第56話 遡る
山岳のような荒れる海を渡る4人。
「あー搭乗したかったなー」
「コロナ禍なんだから無理でしょ。よく考えればわかるよこのアホ」
「おめぇ…いくらなんでもアタシに冷たくね?」
ナカプンはカンナを睨みつける。
ミンはひたすらオールを漕いでいる。ムやんに会うために。
そしてミンの目から一粒の涙がこぼれ落ちる。
その時ミンの周りを雪の結晶が覆う。
「ミンちゃん!!」
ミンは暗闇に飲まれる。時代が変還していく。
「俊足だ…猛獣が居る…」
ミンは波に流されながら時代を眺める。
「あっあれは…!タムちゃんがミンを描いてくれた肖像画…!!初めて受けて落ちた車の免許…!」
ミンは流されていく。
「雄ですか雌ですかって言われた銭湯…!これは…時代が遡っている…!?」
ムやんが出没する
「あ!!タムちゃん!!!」
ムやんは誰かを相手に話をしている。笑っている。
「タムちゃん!!ミンだお!!今は何も兼ねていないだお!!タムちゃん!!!!」
ミンは叫ぶ。
「アイたいよ………」
霧がかかっていく
そしてまた、時代が流れる。
秩序を守って遡っている。ミンは妥協は許さない。時の中を奔走する。
そして一つの時代を掴む。
「ミンは……哀れじゃない……!!」
そしてその時代の中に吸い込まれていく。
「これが全て妄想だったらよかったのに…」
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