第14話
嫉妬。
それはある意味恋に一番近い感情なのではないだろうか。
それがあるから人は争い傷つき涙し、成長するのだとわかってはいるが、過剰さはここでもあったのだ。そもそも社会的倫理のない獣のような小学生をピンピンに奮い立たせてしまうのは嫉妬からだと思うのだ。
小夜がラレオらを惹きつけるのはもう仕方ないと思うことにした。
なので俺が出来ることは他のネトラレラ達の魅力を輝かすことなのではないかと思ったのだ。
彼女達の心は弱い。
だからこそ膜を──いや心を侵略されるのだ。
なので、とりあえず先駆けとして、エロに理解のあるネトラレラ達と仲良くなろうと思うのだ。
いや、この歳でおかしなことを言っている自覚はあるのだ。
だがここは漫画世界。
しかもシモ特化の世界なのだ。
当然の如く将来的に歪んだ性癖になる嬢はいらっしゃるのだが、初っ端からトばしてる嬢もいらっしゃる。
だが、そういう子こそ倫理や道徳がしっかりとしているもので、反面、間男にバレた時にその羞恥と恐怖に耐えれず従ってしまうのだ。
つまり打ち明ける相手がいないため、ざまおみたいなやつに食われちゃうのではないだろうかと思ったのだ。
それに、俺はラレオらの相談役を諦めた。
小1で諦めるの早くない? そう言われるかもしれないが、今のあいつらには何言っても無駄である。
それで、ターゲッ…いや、あの悪夢の入学式でお世話になったのは「頂き登り散る華」のテンさんこと、
彼女はいわゆる由緒正しい家柄で、小中高と生徒会長になるくらいに頂点に固執していた。
その理由は後に語るとして、容姿は濃い濃紺の髪に切れ長の目を携えた美人である。
立てば芍薬〜みたいな表現が似合うくらい凛としていて、全てにおいて能力が高く、ある意味で綾小路小夜と真っ向から対抗出来る唯一の女の子と言えるのだ。
だが、綾小路小夜とは違い、彼女は抑圧された家庭環境から早くにどすけべに醸成されていくのだ。
それを悪い教師に見抜かれ雌犬としてんてら作品屈指の下品な女の子に……あれ…? 結構ワンパターンな気が……。
いやいやいやいや、神の裁きが下ってしまう。
考えるのはナシだ。
神んてら作品の多くは、すけべにあまり興味がない女の子が多い。特にその手の知識が少なく、だからこそどすけべが開花した時が萌えるのだ。
俺も末であるが、男とはそういうものである。
だが、彼女の場合、ハナからどすけべなのだ。
つまり一人えちち好きである。
それをはしたない事は良しとしない性格のせいで、誰にも打ち明けられず、ひた隠しにして過ごしていくのだが、唯一癒しの存在として幼馴染であり許嫁でもある菊川海里がいたのだ。
彼が近くにいる場合は、そんな事をしなくとも済むと長らく誤解していたのだ。
そして当然のごとく彼も小夜に夢中なのだ。
今の心境はおそらく穏やかでは無い。
つまりそういうことである。
◆
『おお…』
買えてしまった。親父殿のクレカとはいえ、罪悪感がすごいな…。
だが仕方ないんだ。
彼女、テンさんとオープンマイハートで殴り合う為にはこれしかないのだ。
それにおそらく親父殿は気付かない。少しでも節約するために、今では俺がネットショッピングを管理しているのだ。
しかし、少しくらい疑ってもいいと思うが、騙されないか心配なのである。
それにしても、流石はエロ漫画世界と言わざるを得ない。ナニが、とは明言しないが、男女ともに充実していたのだ。
『……ごくり』
見たことも聞いたこともない種類やメーカーが並んでいるのである。
なら俺もものは試しに一個くらい良いのではないだろうか。
エロ漫画を嗜んでいた前世からすると、おそらく今の俺も不満を溜め込んでいるはずなのだ。
エンゲルを供物に、ここは赤いロケットみたいなやつを召喚すべきではないだろうか。
溜め込むのは良くないことだと、俺の業ストが囁いている。
◆
それから2日後。
放課後に、お稽古に向かうテンさんを薄暗い家庭科室前に呼び出した。
モエミのおかげである。
『お詫びとお礼、ですか?』
『ずっと言えなくてごめん。あの時はありがとう』
モエミ曰く、彼女は俺がお漏らしした時に迅速に動いてくれたらしいのだ。
ちなみに小夜は笑っていたそうだ。
あいつマジ許さねー。
『気にしなくてもいいですよ。子供は仕方ないのですから』
『花山院さんも子供じゃん』
『…あれくらいで受け取れません』
『まあまあそんなこと言わずに、気持ちだから。ね? それにお稽古急いでるんだよね? ほら受け取って』
『わ、そ…そこまで言うのなら…』
よし。これで俺の好感度が高くなるのは間違いないだろう。
そして彼女を足ががりにし、他のエロ特化のネトラレラ達からの信頼を得るのだ。
『ところで、これはなんですか?』
『開けてからのお楽しみって言いたいけど、ただのマッサージ機だよ。小さくてごめんね』
『そんなものいらないのですけど…』
嘘である。
彼女、こういうのの愛好家である。
それに使い道は自由であり、彼女ならきっと正解を引き当てること間違いナシなのである。彼女にはこれで存分に発散してもらい、クラスの空気を何とかして欲しいのもあるのだ。
『…でもなぜ私にこれを…?』
『こないだ言ってたでしょ、筋肉痛って。多分だけど、さーちゃんに駆けっこ勝とうとして頑張ってたんだよね? 惜しかったし、すごく興奮した。僕は君を応援したいんだ』
原作と少し違う形の気もするが、おそらく気に入ってくれるだろう。
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