第25話 白月は白月です。それ以外の何者でもない!
頭を抱える
それはとても異様な光景ではあったが、
「──
黄色い華服の男に向かって、苦笑いをする。
「……ちっ! おい、馬鹿息子。今度黙って家出したら、本当に、はっ倒すからな?」
ギロっと睨みを利かせた。すると肩に担がれている
「
「……あー、わかりました」
他人である自分は、この件には関与しない。キッパリと答えた。
──ぶっちゃけ、巻きこまれたくないってだけだけどな。
黄色い華服の男と
息子である
「
仮面を外して顕になった顔は、いたって平凡そのものだ。よくも悪くもなく普通かつ、特徴すらない。身長は百七十米ほどか。体格は中肉中背で、全体的に目立つような外見をしてはいなかった。
それでも隣にいる黒い華服の男よりは、賢そうな眉をしていた。
男の名は
「あぁ? 暇がない? どういう意味だ?」
黄色い華服の男は、息子である
それでも彼は助ける素振りすら見せず、ただ、苦笑いで誤魔化す。そして、ことのあらましを一通り話した。
「…………だいたいの事情はわかった。俺たちの可愛い孫が、この鏡の中に閉じこめられたってこともな」
どうやら
視線を
残され
「……お前さ。何で、家出なんかしたんだよ?」
跡取りとしての勉強や、作法など。それらが嫌で出てきたのかと問いかけた。
「いや……それじゃあ、わかんねーから」
──理由をハッキリ言わないと、俺は庇ってやることできねーんだけどなぁ。
半分妖怪の血をひいていても、心までは残酷に染まることがない。それが
「──うむ。そのことなら、俺から話そう」
ふと、黒い華服の男が間に入ってくる。男も
「え?
男を親しげに兄と呼び、教えを乞う。
男は多少、目元などに
けれど
そんな男の名は
「俺も詳しくは知らんが、お見合いの話が出ていたようだぞ?」
「え!? マジで!?」
ふたりの視線は、
「お前たちも知ってのとおり、俺の治める
平たく言えば、人身御供である。
それを聞いた
「お家存続のためだ。貴族に生まれた者の定めなんだろうなぁ。俺みたいな庶民には、到底わからないことさ」
うんうんと、ひたすら諦めろの一点張りを決めこんだ。
「はぁ!? んなの知るかよ! 俺は
──
「おい、
顔から血の気がひいていく。
「そ、それが……
「はあ!? お前、何でそんな大事なこと黙って……」
唾を飛ばしながら怒りに身を任せていた瞬間、建物の入り口の扉がゆっくりと開いた。
外からの光だろうか。目映いばかりの光が、開いた扉全体を明るく照らした。そしてコツコツと、足音がする。
「…………え!?」
歩いてきたのは黒髪の子供だ。十四、五歳ほどで、美しい顔をしている。
子供はロバの手綱を引っぱりながら、
「帰りが遅いから、迎えにきてしまいました。父上──」
ふふっと微笑する姿は、
「お、前……まさか
「はい、そうです」
軽く答えた
「……やっぱり、成長したのか」
──日を追うごとに、信じられないほどの早さで成長していく。この
モヤモヤとした気持ちのまま、
そのとき──
「ちょっ……
「──答えろ。貴殿は何者か。なぜ……」
「なぜ貴殿から、
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