第3話:光人の信じられないような話。

「うそ・・・なにこれ?」

「ねえ、どうなってるの?・・・」


「私が魔法使いだって証拠をお見せしただけです」

「信じていただけました?、柑菜さん」


「あ〜びっくりした・・・」

「今のって瞬間移動ってのでしょ・・・そんなことできるんですね」

「魔法使いなんてほんとにいるんだ」


「とにかく家の中に入りましょ、こんなところで立ち話しててもしょうが

ないから・・・」


納得がいかないまま私は魔法使いさんに私の家に上がってもらった。

私が早くに帰って来たもんだから、お母さんが廊下まで出てきて、

どうしたの?って顔で私を見た。


「柑菜・・・もう帰ってきたの?、今日は伊奈ちゃんとお買い物に行く

んじゃなかった?」


「それがね・・・あの・・・お母さん驚かないでね」


私はそう言うと、私の後ろにいた魔法使いさんをお母さんに紹介した。

隠せないし黙っておくわけにもいかないからね。


「あらま、伊奈ちゃんと一緒かと思ったら、こんなイケメンさんとデート

してたの?」


「デートって言うかさ・・・」


「はじめまして、お母様、私は光人ライトって申します・・・光る人って

書きます。

「ささやかながら魔法使いやってます」


「あ、どうもはじめまして・・・光人さん?・・柑菜の母親やってます・・・」

「ところで魔法使いって?」

「面白い冗談言う方ね」


「それがね、冗談じゃないのよ」


「そう、お母様、冗談ではないんですよ」

「ご理解いただくために、いろいろお話しせねばなりませんね」


「座っても?」


「あ、どうぞ」


光人はソファに座ると、自分のことについてしゃべりはじめた。


「まず私の住んでる場所ですが、実は、みなさんよくご存知の月に家があるんです」


「え?・・・月に家があるって?・・・」

「で、もし月に誰かが住んでたら発見されてるでしょ」


「それがバレないようにしてあるんです」

「もう何百年も前からね・・・」


「そもそも、私たち魔法使いは、昔は人間と共存してたんですよ」

「でもね、魔法使いの中にはいい魔法使いばかりじゃなくて、悪い魔法使いも

いたため私たちは、全員脅威とみなされ迫害されたんです」


「それが原因で、あちこちで人間と魔法使いとの間で小競り合いがあったり

しまして・・・」

「そこで偉い魔法使いの方々が魔法使い全員ひきつれて月に移住したんです」


「だから今の月には多くの魔法使いが住んでるんですよ」

「ただ人間から隔離するために私たちの生活エリアは遮蔽しゃへいされて

るんです」


「しゃへい・・・しゃへいって?」


「特定の物体を不可視にする、魔法技術の一つです」

「人間の肉眼では見えないんです」

「クローキング・デヴァイスなどと呼ぶこともありますけど・・・」


「だから人間がいくら月を探査しようと、私たちの存在は分からないんです」

「人間には見つかっちゃいけないですからね」


「じゃ〜なんで光人さんは、そんな危険を冒して、この地球に来たんですか?」


「それはとても簡単・・・私は自分のワイフになってくれる女性を探すためです」


「ワイフ?・・・お嫁さん?」

「あの魔法使いの世界にも女性っているんでしょ」


「普通にいますね・・・でも魔法使いですから」


「魔法使いじゃなにか都合が悪いの?」


「魔法使いって言うより魔女ですからね・・・だから怖いんです、怒らせたら」

「魔女なんかと一緒になったら、人生捨てるようなもんです」

「なまじ魔法なんか使えない方がいいんですよ、女性はね」


「だから、普通の人間の女性を探しにわざわざ地球までやって来たんです」

「で、私にとって運命的な人を発見したわけです・・・柑菜さん・・・」


「それが私だったんだ・・・」


「でも光人さんは一方的なんだもん・・・勝手に声かけてくるし」


「光人さんじゃなくて、今後は光人ライトで・・・柑菜さん」


「じゃ〜もし街で意中の人と出会っても声をかけなきゃ愛は生まれないでしょ」


「それはそうだけど・・・」


「ね、お母様、そう思いません?、私なにか間違ったこと言ってます?」


「あ・・・そうね・・・間違ってないと思いますけど・・・」


お母さんは光人君の話を聞いて狐につままれたような顔をしていた。

って言うか、お母さんはイケメンにめちゃ弱いんだ。


つづく。

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