第226話
翌日からは、毎日同じスケジュールで動く。
午前中は、ユリシーズ殿下から頼まれた古代語を翻訳し、午後は教会日誌を読み、魔法陣を教える。
研究所所長のエイベル様と魔法師団長ウォーレン様も興味津々で、私の授業を一緒に受けている。
受講人数は現在20人ほど。
魔法に長けている人たちなので、魔力感知はあっという間に身に着けた。
見えるようになると、互いに何色かで盛り上がる。
だがその中で、エイベル様一人何やら気まずそうだ。
どうしたのだろうと見ていたらエイベル様と目があった。
「もしかしてユリシーズ殿下は緑色ですか?」
今日この場にユリシーズ殿下はいない。
宮殿に戻ってきたことで、研究だけをしていればよいわけではなくなり、とても忙しいのだ。
「綺麗な翡翠のような色ですわ」
そう答えると、エイベル様が胸を押さえた。
あぁそうか。エイベル様はもう結構なお年を召している。
だからきっと知っているのだろう。
以前、まだユリウスさんと呼んでいた頃ユリウスさんに魔力感知を教えた。
その時に言っていた。
物心ついた時から見えると、周囲に言ったら変な目で見られたと。
エイベル様や他の方の気持ちはわかる。
その時は魔力が見えるなんて思いもしないのだから、幼いユリシーズ殿下が「〇〇色だね」と言っても、何を言ってるんだと不思議に思うだろう。
けれど、目に見えたものを伝えただけなのに、変な目で見られたユリシーズ殿下も辛かっただろうな。
魔力感知ができるのなら、次はコントロールだ。
血の巡りのように魔力を循環させてみたり、自分の体の周りに球状に魔力を放出させたり、その球を大きくしたり小さくしたり、体表から1ミリも出ないようにしたり。
的に当てるようなコントロールは今まで訓練してきたが、この方法はしていない。
だからみんな苦戦しながらも徐々に形になっていった。
一番難しいのはやはり体表から出ないようにすることのようだった。
結局授業1日目はコントロールまでで終わり、2日目から簡単な基礎魔法陣の勉強をし始めた。もちろんコントロールが完璧というわけではないので、授業の始めは必ずコントロールの時間を取っている。
コントロールが完璧になるまで待っていたら、1年では間に合わないかもしれないので、ある程度できるなら同時進行なのだ。
「
外の演習場で火花を出す。
「皆さんご存じのとおりこれは、ユリシーズ殿下が発明された生活魔法です。魔法陣でも初歩の魔法になりますので、どの属性の方もできると思います。ただ、スキルと違うのは呪文を唱えるだけでなく、イメージを必要とします。さっき私が出した火花をイメージしながら唱えてみてください」
そう言うと、あちらこちらで「
火花を綺麗に出した人、勢い余って大きな火を出してしまった人色々いるが、そこは宮殿や研究所で働く魔法使いたち、何度か繰り返すうちにすっかりものにした。
「では次は
そういえば、ほとんどの人がもう簡単に
「それを、魔力コントロールの時と同じように大きくしたり、小さくしたりするのです」
みんなの習熟度を見て回る。
やはりスキルが火の人は簡単にできていたが、水の人は苦戦している。
今、私は魔力が見える。魔力感知の時のような個々人の色だけではなく、その奥に渦巻く四属性の色まで。
一人魔法師団から来られた方にスキル付与魔法使い(水)の方がいた。
その方は、もう圧倒的だった。
四つの属性のバランスが、極端すぎるほどなのだ。
つまり水だけが突出していて、その他がほとんどない。
そして彼は、やはり火花まではできたものの
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