいない。
髪色=アイデンティティみたいなものが漫画世界なのだ。普通なら髪型もだが、そこは服と同じで変わるのだ。
だが、髪色などおいそれと変えないし、だからこそネトラレラになるようなとんでもない事件があった時にこそ失恋のメタファーとして染めたり切ったりするのだと理解している。
まあ、それは前世でも変わらない女の子の標準スキルだろうが。
しかし…それならつまり何かあったのか?
それこそもうすでにネトラレラになっていやしないだろうか?
あるいは…まさか親父殿が…?
いや、まさかな。あの優しい親父殿なのだ。それはありえないし、邪神は女児モノは描かないしこれもありえないだろう。
だとすれば普通に染めたいならそうすればいいと思うのだが、あまり女子のそう言ったルールは知らないのだ。
急に染めたらハブにされたりしないだろうか。
いじめられたりしないだろうか。
ただでさえ学校一のデブの妹なのだ。相当な色眼鏡で見られているのは想像に難くないし、和気藹々に見えたが、その実はわからないのである。
今更ながら、なんだか可哀想な気がしてきたな…。
だからって戦略的デブはまだまだやめられないのだが。
一応小夜に聞いてみようか…。
少し憂鬱だが。
いや、両親も気にしていたし、そこは気張って頑張ってみ…よう、…か…?
いや…そうか。
みんな黒髪だ。
親父殿も俺もリーサ先生ももう一人の妹も黒髪だ。リーサ先生以外は、茶が混ざっていて、俺だけが猫っ毛だがみんな黒髪相当と言えるだろう。
たしかにあんな綺麗な金髪だと家庭内では疎外感を感じるか…。
こんなエロ漫画世界の頭おかしい髪色ばかりの中の、ある意味盲点だったな。
髪色違いの兄、姉、弟、妹のいる子だってそれぞれいるし、これはまさにギャルゲーによる弊害だろう。
それにしても転生者たる俺以外の疎外感など、考えもしなかった。
確かに普通の漫画にあるような、兄と仲良くなる義妹のイベントとというか、そんな馴れ初めの物語のイントロのような気がしてきた。
そんなの全然ありそうだ。
というかギャルゲーにあった。
ぬはははは。読めたのである。
ならば仕方ないのである。
俺はただのデブではないのだ。
転生者たる秘奥義を会得したデブなのだ。
その秘めた力によって、今年こそはその閉ざされた心をとろとろに溶かしてやろうじゃないか。
俺の異能によってエロを開花し、胸襟を開いた、あのエロラレラ達と同じようになッ!
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