お嬢さま再びですわ

 文字で「ですわ」と書かれていると、つい関西弁のオジサンを想像する。ごめん。


 創作中のお嬢さまは様式美だ。ああいうキャラなんだ。語尾に「にゃん」とかつけるのと一緒だ。(違う)


 と、嫁ぎ先で義母に出会ってそう思った。初めてお会いした時のことを鮮明に覚えている。

 真っ白な麻のワンピースに負けないほど白い肌。物腰は柔らかく、日舞で培った所作は指先に至るまで美しい。ちょっと砕けた話し方をする時ですら上品。

 華道・茶道を嗜み、書道は師範の資格も持っている。毎年送ってくださる手書きの年賀状の文字は溜息が出るほど流麗で美しい。


 娘が欲しかったという義母は、世間一般が抱く、女性らしいイメージからかけ離れた私のことを、とても可愛がってくれた。

 金持ち喧嘩せず、という諺は本当だった。蝶よ花よと育てられた人間は、人に対して悪意を持たないものなのかもしれない。生まれた時から御付きの人(侍女)がいた人なんて、物語の中でしか聞いたことがない。

 

 上げ膳・据え膳・着替えもやってくれる生活、いいなあ。


 最初に聞いた名前と、戸籍の名前が全く違うことには驚いたが、体が弱かったので縁起の良い通り名を使っているそうだ。三国志とかのあざなみたいな?(違う)


 ド派手な柄シャツにサングラス姿で遊びに行く宇〇天元な私を「まあ!いらっしゃい、チンピラちゃん!可愛いわね!さあ、入って入って!」と、無邪気に迎えてくれたものだ。


 実の母より優しい。(こそっ)


つづく


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