第33話 連れ去りは許しません!
そのことを尋ねようとした矢先、
「……っ!?」
突然のぞかれた
──気持ち悪い。
「……な、何を……」
「いやぁ、本当にきれいな人ッスよねぇ。でも……」
それとも、外見が変わり果てた男の方が早かったのか。
目に見えてはいても脳が追いつかない。そんな状況下でいつの間にか彼らは、それぞれの立ち位置を作ってしまっていた。
怪しい行動をする
中心となろう存在の
「そんなに警戒しなくてもいいじゃないッスか」
最初に根をあげたのは、他ならない
両手をあげ、降参だと肩をすくませた。
「あなたはいったい……」
──この人は山の中で出会ったときと全然、雰囲気が違う。
体をはって守ってくれている
変わり果てた
頭ひとつ分ほど背が低い
「
何があったのかと、聞き出そうとする。
そのときだった。
陣は美しい銀髪ごと
「……っ! 体、が……動か……」
すぐ側で
──
意識が遠のいていく。
名を呼び続けながら、青い顔で手を伸ばす
どぷっ……ん
ふたりのその姿を見ながら、
「…………あ、……ゆ? ……っ!?」
残された
「嘘、だろ? ……
秋風が、
今の彼には普段の呑気さなど、どにもない。陣が消えた地面を叩き、指から血が出てもなお、掘り続けた。何度も愛しい人の名を口にする。制止する
やがて無駄だとわかるや否や、この原因を作った男──
「…………
つい先ほどまでそこにいたはずの男の姿はなかった。いたという痕跡すらなく、まるで幻でも見ていたかのような気分を味わう。
「……どうなってやがる? 俺たちは、確かに
不思議な出来事のせいで、冷静さを取り戻した。立ち上がって周囲を確認する。
町の上空には不思議な光があり、雷のように鳴り続いてた。林の入り口近くの木に紐をくくりつけ、それをロバが外してほしそうに暴れている。
「意味がわからねー。どうなってんだよ……なあ
「…………」
子供を見れば、何かを考えこんでいるようだった。
「おーい、
──そうだ。俺が落ちこんじゃダメだ。
うんともすんとも言わない
能天気とはいかないまでも、いつもの明るさを取り戻した。
──とは言え、何の手がかりもない以上は、動けないしなぁ。お師匠様に相談してみる、か?
確か
「──ようやく、わかりました」
「ん?」
後ろから声がし、振り向いた。そこには先刻まで沈黙を貫いていた
「父上、やっと謎が解けました」
「謎?」
「はい」
「……
「……?」
──相変わらず、
あちこちが欠けた
「
「……そう、ですね。母上が連れ去られた以上、もう、隠しておける段階ではない気がしますし」
お話します。
少しばかり高い声が、
「僕はある命を受けて、ここではない、別の時代からやってきました」
「ほうほう。別の時代…………え?」
思わず納得しかけてしまう。けれど人の脳というのは、そう簡単には理解しようとはしないもので……
「ひょ……ひょーー!」
奇妙な雄叫びをあげては、両目を丸くする。金魚のように口をパクパクさせ、
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