第29話 早いっつーの

(それから、わたしの王室生活が始まった。

早くミンちゃんを探しに行きたいという気持ちを諭しながら。

わたしを助けてくれた方の名前は『コノハ・ユリゴー』という名でした。

コノハ首相はとても優しく、見ず知らずのわたしに温かく接してくれます。それと、わたしは何故浜に流されてきたのかという記憶がはっきりしました。

ブラック・ナカとシャーロット・カンナが苛酷な争いをし、島が砕けたのです。わたしの首にシャーロット・カンナが楽譜を巻き付けたのも思い出しました。


さ、お話はここまで。ちょっとお隣のモア画伯のお家にれっつごー♡泊をきざんで〜♡)


モア画伯はコノハ首相の友人。

ムやんが野菜の収穫をしているときにばったり宮廷で会ったのだ。宮廷に飾ってある絵もモア画伯が描いたものだそう。

「タムタムさんお久しぶりです。その貨幣はどうしたのですか?」

「はい。コノハ首相にモア画伯のもとへ行くと伝えましたらついでにおつかいを頼まれて。あの…この服ちょっとダサくてすみません…着替えたんですけどわたし…この服しか持ってなくて…「いえ十分素敵ですよ」

するとムやんのある物がムやんの目にとまった。

「モア画伯…その棚に飾ってある勲章のようなものは何ですか…?」

モア画伯は空虚なアトリエで静かな微笑みを浮かべた。

その場が急にしんと静まる。

(モア画伯…何かを偽っているの…?わたしに言えないようなこと…?)

ムやんは我に返る。

(でもたしかにわたしたちまだ出会って2日だものねっ。早いっつーの。今度、お琴でも鼓でも弾いてあげようかしら)

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