ミイラ取りがミイラになる

 大人しげな外見のせいか、侮られることが多い。なぜ、彼らは「こいつなら何しても大丈夫」と思うのだろう。

 この世に存在する全ては尊いものであり、尊重して然るべきと考える一方で、どす黒い考えに取り憑かれることもある。


 しかし、暗黒面に堕ちないためにも、自己を分析し、仏教でいうところの「中道ちゅうどう」を保つために日々己を研鑽けんさんしなければならない。「敵を知り己を知れば百戦危うからず」と孫子も言っている。


 闇雲な疑心暗鬼は良くないが、自分に害を為す者にだけは最大限のカウンターを喰らわそう。そう心に決めた私は、群がりくる変態紳士やナンパ男、メンヘラ女、ヤンデレなどを粉々に粉砕して今日まで生き延びた。


 なんつって。なんで周りに遠慮して自分を変えなくちゃいけないのよねえ。おかしいじゃない?


 でもとりあえず体と精神を鍛え、見た目も少々手を加える。半分趣味でもあるが、派手な服装と派手な髪色。たまに「鬼〇の刃」の宇〇天元ではないかと思うこともあるが、警戒色をまとえば多少周りの反応も違う。少なくとも前述の赤紳士のような御方は寄って来なくなる。


 だが、気付けばコンビニ前にたむろするヤンキーに「姐さん」呼ばわりされ、常識的なPTAの集まりでは浮きまくる。


 自分が変人やんけ。どうすりゃいいの。(人生迷子)


つづく

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