第20話
ふぅー。
やっと綺麗になった。
数日掃除をサボっただけだけど、体が鈍っているのがわかる。
そりゃそうか。
掃除くらいしか体を動かすことしてなかったもんな。
魔法も鈍ってるのかと思いきや、圧縮も操作もスムーズだった。
サボってた期間は、一日中本読んでた。
読書だから何も魔法なんて使ってなさそうだけど、私のスキルはライブラリアンだ。
だからスキルで本を出し、読んでいることになる。
すなわち一日中魔法使ってたことになる。
よく魔力切れ起こさなかったな。
1年前より魔力増えたのかも。
それにしてもライブラリアン以外の魔法使えないな…
当たり前なんだけど。
スキル以外の魔法は使えない。
それは当たり前のことだ。
けれど私の読んでいる魔法の本にはそう言った記述が一切ない。
だからこそ私ももしかしたら魔法使えるようになるのでは?と思っていたのだ。
本によると魔法は習得は大きく分けて3ステップ。
1.魔力感知
2.魔力コントロール
3.イメージによる魔法の発現
およそ1年くらい魔法の勉強してきて、感知も、コントロールもできるようになってきた。
けれどどうしても魔法は使えない。
むむむ。どうしたものか…
あれこれ魔法関連の本を読み漁った結果、魔法陣を使えば魔法を行使できるのではないかと考えた。
6歳のスキル鑑定で魔法を使えるようになるので、わざわざ魔法陣で魔法を行使する人はいない。
スキル鑑定の魔導具が発明される以前は使っていたらしいが、わざわざ複雑な魔法陣を寸分の狂いなく書かなければならないので、手間も時間もかかってしまう。
だからスキル鑑定の魔導具が発明されて、鑑定を受けるだけで魔法が行使できるようになって、面倒な魔法陣は廃れてしまった。
それに戦争があって、スキル至上主義になったのも魔法陣が廃れるきっかけだ。
戦いの場において、悠長に魔法陣を書いている暇などないのだ。
役立たずと思われ、廃れた魔法陣だが、私はこれを使わなければ魔法を使えないのだし、役立たずと言われる自分のスキルとも同じに思えた。
役立たずじゃないことを証明してやる!という意地がもしかしたらあったのかもしれないが、とにかく私はこの魔法陣を使いこなせるようになると決めたのだった。
使いたい魔法はある。
この1年毎日毎日あの魔法が使えたらと思っていたのだ。
魔法陣の本にはまず、火、地、風、水の四大魔法の基礎魔法陣が載っていた。
ただ火を出す、土を盛り上げる、風を吹かせる、水を出す魔法陣だ。
それができるようになったら、大規模から小規模までどの程度の魔法をおこすかのコントロールし、さらには指示する方向へ飛ばしたり、武器に魔法を付与したり、組み合わせて技にしたりの応用編だ。
「初めて書く場合は正確にズレなく描けるようになるまで魔力を込めないこと。
正確に描けていないと思わぬ事故になります」
本にそう注釈があったので、ただひたすら正確に、ズレがないように何枚、何十枚と描いていく。
最初はうまく円が描けず、楕円になったりしたけれど…18枚描いてようやく完璧と思われるものに仕上がった。
簡単な魔法陣だったのに18枚もかかってしまった。
高度な魔法陣を描くにはどれだけの練習が必要なのだろうか…
まぁ、とりあえず!
初めての魔法やってみますか!
魔法陣に手を重ね、魔力を少し流してみる。
「
そよ風が出てきた!
わぁ!すごい!!!
できたー!
これでこれからはお掃除楽々だ…?ん?んん?
こんな風でどうやって掃除したらいいんだ?
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