第12話 閑話休題
よし、ここまで様々な人間が思い思いの想いを持ち行動に移していることがわかっただろう。
ん、わしが誰であるか分からぬか。わしは奴の心に問いかける者である。
しかし、わしは奴の心の中にだけに住むものではないことを断っておこう。
今、これを読む貴様の中に潜り込んで囁くこともできる。いや、潜り込まずとも、はなからわしはどこにでもいて、どこにもいないのだ。
禅問答になってきたな。
まあよい。仮にわしが、人を誑かす悪魔として置いてもいいだろう。
現に、奴はわしの声にうろたえており、それは愉快愉快。かっか。
ただし、悪魔だろうとなんだろうとわしの言葉が聞こえることがあるのなら、きっと、幸運だろう。
何故なら、人が成長や殻を破る時に、わしはお前たちの前に現れ、問うのだから。果たして、奴もわしの言葉で確かにうろたえはしたが、奴はようやく見つけることができる。
何を?
その答えは、春の中に閉じ込められた奴らが答え合わせを勝手にするだろう。
桜の骸と化しても尚影響を与える鳥海誠。
鳥海誠の本懐を遂げることを望む蔵原香織。
死の真相を知る少年、藤崎祐樹。
彼に合わせてくれた恩人の秘密を知る少女、奈々丘春。
そして、君に愛を問い、自らの苦悶と鳥海誠の本意を探す、奴。
さあ、登場人物が揃い、物語はトロッコのように進んでいく。まあ、トロッコとは違い、道は何処に終着するかは、悪魔のわしでもわからない、わからないのだよ。
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