【完結】女店長にバイト辞めるのを止められたので、代わりにエロい条件を出そうと思います
あかせ
第1話 バイト辞めたいんですが…
俺と女店長の
「桜さん、ここのバイト辞めたいんですが…」
「え? え? 何で?」
桜さんは見るからに困惑中だ。今日初めて伝えたから仕方ないかもな。
「とりあえず、続きを聴かせて」
俺達は休憩室にある机に向かい合う…。
今の俺が働いているのは、桜さんが個人経営する喫茶店だ。カウンター席・テーブル席共に数席しかない、小さくてレトロな店になる。
俺がここで働き出したのは、1年前の大学1年の時だ。通学の際にいつもこの店の前を通るんだが、ふと見ると“バイト募集”の張り紙があったので、興味本位で初めて店内に入った。
その頃バイトを探していたからな。どういう店か気になるだろ?
「いらっしゃいませ~」
あの時接客してくれた桜さんは、美しい上に輝いていた。年上趣味がない俺を目覚めされるレベルでな。そんな彼女が気になり、俺はすぐ応募する事にした。
結果採用され、現在に至る。俺の仕事は今もホールとキッチンだ。昼時などの忙しい時間は2人体制だが、そうでない時はワンオペになる。
だから1人で何でもやれる必要があるのだ。それ自体は驚く事じゃない。
採用されてからの自己紹介で、桜さんの事を訊いてみた。歳は30歳の既婚で子供なし。旦那さんはサラリーマンらしい。旦那さんの都合次第だが、土日に店の様子を見に来たりサポートしてくれる事がある。
この喫茶店は、店長だったお祖母さんが引退するタイミングで引き継いだと聴いている。桜さんのお母さんは喫茶店に興味がないらしく、全くノータッチなんだと。
引き継ぐ時に彼女は正社員を辞めたらしく、この喫茶店にかける本気度が伺える。
以上がこの喫茶店の簡単な説明と、俺がバイトを始めた経緯になる。そんな俺が辞めようと思ったのは…。
「健一君。怒らないから、辞めたい理由を正直に言って」
桜さんは優しい笑顔を俺に振りまく。
「はい…。まずは『時給が低いこと』です」
ここの時給は最低賃金なのだ。どうせ働くなら、高い時給を求めるのは当たり前だ。
「そっか…。健一君達はすごく頑張ってるし、少しでも上げたいけど…」
バイトは俺含む3人いて、俺はその中で一番のベテランだ。大学1年で女子の
「後はですね…、『この店の将来性』です」
昼時になれば常連が来て忙しいが、暇な時はゲームできるぐらい暇だ。それで時給がもらえるなら喜ばしいかもしれないが、ある不安が付きまとう。
それは“この店の経営は大丈夫なのか?”って事だ。そんな事を桜さんに訊いてもごまかされるに決まってるので、今までずっと黙っていた。
それに、この店のレトロ感が気になる。良く言えば味があるけど、悪く言えばボロい。リフォームしない以上、将来性はないと俺はみている。
沈みかけの船から早く脱出したいと思うのは、当然の流れだと思うが…。
「健一君にはわかっちゃうか。確かに余裕があるとは言えないね…」
桜さんの暗い顔を観ると、罪悪感を抱いてしまう。
「だけど君がいなくなったら、
この店のメニュー数は少ないので、覚えるのは容易だ。新人の後藤君はまだ覚え切れてないが、それも時間が経てばきっと…。
「君の言った事は全て正しい。けどお願い! ここのバイトを辞めないで欲しいの! わたしに出来る事は何でもするから!」
目に涙を浮かべて訴えかける桜さん。
「…何でも?」
この言葉が俺の心をかき乱す。
桜さんは今も若々しい。訊いたあの時と違い現在は31歳になっているが、外見に変化は見られない。って、1年で変動する訳ないか。
彼女の事を知って1番ショックだったのが、既婚者である件だ。だから諦めようと思ったのに、ここで“何でもする”と言われたら…。つい下心が出てしまう。
後輩の東雲さんも可愛いが、年上ならではの余裕とエロさ? は彼女にはない。俺が手を出したいのは桜さんのほうだ。変態なのは重々承知しているぞ。
本当に何でもしてくれるなら残ろうかな? もし躊躇するようなら…。
「わかりました。辞めるのは保留にします」
桜さんの言葉の真偽を確かめないと。
「本当にありがとう、健一君!」
彼女は俺の手を片手で握り、もう片手で涙をぬぐうのだった。
いくら“何でも”と言っても、段階がある。どの程度からお願いしようかな? 俺はそんな事を考えながら帰路に就く…。
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