鏡と過去。そして懐かしい人たちとの再会
第22話 鏡よ鏡さん。大切な人を奪わないで
ふたりとも手詰まりとなってしまった。
通せんぼをする建物の陣を破壊しようと侵入した矢先、謎の三人組に出くわす。ただ出くわすだけではなく、
「俺が前で戦って、
扇子をしまい、美しい銀髪を耳にかける。
「無理ですね。あのさんにんは、かなりの歴戦をくぐり抜けた人たちです。純粋な力比べの場合、私は当然叶いませんし、
どちらにせよ、ふたりがかりでも彼らには手も足も出ない。そう、口酸っぱく告げた。
地面にまでつきそうなほどに長い銀髪を揺らし、どうしましょうかと
「ひょーー!」
「……むっ! 何ですか、その態度は?」
彼は耳の先まで真っ赤にして、壁にひっついた。
納得のいかない
「い、いや、その……ち、近い! 顔、近いからあー!」
「はい?」
顔を近づけてはいけないのだろうか。それほどまでに、自分の顔は醜いのだろうか。
そんな疑心暗鬼な気持ちが過っていった。
──
そう考えただけで、しょんぼりなってしまう。
両端にある、銀の中の黒髪を弄った。口を尖らせ、大きな目を潤ませていく。
「嫌いなら、ハッキリと嫌いって言ってください。そうやって口ごもられると、傷つきます」
ぐすんっ。少しだけ涙を溜めて鼻をすすった。そして彼を見上げ、瞳に
「んんっ!
「俺が、
ゴニョゴニョと、普段は騒がしぐらいの口が、今回ばかりは黙ってしまった。
そんな彼の不可解な行動に、
──ふふ。
無意識に彼の頭を撫でた。
「……さて
祝福とも言えるこの時間を惜しみながら、
謎の三人組が消えていった、二階にある右側の扉を注視した。周囲を確認しながら階段を登る。
右側の扉の前に立った。扉は、質素な建物内には似つかわしくないほどにごつい。鉄でできているようで、触るとひんやりとしていた。
ともに登ってきた
「右側の扉は避けた方がいいと思うぜ。あいつらが入っていったから、鉢合わせとかしちゃいそうだし」
「そう、ですね。そうなったら私たちはおそらく、生きて帰ることができないでしょうし」
ふたりはため息をついて、実力不足を実感した。タハハと、互いに苦笑いをする。
「……さて。
コツコツという、靴音が響いた。それを気にすることなく、
左側は右側とは違い、どこにでもある木製の扉だった。けれどたくさんの札が貼られていて、怪しさ満載となっている。
「……あれ? これ、剥がれねーんだけど」
「術がかかってますね。退いてください」
両目を、長いまつ毛の下に隠すようにして閉じた。
扇子を広げ、それを天井へ向けて投げる。瞬間、扇子から目映い光が放たれた。
同時に、
「──
儚い。それでいて透き通る声が、その場を駆けた。
すると剥がそうてしても動かなかった札が、一枚だけ落ちる。それを皮切りに、次々と札が剥がれていった。最終的にはすべてなくなり、木製の扉のみが残される。
「……す、っげえ……」
「ほ、ほら
絶賛された本人は少しだけ照れたように、ぶっきらぼうなまでにそっぽを向いた。自分のことのように喜ぶ
──おかしい。彼に誉められただけなのに……なぜ、私の心は熱くなっているのだろう。
この気持ちの意味を理解できないまま、扉を開けて中へと入っていった。
□ □ □ ■ ■ ■
部屋の中には何もなかった。机や椅子はもちろん、寝具すらも置いてない。ただあるのは壁に背をつけた木棚。そして、飾りのように壁にくっついている鏡だけだった。
生活感がまるでない場所に、ふたりは驚く。
「物置……にしては、綺麗に掃除されてますよね?」
キョロキョロとしながら、指で床を触ってみた。埃が指にくいてない。
天井を見ても、蜘蛛の巣すら見当たらなかった。
「いったいここは、何なのでしょう?」
「わかんねー。でも、何かありそうな気がするなぁ」
義賊としての好奇心からか、彼は笑みを浮かべながら木棚の中をのぞく。けれどすぐに閉じてしまった。
「目ぼしい物、何も入ってねーなぁ。お? やった! 銀銭一個見っけ!」
手癖の悪さを晒す。こっそりと袖の中にしまい、何事もなかったかのように「これからどうする?」と、相談を持ちかけてきた。
彼の手際のよさに、
「……そうですね。何もないようですし、一旦
『おいで──』
「え?」
そのときだった。
──誰? 私を呼ぶのは、誰……
次第に、
「ん? ……
それでも
『──おいで。ここへ、おいで』
「…………」
声を発することなく、
やがて両手を伸ばした。瞬間、目も開けていられないほどに強烈な光が部屋中を走った。そして……
「うわっ! 眩しっ……
鏡の中に、
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