最終章 ふたりの旅路と想い
第32話 王都襲撃
過去に起きた、いくつもの点と線が繋がっていく。
それは幼い子供だった
大人たちの私利私欲、そして、自分勝手な価値観によって──
ふたりは
「…………」
「……私は、誰も信じることができなくなっていた。助けてくれた叔父上たちですら」
血の繋がらない
「大人への不信感を持ったまま、私は大人へと成長してしまった。そのことに、叔父上たちも何か言いたげな様子ではありましたけど……」
はあーと、疲れを全身で現しながら、長いため息をついた。
泣き腫らした顔を恥ずかしそうに、服の袖で隠す。じっと見つめてくる
「あっ! 何か
ニヤニヤと。言葉とは裏腹に、彼の顔はニヤケていた。
そんな彼の表情に気づかない
「し、しょうがないでしょ。あんな姿見られただけじゃなく、あ、あなたの顔を見ると……」
「んん!
「な、ば……で、ですから、そういうことは言わないでく、くだ、さ……い」
頭から湯気が出そうな勢いで、顔を林檎のように真っ赤にさせた。ゴニョゴニョと口ごもり、彼から顔を背ける。
──い、言えない。言えるわけがない。私が
それは、一種の癖のようなものだった。悪い方向にしか考えられず、何もかもを胸の内に閉じこめてしまう。
幼い頃の出来事のせいで
「ははは。まあ、
いたずらっ子のような笑みを浮かべて、
「──間もなく
「……っ!?」
そして、衝撃の言葉を投げられた
「なぜ、そのようなことがわかるのです? その言い方だと、まるで、未来がわかっているかのような……」
「……ごめんなさい、母上。それだけは言えないんです。でも、これだけは言える」
それは妙に使い古された、八角形の
「これって
「ある人に託されました。その人は動けなくなる前に僕にそれを託し、母上を守るよう命じられました」
「……私を? その人とは、いったい……」
そして……
”そろそろ、そのときが訪れる”
ふたりに聞こえるよう、静かな川の流れのような声でたゆたった。
瞬間、町の上空は厚い灰色の雲に覆われていく。
「……っ!?」
数刻前までは明るかったのに、いまでは王都上空が暗号に包まれしまっている。上空ではときおり、閃光のようなものがついては消えてを繰り返していた。
「始まったんです。すべての終わりと、続きの分岐点が──」
「分岐点?」
意味がわからない。
そんなふたりを背に、
「……父上、絶対に母上を守ってください。
彼とは誰のことか。あの人とは、誰のことを指しているのか。
謎だらけの言葉を
「…………」
隣にいる
「……
震えている
「…………い」
王都の反対側、林の奥地から、何者かの声がした。その声は少しずつ近づいてくる。
「……にぃー!
声の正体は
明るい声とともに手をふりながら、さんにんへと走ってよってくる。
「あー!
無邪気なまでに声をあげながら、
「
「え!?」
上空で光っているものは
「応戦してるんッスけど、相手がしぶといらしくて苦戦中なんッスよねぇ~」
「……いや、お前は何でこんなところ……あれ?
それは
「何で、髪と瞳が
笑顔は変わらない。それなのに、なぜか笑顔が恐ろしいとすら感じてしまう。
その違和感を問いつめようと、
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