第9話

 YOMOKAKO出版本社は、巨大なビルだった。

 受付で名前と要件を告げると、20Fの第4会議室へどうぞと告げられた。


 その20Fでエレベーターを降りると、いかにもエリートっぽい女性編集者が待っていて「本日はありがとうございます。どうぞこちらへ」と言われ、共に小綺麗な会議室に入った。

 

 挨拶もそこそこに、書籍化についての流れが淡々と話されていく。アリサが承諾すれば、ただちに表紙やコピーなどを手配し、全てが動き出すようだ。

 

 ゆきはこうなる事がわかってたのかもしれないな……とアリサは思った。


 夢だけど本になるのはうれしいって言ってたし……問題ないか……。

 そう考え、承諾した。


 編集者は満足そうに頷き「アリサさんに実際にお会いして販売戦略のイメージも広がりました。2週間後、また詳細の打ち合わせをさせてください」と言う。


 何だかよくわかんないけど、そういうもんなんだろなと、面談を終えた。

 

 まあ悪い事でもない、そう思っていた――。 


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