安堵のA
話は前後して。大学時代の友人にAちゃんというとても素敵な子がいた。
髪はサラサラ、お目目はキラキラ、お肌に気を遣い、服装もお洒落。留年した1つ年上の、彼女持ちの少し悪ぶった先輩を一途に慕い、報われない恋をしていた。
よく愚痴を聞いたり恋愛相談に乗ったりしていたが、先輩も分っていてAちゃんを翻弄しているズルいところはあった。
先輩に貢ぐ為に、あまりよくないバイトに手を染めた時は、それとなく注意を促したし、先輩の彼女も含めて一緒に旅行すると言った時は、そのあまりの一途さにドン引いたものだ。費用はすべてAちゃん持ちだったからだ。
身長180cmを超えるナイスバディなAちゃんは、男女問わずモテモテだった。彼は報われないプラトニックな恋をしつつ、来るもの拒まずで肉体の方はそれなりに満たしていたようである。
経験豊富なAちゃんには、BL創作のアイディアをよくいただいた。
ある日、そんなAちゃんが私の目をじっと見つめて言った。
「尾巻ちゃんとなら、一晩一緒に過ごしても何も起きない自信がある」
「そうか」
「うん。多分〇たない」
「そうか。それは良かった」
どんな相手でも拒まずなキミがかい?
そこは「失礼な」と思った方が良いのかもしれないが、その時私は自分が性の対象として見られないことに、心からの安堵を覚えたのである。
つづく
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