第7話
今日もお風呂でシャンプー中である。
シャカシャカ、クニクニ。
しかし、何故部屋の汚さを恥じて、このクニクニを恥じないのか甚だ疑問ではあるが、子供は得てして好奇心には勝てないのかも知れないなと納得していた。
あと、ナニをされても黙っているのは癇癪が怖いのだ。
何を馬鹿なと思うなかれ、俺の今はガキである。その上ヒョロガリで綾小路小夜より力も無くチビである。
保育園で子供に触れ合うとわかるのだが、子供だけの社会だと、力加減と支離滅裂具合が半端ないのだ。
突き飛ばされるタイミングも、怒るポイントも、泣くスイッチもわからないし、興味とか喜怒哀楽とかがハツカネズミぐらい目まぐるしくギャリギャリ回っていて常にランダム排出なのだ。
流石にずっとそうではないのだが、両親不在の不安からか癇癪や嫉妬がベースにあって、その上に泣く、怒る、叫ぶが乗っかっていて、それが昨日のことなど忘れたかのようにして毎日のように繰り返されるその保育園ライフに参っていたのだ。
俺も「でへへーおティンティン、おティンティンティティーン」と保育園児必笑な笑いを取ってみたい気に駆られるが、そんなのいよいよサイコパスである。
普通の仲良し友達を作りまくり、ウェイ系男子に生まれ変わろうと頑張ってみたのだが、ぶっちゃけ心が折れたのだ。
そうして原作の慎一郎がごとく一人で遊ぶことに図らずともなってしまい、ボッチの友達、アリさんの行軍観察が日課になっていた。
そこに綾小路小夜が転入してきたのである。
親父殿にも綾小路夫妻にも頼まれてしまったのもあって、自然と二人でいるようになってしまい、急速に仲良くなってしまったのだ。
そしてこれまた原作通り、俺は幼児達の恨み妬みを一心に背負うことになってしまったのだ。
当の本人は隣に住む俺のクレヨンをクニクニしてるただの変態なのに誠に遺憾である。
俺のアリさんを奪って蟻地獄に焚べるのもマジ遺憾砲である。
『わ! 固くなったよ!』
『…』
確かに俺の慎ちゃんが、大きさはそのままに慎くんくらいに固くなった。
子供なんてずっとフニャフニャのままだと思ってたのに、ちゃんとコリッと固くなったのだ。
エロ漫画だからか、元々そういう機能を有していたのかは覚えていないが…。
原作ではちんちんをいじられ恥ずかしがる慎一郎に、小夜もそれに当てられて恥ずかしくなり、それ以来一緒にお風呂には入らなくなった、という回想シーンだったはずなのだが、原作回避が上手くいったということだろうか。
『固さは…クレヨンじゃない?』
そんな感想も要らないのである。
だが、興味深い。
低成長曲線だけは避けたいからと、お腹いっぱいお腹ぽっこりで、ガキというか餓鬼な見た目の俺。
だからあまり目にしてなかったが客観的にクレヨンサイズか。
どのメーカーのクレヨンかはわからないが、この歳でそのサイズならなかなかいい成長曲線を描くのではないだろうか。
右肩上がりに反り上がるのではないだろうか。
吐きそうになるのを毎回我慢して、胃の拡張を頑張ってきた。ここは漫画世界なのだ。祈りも合わせて効いてきたのかも知れない。
このまま綾小路家から搾取し、エンゲル係数を下げ、先進国並みの右上がりにクレヨンが成長していけば、いずれは竜也2倍、いや竜也拳10倍もいけるのではないだろうか。
俺の鼻歌混じりのシャカシャカのリズムに、小夜はくにくにといじって答えてくる。
時折、頭のてっぺんから後頭部の生え際辺りまで指を立てながら滑らせてみると、まるで尻尾の付け根を撫でられた猫みたいに身をよじらせて止まる。
ここが弱いのは知っていた。
使い方を間違っているかも知れないが、えも言われぬ罪悪感が刺激される。それに美幼女だからこその背徳感が芽生えそうな怖さもなくはない。
だが、洗わないのはナシだ。
この黒髪はやめられないのである。
それにしても先程から俺が何も言わないからと、興味の赴くままに縦横無尽におさわりしてくるな…。
さーちゃんこそが肉食系だと後で小夜パパママに言わねば──
『あひんッ!?』
『どうしたの?』
『な、なんでもないよ』
何だ…今の電流は…?
『ふーん…しんちゃんってさぁ、いっつもいじわるだよね。小夜のことムシするし』
『はぇ?』
『今もそうだし、アリジゴクだってふういんするでしょ』
『痛っ!? そ、それはさーちゃんが俺のアリさんを根こそぎスコップで虐殺──』
『痛いの痛いの飛んでいーかない』
『あひゃんッ?!』
またさっきの腰回りに走った電流みたいなッ!? 痺れる…気持ち良さが広がった…?!
え…? もしかして今…俺手で逝かされたんじゃないのか?
幼女に…?
え? 精通してなくてもそうなるの?
いや、これがエロ漫画特有の常識改変…いやネトラレラの実力なのか…?
確かにあのざまおも「おお、流石優等生だけある…飲み込みが早い…上手いじゃないか…おほっ!?」みたいな描写はあったが…。
俺が早撃ちなだけだろうか。この短い時間で二回もクレヨンみたいな俺のしんちゃんが──いや、これは止めないといけな──おほっ!? おっふッ!?
『も、もう堪忍してぇぇ……』
『カンニン? またむずかしいこといってごまかすんでしょ。でもこれママもパパにしてたんだよ』
『それ原作のやつであひぃぃいい!?』
膝ガクガクするぅぅ!!? 何だこれぇぇぇ!?
『あははは、ヘンな声ー。もじもじくんだー面白ーい。あれ? 小さくなっちゃった…』
『ちっさいは…言うなッ…!』
『わぷっ!?』
俺は何とかお湯をぶっかけた。
『もー! 急にかけないでよ! くらえー! あははは! しんちゃんヘンな顔〜!』
『あぶぶぶぶぶ』
シャワーで倍返しされた。
溺れるかと思った。
俺はあまり怒る方ではないが、これはナシだ。交代したら泡立つソープとシャワーの水圧の恐ろしさを食らわせてやるのだ。
『んッ、ん、ふ、ンン?! って、あ、洗えないでしょ! んふ?! く、くすぐったいんだから! あッ! お、女の子のそこはダメなんだよ! しんちゃんのおバカ!』
『ふぎゃッ!?』
チョップされた。
おもくそ痛い。
理不尽である。
これだから幼児は嫌いなのだ。
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