第44話 あと少しだったのに

キャトンペェとモプペェはその場に疲弊した。

(ダメだ…モプちゃん達もあの釜の中に入れられて炊かれちゃうんだ…)

キャトンペェはモプペェの後ろに拙い動きで隠れた。


「布の目が粗い。何度も言ったでしょう。」

「……え?」

「こっちへ来なさい」


モプペェとキャトンペェは風呂場に連れて行かれる。


二人は診察でもされるように風呂に入れられた。

それから陳腐とは程遠いペェペェ宮殿に連行される。

ペェペェ宮殿の王は酪農家だった。

鍋の前に立たされる。


「なんで…なんでこんなことするんですか…!?」

モプペェは叫ぶ。

「お前たちに概要なんて伝えるものですか。この国のためよ…」

「王!やめて!カト鍋になんて入りたくなぁい!!」

「黙れ!!ここは福祉施設ではないんだ!!お前たちが鍋の中に入らなかったらそれは倫理に反することになる!脱出を試みたって無駄だ。」

「どうしてみんな…死ななきゃいけないんですか……?」

「………」

モプペェの執念も王には通用しない。

その時25時を知らせる鐘の音が響いた。

「さ、早く入れ…」

鋳型のような鍋にモプペェが連れて行かれる。

耳が浸かりそうになったその時


「逃げて!!!!モプペェ!!!!」


煮えた汁がぐつぐつ音を立てる


「キャトンペェ!!!!!」


キャトンペェはモプペェを外へ放り投げた。

渋い涙がキャトンペェの頬をつたう。

「お願い…交渉させて…!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る