第35話 宮廷編〜完〜

山奥のように草が沢山茂っている屋敷の庭を抜ける。下顎に葉!!

「お化粧とれちゃう〜ハッ!首相!おはようございます!」

秀才のもとに転がるように駆けつける。華麗ではないダイブ。

「すいません。露骨にダイブしちゃって」

首相は少し微笑んで答える。

「いえ。荒れていないようで何よりです」

「あのわたし、ちょっと自宅に電話をかけてみようと思って…ミンちゃん…縛られてないといいけど…」

ムやんは電話から距離をとり、家にかけてみる。

「出ないわ…」

首相は神妙な顔をした。

「タムタムさん、もしかしたらミンさんはタムタムさんを探しに行っているのでは…?」

「ミンちゃん…そんな…」

覚悟を決めた顔でムやんは言う。

「コノハ首相、頼みがあります。」

「磁石のように早いソリですか?」

「さすがコノハ首相!」

二人は笑う。

「すぐに手配します。頑張って下さい。それとくれぐれも気をつけて。」

「ありがとうございます…!わたし、いってきます。」



「みなさんありがとう!!」

ムやんはミンを探しに郊外までソリで旅に出る。

感情の赴くままにソリを走らせる。

「まぁ!街に出たわ!」

歓喜の声をあげるムやん。反対にモプペェは不満そうにしている。

「いや、街に出たのはよかったけど唯一ソリで街っていうの恥ず」

「ま、幼稚なモプペェ。ソリは素敵なのよ」

「でも街中でソリってめっちゃ怪しい人じゃん」

「そんなこと言ったって…あらっ進まない」

モプペェはふと後ろを振り返ってこう言った。

「ヤバ、警察」

「えっ!?」

ムやんは一瞬動揺するがすぐに気を取り直す。

「さっ困惑してないで走るわよ!!」

「え、ソリで?」

「撮られちゃう前にっ行っけぇぇぇぇ」

ゴリゴリゴリ

「普通に走ったほうが早くない?」

モプペェは呆れた声を出す。

「道の端っこ行こーよー不審者扱いされてるー」

「静寂な道に出たいわね…」

その時突然肩を掴まれた。警察だった。

慌てふためくムやんとモプペェ。手を握られる。

「街中でソリは駄目だよー」

二人はソリをまたいで謝る。

「ちょっと事情がありまして…」

「それじゃあちょっと何の事情か聞かせてもらえるかな?」

モプペェは囁く。

「口、封じとく?」

「なんでよ。警察の人だって話せば分かってくれるわ」

その時、屋根の上をモア画伯が走っていくのが見えた。

歓喜の声をあげる二人。

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