第29話 朱《あか》き魂石《こんせき》の秘密
「──父上、母上! 急いで町の外へ出ましょう。そうしないと、すべてが狂ってしまう。取り返しがつかなくなります!」
ロバの背に乗ってふたりを説得するのは、
「うっそだろ……
「父上、母上……」
驚くふたりをよそに、
「……おふたりに、伝えておかなければならないことがあります」
震えて落ち着きのないロバの頭を撫で、話を続ける。目を隠してしまうほどの長い黒髪を払うこともせず、下を向いた。
「父上が探している【
「……え!?」
「
「……な、何だよ、そのでたらめな力は。ってか、そんな危険物を、俺は探してたってのか!?」
頭を抱えてしまった。それでも目的でもある品の秘密が聞けたことが嬉しいなと、前向きに笑う。
ひとしきり戯れが終わると、
「……わかりました。僕の知る限りのことをお伝えします。
「え!?」
何とも物騒な品物だろうか。
「父上たちが驚くのも無理はないと思います。製造方法などは、異国の者が教えたという話ですし」
ただ、問題なのはそこではないと、瞳を細める。
「
「当主? 確か五、六歳とかって話じゃなかったか?」
「そんな子供に、欲なんてないと思うぞ? あったとしても、周囲の大人たちだろうさ。旅の途中で茶屋の店主に聞いたけど……やっぱり、俺は信じられねーな」
彼の疑問に頷き、
「多分、父上の言うとおりなんだと思います。何もわからない子供をいいように使って、利用していただけかと」
だけどと、つけ足した。
「造ってしまったのは事実。それは、変えられません」
「……そりゃあ、そうだけどさ。なあ、話は変わるけど、その石はどこにあるって言うんだ?」
そう言う
「
「…………っ!?」
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