第2話 桜さんは昔モテていた?
女店長の
その言葉が真実かどうかを確かめるため、少しずつエロい条件を出していこうと思うが、調子に乗り過ぎてはいけない。
というのも、桜さんはオーナーすなわちトップだ。お願いの度が過ぎればクビにされるのは言うまでもない。この調整が難しいところだが、面白くもある。
既婚者の桜さんを少しずつ堕とせるんだからな。ゆっくり楽しんでいこう…。
引き止められた翌日。今日の俺は早番なので、店のカギを開けて店内に入る。店のカギを持っているのは、俺・桜さん・彼女の旦那の
後輩の
この喫茶店の営業時間は午前8時~午後6時までになる。常連はモーニングとランチ目当てに来る事が多いので、明らかに午前のほうが大変だ。
とはいえ、午後も油断できないがな。常連の高齢者が集っておしゃべりし始めたら注文が集中するし、興味本位で初めて来店するお客さんもいるからだ。
そういうお客さんを常連にするには、接客・メニュー共に好印象を抱いてもらわないと! その気持ちが疲労に繋がる訳だが、接客あるあるだからどうしようもない。
時間は午前10時30分頃。モーニングのピークを越え、俺は店内のキッチンで1人のんびり過ごしている。もうそろそろ、ランチに合わせて桜さんが来るはずだが…。
……俺の予想してすぐ、桜さんが店の入り口の扉を開けて来店する。個人経営の喫茶店に、スタッフ専用の入り口など存在しない。
「健一君、変わった事なかった?」
「なかったですよ」
「良かった」
笑顔で答えてくれた桜さんは、休憩室に向かう。更衣室は休憩室内にあるからな。
…これまでまったく考えなかったが“桜さんにエロい条件を出せるかも?”となった途端、彼女の着替えがすごく気になる。どういう下着を着てるのかな~?
今は店内にお客さんは誰もいないし、こっそり休憩室に戻って覗けるかも…? いやダメだ、その間にお客さんが来たら言い訳できないぞ。
それに、覗きがバレたらどうする? 「俺が辞める時、何でもしてくれるって言いましたよね?」と反論しても、どうなるかわからない。
まずは桜さんのエロ耐性を知らないと。話はそれからだ。
……着替え終わった桜さんが戻ってきた。白の半袖Tシャツの上に黒の袖なしベスト、黒の長ズボンを穿いている。
これがここの基本スタイルだが、寒ければ半袖を7分袖や長袖に変えてもOKだ。
「やっぱり健一君がいてくれると安心できるわ」
俺のそばに来た桜さんは優しく微笑む。
「そう言ってもらえて嬉しいです」
今回は辞めるのを保留したが、来年になったら俺は3年生だぞ? 遅かれ早かれ就活で辞める事になるんだが、桜さんはその辺をわかってるのか?
「健一君、気になる事があったら、すぐわたしに相談して。昨日の辞めるは我慢の限界だから言ったんだよね? 健一君に我慢して欲しくないの…」
今の俺に“我慢するな”と言われたら、すぐ手を出しちゃうが? 本人にその気はないのはわかっているけどさ…。
「気遣ってくれてありがとうございます。でしたら、話を聴いてくれませんか? 前から気になっていた事があるんです」
適当にでっち上げた話で、桜さんのエロ耐性を知ろう。
「そうなんだ。わたしに答えられると良いけど…」
「この間、大学で知り合った友人が若い女子に路上ナンパしたみたいなんです」
大学に友人は1人もいないから、何から何まで嘘になる。
「へぇ~。最近の子にしては肉食系ね」
「ですよね。何とかナンパできた彼は、その後Hもしたらしくて…」
「そうなの? 男の子も女の子も大胆ね~」
「桜さんは、ナンパについてどう思います?」
軽めの質問にしたつもりだが、ちゃんと答えてくれるかな?
「ろくに知らない相手とHするのはどうかと思うけど、ナンパは悪くないと思うわ。相手の積極性と引き際を知るチャンスだから」
思ったより悪くない反応だ。…ん? 桜さんが急にクスッと笑ったぞ。
「ゴメンね、昔の事を思い出しちゃって…」
「昔?」
「今でこそおばさんだけど、若い頃はそこそこナンパされた事あるのよ。お茶だけしてHはしなかったけどね。みんなチャラくて、わたしのタイプじゃなかったし」
「桜さんモテたんですね」
「どうかな~? 女なら誰でも良かったんじゃない?」
若い頃の桜さんか…。写真残ってないかな? そう思った時、常連のお客さんが来店する。
「いらっしゃいませ~」
おしゃべりはここまでだ。さぁ、頑張って仕事をしよう!
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